山本由伸、歴史を塗り替えた2025ワールドシリー...
SHARE
SNSで独り歩きする“男前すぎる名言”の正体――山本由伸に見る言葉とファンの創造力
ビジョナリー編集部 2025/11/07
ロサンゼルス・ドジャースの山本由伸選手がSNSやメディアで「男前すぎる名言」を連発していると話題になっています。しかし実際には、彼自身が「言ってない」“名言”が独り歩きし、本人のキャラクター像まで塗り替えるほどの勢いで盛り上がりを見せています。なぜこのようなムーブが巻き起こっているのでしょうか。
本記事では、「リアルに言った言葉」と「翻訳された言葉」の違い、その背景と真実、さらにはこの現象がもたらす影響と、いかに山本選手が現地で愛されているのか深堀りしていきます。
※ この記事の情報は2025年11月時点のものです。
「言ってない語録」が生まれる理由
本来の山本由伸選手の人間性は非常に謙虚で、誠実なコメントを心がけるタイプだと言われています。日本人アスリートらしく、記者会見やインタビューでは「チームの勝利に貢献したい」や、「自分の仕事を全うしたい」といった控えめな発言が多く見られてきました。
ところが、アメリカの文化では、スター選手やエースには“勝利への執念”や“絶対的自信”をアピールする力強い言葉が求められる傾向があります。そのため、日本語の謙虚な発言が、英語へと翻訳される過程で、よりインパクトの強い表現に“意訳”されることが珍しくありません。
具体例で見る「言ってない名言」
「Losing isn’t an option !(負けるという選択肢はない)」
- 元の発言:「何としても負ける訳にはいかないので」
- 意訳・名言化:メジャー流に翻訳されると、まるで勝利を当然とする“宣言”に変貌しました。現地メディアやファンの間で大流行し、言葉がプリントされたTシャツまで作られ、ドジャースのスローガンの一つにもなりました。また、優勝パレードで本人が英語で「Losing isn’t an option !」と言ったことも大きな話題になりました。
「ブルペンのドアを施錠しておけ」
- 元の発言:「ブルペンの負担を減らせるように、少しでも長いイニングを投げられれば」
- 意訳・名言化:「俺が全部投げるから、ブルペンは休んでいろ」→「ブルペンのドアを施錠しておけ」と変わり、SNSで盛り上がり、ファンの間で“伝説”となりました。
「監督をベンチに縛りつけておけ」
- 元の発言:「監督やコーチを安心させられるように」
- 意訳・名言化:「監督の出番はない。ベンチで見ていてくれ」に変換。
「これが今日お前らが得られる唯一の得点だ」
- 元の発言:「これ以上点を取られるわけにはいかない」
- 意訳・名言化:相手打線への宣戦布告のような強気な言葉に。
このように、山本投手の本来の謙虚なコメントが、文化的背景や通訳者の工夫により、アメリカ的な“ヒーロー像”に仕上がっていくのです。
SNSが加速させる“名言”の独り歩き
興味深いのは、ファンがSNS上で創作した「言ってない名言」が、本人の発言として一人歩きし始めている点です。
例えば、「自分こそがエースであり、最高の投手だ」「打てるものなら打ってみろ」など、実際には山本選手が一言も発していないフレーズが次々と生まれ拡散されています。
現地ファンやメディアが、こうした名言を面白がり、Tシャツや応援グッズにも採用されることで、さらに現象が拡大。山本選手の実績や活躍も相まって、「あの人なら言っていてもおかしくない」「言ってない語録に現実が追いつく」という声まで上がっています。
本当に言った“名言”
こうした“言ってない語録”と対照的に、山本由伸選手が実際に発した印象的な言葉も存在します。
「気付いたらマウンドにいた」
2025年ワールドシリーズ第7戦で、山本投手は通常では考えられない中0日で登板し、優勝を決定づけました。その直後のインタビューで彼は、
「無心で。何か野球少年に戻ったような、そんな気持ちでした。気付いたら試合が始まって、ブルペンにいて、途中で追いついて、気付いたらマウンドにいました」
と語っています。
この発言は、彼の素朴さや野球への純粋な情熱を物語る、本当に“本人が言った名言”として、ファンの心に深く刻まれました。
「言ってない語録」は山本由伸の偉大さを際立たせる
重要なのは、山本由伸選手の“言ってない語録”は単なるジョークや誤解ではなく、彼の実績と人格があってこそ生まれた現象だという点です。
実際は謙虚で誠実な人物でありながら、メジャーリーグの舞台で求められるヒーロー像と重なったことで、ファンやメディアが“理想のエース像”を投影していきました。
異文化コミュニケーションの面白さと可能性
山本由伸選手の“言ってない語録”には、
- 異なる文化の価値観や期待
- アスリートの本来の人柄が持つ力
- ファンコミュニティの創造力
こうした要素が絶妙に絡み合い、“新しいエース像”を作り出しています。今後、グローバルな舞台で活躍する日本人アスリートがさらに増えた時に、こうした“翻訳”や“ファンの創作”が新たな伝説を生み出すかもしれません。
まとめ
- 山本由伸選手は実際には謙虚な発言をしている
- 英語への翻訳やファンの創作によって“言ってない語録”が誕生
言葉は大きく人々の心を動かします。山本由伸選手の“言ってない語録”も、そんな言葉の力を象徴する現象なのかもしれません。
実際の山本選手の言葉や、その背景にある文化の違いに着目しながら、スポーツの新しい楽しみ方を発見してみてください。


