Diamond Visionary logo

11/23()

2025

SHARE

    紅白歌合戦はなぜ日本の年末の象徴になったのか──新出場歌手発表とともに見る76年の歴史

    紅白歌合戦はなぜ日本の年末の象徴になったのか──新出場歌手発表とともに見る76年の歴史

    大晦日の夜、家族や友人が集まり、テレビの前で一緒に盛り上がる。日本の年末の象徴とも言えるのが「NHK紅白歌合戦」です。今年も出場歌手が発表され、世間の関心が高まっています。

    紅白歌合戦はどのようにして“国民的イベント”になったのでしょうか。その歴史をたどると、時代とともに変化し続けてきた紅白の姿が見えてきます。

    紅白の新たな顔ぶれも話題に

    まずは、第76回紅白歌合戦の出場歌手とその特徴について触れたいと思います。今回の紅白は、紅組・白組合わせて37組の出演が発表され、10組が初出場します。フレッシュな顔ぶれが揃い、多様なジャンルや世代が交錯するステージとなっています。

    紅組の初出場にはアイナ・ジ・エンド、幾田りら、aespa、CANDY TUNE、ちゃんみな、HANA、ハンバート ハンバート、FRUITS ZIPPERといった、若い世代から支持を集めるアーティストが名を連ねています。白組では&TEAMとM!LKが初出場。K-POPグループや新進気鋭のグループが紅白の舞台に登場し、グローバルな広がりや音楽の多様性を象徴しています。

    2025年のテーマは「つなぐ、つながる、大みそか。」

    大阪・関西万博のクリエイティブディレクター・引地耕太氏が手掛けたキービジュアルでは、「円」や「円環」がモチーフとなり、NHKの放送100年の歴史を未来へと“つなぐ”意志が込められています。特別企画には堺正章さんや氷川きよしさんが登場し、紅白の伝統と革新を象徴する構成となっています。

    紅白歌合戦の起源

    遡ること1945年の大晦日、終戦後の日本で放送されたラジオ番組「紅白音楽試合」がその原点です。娯楽が少ない中、音楽に「対抗戦」という競技性を持ち込むという発想が国民の心を掴みました。

    番組への圧倒的な支持を受け、1951年1月3日に「第1回NHK紅白歌合戦」がラジオで放送されるに至ります。この第1回目は、紅組・白組それぞれ7名ずつ、計14名の歌手でのスタートでした。紅組の司会は女優の加藤道子さん、白組はアナウンサーの藤倉修一さんが務め、今も続く“紅白対抗”のスタイルが完成されていたのです。

    テレビ時代とともに進化

    紅白が「年末の風物詩」として定着したのは、1953年の第4回から。NHKのテレビ放送開始とともに、放送日が正月から大晦日へと移り、家族が大晦日に集って楽しむ娯楽としての地位を確立していきます。

    1962年にはテレビ視聴率の調査がスタートし、いきなり80%を超える驚異的な数字を記録しました。さらに翌年の第14回では、世帯視聴率81.4%という歴代最高値を打ち立て、「紅白=国民的行事」としての地位を不動のものにしました。この年、五月みどりさんのパフォーマンスでは、瞬間最高視聴率85.3%という驚異的な数字も記録されています。

    会場、演出、構成――時代ごとの“転機”

    紅白歌合戦は、長い歴史の中で幾度も“ターニングポイント”を迎え、その都度新たな魅力を生み出してきました。

    1973年の第24回からは現在のNHKホールが会場となり、テレビならではの大掛かりなステージ演出が可能になりました。1989年、平成の幕開けと共に二部構成へとリニューアル。放送時間も4時間を超えるなど、より豪華で特別な一夜を演出する形へと進化しています。

    近年では2020年、新型コロナウイルスの影響で史上初の“無観客開催”となり、NHKホール以外の複数スタジオから中継を行うなど、時代の要請に柔軟に対応する姿を見せました。オンライン投票やリモート出演といった新しい試みを積極的に導入することで、紅白は「伝統」と「革新」を同時に体現し続けています。

    出場歌手の選考基準――時代と共に変化する“旬”と“支持”

    紅白出場歌手の選考基準は、「今年の活躍」「世論の支持」「番組企画にふさわしいか」です。CD・DVDの売上やストリーミング再生数、カラオケや有線でのリクエスト数など、“今”の音楽シーンを反映した指標が重視されています。

    さらに、NHKが毎年実施する世論調査やWebアンケートによる国民の声も大きな要素となります。近年では、K-POPアーティストの進出やアニメとのコラボレーション、民放発のユニットなど、グローバルかつ多様な音楽ジャンルへの対応が目立つようになりました。かつては男女やグループの編成による出場制限が厳密だった時代もありましたが、今やボーカルの性別やグループの多様性を柔軟に受け入れる方針へと変化しています。

    紅白の勝敗と歴代記録

    紅白歌合戦の勝敗は、視聴者審査員、会場審査員、ゲスト審査員による投票ポイントで決定されます。2024年までの通算成績は白組41勝、紅組34勝。白組がややリードしていますが、毎年の結果に一喜一憂するのも紅白ならではの楽しみです。

    最多出場記録も紅白の歴史を物語っています。男性では北島三郎さんが51回、女性では石川さゆりさんが48回という最多出場、連続出場では五木ひろしさんが50回、森進一さんが48回、石川さゆりさんが39回と、長きにわたって紅白の舞台を支え続けてきました。

    伝説のパフォーマンスと衣装

    紅白歌合戦の醍醐味は、その華やかなステージ演出と心に残るパフォーマンスです。例えば小林幸子さんの“メガ幸子”や巨大な鶴に乗った圧巻の演出と、美川憲一さんの奇抜な衣装による衣装対決など、話題となる“見せ場”があります。これらの演出は、歌番組の枠を超えて、年末の日本に“夢”と“驚き”を届けてきました。

    さらに、紅白はその時代の世相や流行も反映し続けています。バブル期にはゴージャスな演出が増え、平成・令和にはSNSやYouTubeなどのネット文化と連動した試みも見られます。特別枠での大物アーティストや、“一夜限り”のパフォーマンスなど、紅白ならではの“サプライズ”も醍醐味の一つです。

    まとめ

    家族団らんの象徴であり、“推し”の活躍に一喜一憂する特別な夜でもある紅白は、今も年末を象徴するイベントとして注目を集めています。

    今年の紅白もまた、歴史と革新が交差する一夜となることでしょう。年末の夜、テレビの前で新しい時代の歌声とパフォーマンスに心を躍らせてみてはいかがでしょうか。

    ※ 記事内の情報は2025年11月時点のものです。

    #紅白歌合戦#紅白2025#年末の風物詩#NHK紅白#音楽番組#新時代#KPOP#推し活#家族団らん#伝説のパフォーマンス#多様性

    あわせて読みたい

    記事サムネイル

    大谷翔平が変えたMVPの常識──“唯一無二”の進...

    記事サムネイル

    「高齢者シェアハウス」とは?自由と安心を両立する...

    記事サムネイル

    苦しみを希望に変えて――横田慎太郎さんの人生と“...

    記事サムネイル

    くまモンの誕生秘話から熊本の野生グマ事情まで――...

    Diamond AI trial

    ピックアップ

    Diamond AI
    Diamond AI