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2026

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    THE CIO LOUNGE 第4回――成層圏通信と光無線、無線ネットワークのAIサーバー化。ソフトバンクが仕掛ける、次の産業インフラ革命

    THE CIO LOUNGE 第4回――成層圏通信と光無線、無線ネットワークのAIサーバー化。ソフトバンクが仕掛ける、次の産業インフラ革命

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     FM大阪で放送中のラジオ番組『THE CIO LOUNGE』。ソフトバンク創業者の孫正義氏の号令により設立されたAIによる業務DXシステム開発会社Gen-AX(ジェナックス)CEOの砂金 信一郎氏に続き、1月24日(土)オンエアの第4回ではソフトバンク先端技術研究所所長の湧川 隆次(わきかわ りゅうじ)氏がゲストに登場。「未来への投資」を目的に設立された先端技術研究所における研究内容、成層圏に飛ばした無人機による通信エリアの拡大、全国の通信基地局ネットワークを活用した未来のAIインフラの構想など、壮大なスケールで進行する次世代インフラ開発プロジェクトの一端を語っていただいた。コメンテーターは加藤 恭滋(NPO法人 CIO Lounge副理事長)が務める。

    ※こちらから番組収録時のディレクターカット版をお聞きいただけます。
     https://www.fmosaka.net/_ct/17818735

    HAPSに宇宙光通信――未来の通信インフラは地上を超える

    珠久: ソフトバンク先端技術研究所とはどういうところで、どんな研究を行っているのでしょうか。

    湧川: 新しい技術を社会実装するための研究開発を行う組織として、2022年4月に設立されました。ソフトバンクはどの部署も研究開発に挑戦する社風で、長らく研究所というものがなかったのですが、今後を見据えると未来への投資となる研究開発がとても重要になるという考えのもとで設立されました。研究分野はAIや次世代通信の6G、従来のコンピュータでは難しい計算を高速に処理できる量子技術など、多岐にわたります。宇宙空間で小型衛星同士をつなぐ “光無線通信” にも取り組んでいます。宇宙空間では空気がないため光が減衰しにくく、レーザーを使った光通信が非常に有効です。そこで光を電波にして小型衛星をつなぐことで、情報を大量に伝達する新しい宇宙インフラをつくる、という技術です。国の支援もいただきながら研究を進めていて、あと1〜2年で面白い成果が出てくると期待しています。

    加藤: それは気になりますね。新たな通信インフラといえば「HAPS(成層圏通信プラットフォーム)」の開発はいかがですか。通信がつながらないエリアがなくなるという画期的な技術で、注目しています。

    湧川: 実は僕が開発を手掛けていたんです。HAPS は高度 20km の成層圏に無人機を飛ばし、そこから電波を出すことで、地上を広くカバーできる通信インフラをつくる技術です。地上の基地局ではカバーが難しい上空や離島、山岳地帯、通信ネットワークが整っていない場所や地域にも安定したインターネット接続環境を構築できるのです。ソフトバンクはこの無人機そのものの開発にも取り組んでいて、翼の長さがジャンボジェットと同じ80m級の大型機体も手掛けています。現在は技術的な検証を終え、商用化に向けて開発を進めているところです。

    記事内画像 ▲ソフトバンクが開発したHAPS用大型無人機「Sunglider」。成層圏への飛行、滞留が可能

    全国の通信基地局がAIサーバーに! ソフトバンクの“止まらないAIインフラ”構想

    珠久: 最近、湧川さんが注力されている研究について教えてください。

    湧川: 「AI-RAN」という技術です。ソフトバンクは日本全国に多数の無線機を展開し、携帯電話の無線通信を支えるRAN(無線アクセスネットワーク)を構築しています。僕らはこの全無線機をAIで賢くし、通信品質の向上や電波の最適化を自動で行えるようなシステムを開発しています。これまでRANは専用のハードウェアや仮想化したソフトウェアで制御されていましたが、 AI-RAN は一歩進んで無線機そのものに GPU(Graphics Processing Unit)を搭載し、自立制御させるというアプローチを取ります。もともとは画像処理のための計算装置ですが、今はAIの計算にも使われています。

     そしてこれを、分散型のAIインフラとしても活用できるシステムにしようというのが僕らの構想です。現在のAIサービスは大型データセンターに集約されていますが、ひとつの拠点に依存すると障害時に社会が止まるリスクがあります。信号機や交通システム、バスの自動運転、鉄道の制御など、社会インフラの多くがAIによって高度化していくときにこうした問題は避けられません。そこで全国にある無線基地局の GPU を活用すれば、AIを分散して動かせる“止まらないインフラ”がつくれるんじゃないか、という発想なんです。研究所ではすでに実用化に近い段階まで来ていると考えています。

    AIによる産業革命の実現を目指す、孫正義氏の先見性と意思決定力

    珠久: ソフトバンクグループが参画する『スターゲート・プロジェクト』は、AI発展に向けた史上最大級の投資として注目されています。AI半導体から最終製品までを一貫して手がける巨大拠点をアメリカに構築する計画だと伺いましたが、この大胆な戦略について加藤さんはどうお感じになっていますか。

    加藤: ソフトバンクグループの孫氏といえば、そのチャレンジ精神が素晴らしいと思っていました。iPhoneを日本にいち早く導入したように、先見の明があります。AIによってロボットが人のように考え、連携しながらものづくりを行うような、これまでにない高い品質と生産性を実現する未来を描いているのかなと感じています。

    珠久: 湧川さんは、孫氏の先見性をどうお感じになっていますか。

    湧川: 孫氏は我々とは違う世界観で物事を見ている方で、自分が目指すところに確実に行くために全力で投資をする方です。世の中の状況に応じて目標もどんどん変えて高く設定していくので、孫氏の要求に対応するにはフレキシブルさも求められます。意思決定力は物凄く、必要であれば既存のビジネスの仕組みを変えていくこともいとわないので、そういうところを僕は非常に尊敬しています。

    記事内画像

    「AIの大きな流れはもう止まらない」――2026年、私たちはどう向き合うべきか

    珠久: 2026年はこれまで以上にAIが社会で動く年になるといわれていますが、私たち一般のユーザーがAIとどのように付き合っていけばいいのか、ご意見はありますか?

    湧川: AIのように新しい技術は使ったほうがいいと思うんですね。何でもやってみて、自分なりの使い方を見つけていくほうがいい。AIを使うと人間が進化しないんじゃないかとかいう話もありますが、「これ嘘をつくかもしれない、心配だ」と使わないのが一番良くないです。僕は一時期大学の教員を務めていましたが、大学でもAIについて議論になりました。段階によりますが、アメリカでは学校での計算に電卓の持ち込みがOKなんです。彼らは自分で計算しないんですけど、それで学力が下がっているとは言えないですよね。

     新しいものの出現に対して、最初はいろんな意見が出てくるものです。ただ長い目で見れば、AIの大きな流れはもう止まらないと思うんです。確実に普及するので、最初に飛び込んだ方がいい。

    加藤: 日本に限って言うと、これから人口が減って、生産人口がどんどん落ちていきます。その中でどうやって生産性を向上させ、世界と競争する力を作っていくべきなのかを考えると、AIに活躍してもらうしかないでしょう。それができないと、日本は世の中から取り残されていくのではないかと思います。今でも遅れが指摘されていますし。

    湧川: ソフトバンクとしては、そこを何とか盛り返そうと頑張っております。

    珠久: それはもう是非お願いします!

    記事内画像

    ※こちらから、番組収録時のディレクターカット版をポッドキャストでお聞きいただけます。 https://www.fmosaka.net/_ct/17818735

    ※こちらから、収録の雰囲気も楽しめる動画をYouTubeでご覧いただけます。 https://www.youtube.com/watch?v=zDfeXSqtRLM

    <番組情報>
    番組名:「THE CIO LOUNGE」
    放送日時:毎週⼟曜⽇ 7:00〜7:25
    放送日:2026年1月24日(土)7:00〜7:25
    放送局:FM大阪

    ゲスト:湧川 隆次(わきかわ りゅうじ)(ソフトバンク株式会社 執行役員兼先端技術研究所所長)

     慶應義塾大学で政策・メディアの博士号を取得後、2013年にソフトバンクモバイルへ(現ソフトバンク)入社。日米双方での技術開発に携わり、2016年に先端技術開発本部長、2022年に先端技術研究所所長に就任。5G/6G、自動運転、HAPS、AI、量子技術など、次世代インフラに関わる新規技術の検証と事業開発を幅広く担当している。

    コメンテーター: 加藤 恭滋(特定非営利活動法人 CIO Lounge副理事長)

     元大和ハウス工業株式会社上席執行役員・情報システム部長。経理部門に配属され、3度の会計システム開発に従事。2010年から情報システム部長(2021年3月定年)。趣味はゴルフ。

    パーソナリティー:珠久 美穂子(FM大阪DJ)

     大阪府出身。2000年にFM大阪の『Hit Street Midnight Special』でDJデビュー。趣味はドローン、ゴルフ、テニス。珠算検定2級、暗算検定2級、秘書検定2級。

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