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定年後の働き方ガイド――再雇用から新しい仕事、年金の注意点まで徹底解説
ビジョナリー編集部 2025/10/09
近年、定年後も働き続けることも、選択肢の一つになってきました。しかし、いざ退職を迎える際に「どんな仕事があるの?」「収入はどれくらい?」と迷ってしまう方が多いのも現実です。
また、「働いて収入を得ると年金が減るのでは?」と心配される方もいるかもしれません。
今回は、そんな疑問にお応えする形で、定年退職後の仕事や収入、年金の所得制限について、分かりやすく解説いたします。
※ 記事で紹介している制度や金額の例は2025年10月時点のものです。
定年後の様々な選択肢
会社の「再雇用制度」を活用する
多くの方が検討するのが、勤めていた会社での「再雇用」や「継続雇用」です。
この制度は、60歳や65歳の定年を迎えても、希望があれば同じ会社で嘱託社員や契約社員などとして働き続けられる仕組みです。2025年からは、企業に65歳までの雇用継続が義務付けられ、70歳までの雇用確保も努力義務となります。
再雇用のメリット
- 慣れた環境で安心して働ける
- これまでのキャリアや知識を生かせる
- 新しい職場を探す手間がない
ただし、再雇用後は賃金や待遇が現役時代より下がるケースが多いので、契約内容はしっかり確認することが大切です。
新しい仕事にチャレンジ!未経験でも始めやすい職種
「せっかくなら別の仕事をしてみたい」「社会とのつながりを持ち続けたい」――そんな方には、シニア世代向けの多様な求人があります。代表的なものをピックアップします。
おすすめ職種例
- 清掃スタッフ・ビルクリーニング:短時間勤務が多く、無理なく続けやすい。健康維持にもつながると好評です。
- マンション管理人:設備点検や住民対応など、コミュニケーションが得意な方にぴったり。
- 警備員:未経験でも始められ、シフト制で働きやすい。
- 配達・宅配:新聞や弁当配達など、体を動かしながら地域と交流できる仕事。
- 塾講師・習い事の先生:専門知識や人生経験を活かし、やりがいを感じやすい仕事。
- 学童保育支援・保育補助:子どもと関わる仕事で、社会貢献度も高い。
地域密着の「シルバー人材センター」を活用する
各自治体やシルバー人材センターでは、高齢者向けの仕事紹介サービスが充実しています。植木の手入れや家事支援、軽作業など、地域社会に貢献しながら働けるのが魅力です。
定年後の仕事選びで失敗しないためのポイント
「自分の体力・健康状態」を最優先に
「現役時代と同じような働き方はもう難しい」と感じる方も多いはず。無理のない短時間勤務や週数日の仕事を選ぶことで、長く続けやすくなります。
「やりがい」や「社会とのつながり」を重視
収入だけでなく、毎日の生活に張り合いを持たせることも大切です。人と関わる仕事や地域活動に近い仕事は、孤独感を防ぎ、充実感を得やすくなります。
「働く目的」を明確にする
生活費の補填、生きがい、健康維持…働く理由は人それぞれです。「なぜ働くのか」を明確にすることが、後悔しない仕事選びのカギです。
年金をもらいながら働くと減額される?
年金の仕組み
60歳以上で働きながら年金を受け取る場合、給与と年金の合計が一定額を超えると、老齢厚生年金の一部または全部が支給停止になる場合があります。
2025年度は「給与+年金=月51万円」が基準額(2026年度には「月62万円」に引き上げ予定)。この基準を超えると、年金が減額されます。
計算式(2025年度基準)
(老齢厚生年金の月額+給与の月額-51万円)×1/2
=この金額分、年金が減額されます。
例1
- 老齢厚生年金:月12万円
- 給与:月45万円
- 合計:57万円
- 減額額→(12万+45万-51万)×1/2=3万円
- 実際の老齢厚生年金の受取額→12万円-3万円=9万円
例2
- 老齢厚生年金:月12万円
- 給与:月64万円
- 合計:76万円
- 減額額→(12万+64万-51万)×1/2=12.5万円
- 実際の老齢厚生年金の受取額→12万円-12.5万円=▲0.5万円
例2のように、老齢厚生年金がマイナスになる場合は、全額支給停止となり給与のみとなります。給与が減ることはありません。
ポイント
- 減額対象は「老齢厚生年金」のみです。「老齢基礎年金」は減額されません。
- 2026年度から基準額が引き上げられる予定なので、多くの方が「働いた分だけ損する」状況から解放される見通しです。
定年後の収入や支出
「定年後は収入が減るのが心配…」という声もよく聞きます。しかし実際には、現役時代よりも生活費が大きく減る傾向があります。
総務省の家計調査によると
- 65~74歳の2人以上世帯の月平均支出:33.4万円
- 50代のピーク時(56.4万円)より20万円以上も減少
主な理由
- 教育費や住宅ローンの負担がなくなる人が多い
- 所得税や社会保険料の負担が減る
- 年金保険料の支払いも不要
定年後の仕事探しの方法
インターネットや求人サイトを活用
今やシニア向けの求人サイトも豊富です。履歴書作成サポートや面接サポートもあるので、初めての転職でも安心です。
シルバー人材センターや自治体の就業支援
地域密着型の仕事や、生活リズムに合わせた働き方を提案してくれます。
地域の人脈やイベントを活かす
意外なところから「仕事の縁」が生まれることも。ご近所の商店街や自治会活動など、積極的に顔を出してみましょう。
定年後に備えて今からできる準備とは?
スキルアップや資格取得
50代のうちから、興味のある分野の勉強や資格取得をしておくと、定年後の選択肢が大きく広がります。
健康管理と生活習慣の見直し
どれだけ意欲があっても、健康でなければ働き続けることはできません。適度な運動やバランスの良い食事を心がけ、日頃から健康維持に努めましょう。
ライフプラン・資金計画の見直し
定年後の収入と支出を把握することで、「どれだけ働けば良いか」が明確になります。生活費や医療費、貯蓄計画も含めて、家計の棚卸しをしてみましょう。
「再雇用制度」をうまく活用するための注意点
再雇用契約時には、賃金や雇用形態、手当、有給休暇など、契約内容をしっかり確認しましょう。特に賃金は、定年前の50~70%程度になることが一般的ですが、最低賃金などの法規制もあるため、企業と十分に話し合うことが大切です。
また、再雇用後は、社会保険や雇用保険、厚生年金にも継続して加入できる場合が多く、年金額アップや健康保険料の軽減などのメリットも享受できます。
まとめ
「定年=引退」というだけではなく、体力やライフスタイル、価値観に合わせて、さまざまな働き方を柔軟に選ぶことができる時代になりました。
- 定年後も「再雇用」や「新しい仕事」で活躍できる
- 年金は高額収入でなければ減額されず、働き方の幅が広がっている
- 支出も減る傾向にあり、無理のない働き方で「心地よい暮らし」が実現可能
- 早めの情報収集と準備が、安心の定年後ライフにつながる
「こうでなければいけない」と思い込まず、自分らしい働き方を見つけてみませんか?
健康とやりがい、そして収入のバランスを大切に、理想のセカンドライフを歩んでいただきたいと思います。


