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2026

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    「健康」を「食べたい」欲求へ。品川区とキユーピーが仕掛ける「しながわボウル」官民共創の舞台裏

    「健康」を「食べたい」欲求へ。品川区とキユーピーが仕掛ける「しながわボウル」官民共創の舞台裏

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     品川区とキユーピー株式会社が共創した「しながわボウル」プロジェクト(※)が、2025年5月の開始から1年を経て、2年目の取り組みへと進化している。

     このプロジェクトは、品川区が掲げる「区民のしあわせ(ウェルビーイング)」という視点と、「サラダの魅力を発信し続け、世界の食と健康に貢献していく」というキユーピーの「サラダファースト」の想いを掛け合わせた、官民による「共創」の先進事例だ。2年目となる2026年5月からは、より身近な場所で体験できるよう、これまでの区役所食堂に加え、新たに地域コミュニティの拠点である「info&cafe SQUARE」(スクエア荏原1階)でも「しながわボウル」の提供が開始された。

    記事内画像 ▲2025年5月~2026年4月までに提供された「しながわボウル」12メニュー

     キユーピーが提唱する「サラダファースト」では、好きなものと一緒に野菜を食べる「with ベジタブル」を提案しているが、「しながわボウル」はそのスタイルを具現化した象徴的なメニューといえる。 記事内画像

     なぜ、自治体である品川区と食品メーカーのキユーピーが手を組み、この一皿を開発するに至ったのか。その背景には、データに基づく切実な課題と、企業の知見を社会実装するための戦略があった。

    (※) 「しながわボウル」プロジェクトは、品川区とキユーピーが連携し、区民の野菜摂取量の向上やバランスの良い食生活を通じた食環境整備に関する取り組みとして、2025年(令和7年)5月から開始された。

    1日の野菜目標摂取量を満たす人はわずか3.3%。突きつけられた現状

     品川区がプロジェクトを始動させたきっかけは、2023年に実施された「品川区健康意識調査」の結果だったという。

    • 目標とされる1日350g以上の野菜を食べている区民は、わずか3.3%にとどまっていたこと
    • 主食・主菜・副菜を組み合わせたバランスの良い食事を「1日2回以上」とれている区民が約半数(52.3%)に過ぎなかったこと

     
     これらの数値は、行政にとって看過できない課題であった。品川区は食環境整備の解決策を模索。そこに、行政の持つ「地域を良くしたいという意志」と、キユーピーが長年培ってきた「メニュー開発の知見」や「サラダをおいしく食べるための調味料」が合流。「自然と野菜が摂取できる食事」を創出するための挑戦が始まった。

    自治体との共創に生かされた、キユーピーならではの3つの知見

     本プロジェクトにおいて、キユーピーは単なる食材の提供にとどまらず、長年の事業活動で得た専門的な知見を投入している。特筆すべきは、他の自治体連携のモデルケースともなり得る以下の3つのアプローチだ。

    1. 義務感を「食べたい」へ変換する、キユーピーの「メニュー提案力」

     「野菜不足解消」という行政目線の正論は、生活者にとっては往々にして「義務感」となり、自発的な行動に繋がりにくい。そこでキユーピーは、いかに「魅力的なメニュー名」や「食欲をそそる見た目」といった個人の満足感に直結させるかに注力した。「健康のために食べる」という義務感ではなく、「おいしそうだから食べる」という欲求を優先させる設計 が、結果として健康に繋がる仕組みを構築しているのだ。

    2. 調味料の力を活用した、無理なく続く「持続可能なオペレーション設計」

     公共施設の食堂では、既存の設備や限られた人員で運営を続ける必要がある。キユーピーの強みであるドレッシングやソースを既存食材と掛け合わせることで、調理現場に過度な負荷をかけず、安定した品質を提供できるオペレーションを提案。単発のイベントに終わらせず、持続可能な施策として成立させるための要となっている。

    3. サラダの食文化を創造してきた、キユーピーだからこそできるメニュー提案

     シーザーサラダやコブサラダといったトレンドを国内で定着させてきた知見を、惜しみなく投入した。「エネルギー源となる炭水化物もバランスよく摂取できるようにしたい」という区の担当者の熱い想いを受け、一皿で食物繊維やたんぱく質も補完できる 「ボウルスタイル」 を提案。小松菜や白菜など、通常はサラダにはあまり使われない野菜の活用も提示し、視覚的なボリュームと栄養バランスを両立させた。

    「おいしさ」と「話題性」が生んだ1年間の確かな成果

     2025年5月の提供開始から1年間で、プロジェクトは着実な結果を残している。

    • 喫食者アンケートでは、約93.8%が「また食べたい」と回答
    • 当初は3日間で150食程度だった提供数が、10月以降は200食程度へと増加
    • 12カ月で合計2,313食(野菜約277kg分)を提供
    • 野菜120g以上を含み、栄養バランスに優れた「しながわボウル」というスタイルが定着

    記事内画像 ▲平均食数(3日間合計)の変化

     キユーピーが本プロジェクトで重視したのは、単なる食材の供給ではない。品川区の掲げる「健康増進」という目的を、いかに区民が自ら「食べたい」と感じる体験へと変換し、社会に実装するかという点にある。

     毎月の提案では、食欲をそそるデザインの追求に加え、「話題性」も加味された。11月14日の「タルタルソースの日」に合わせた「Wフライのしながわボウル」や、3月1日の「マヨネーズの日」に合わせた「豚肉のマママヨしながわボウル」など、季節や記念日に紐づけたテーマ設定により、1年を通じて飽きさせない工夫を凝らしたという。

    記事内画像 ▲第7弾「Wフライ(カキ・白身魚)のしながわボウル」

    記事内画像 ▲第11弾「マヨネーズの日」に合わせた「豚肉のマママヨしながわボウル」

     これにより、区役所食堂という既存のインフラを活用しつつ、調理現場に負担をかけすぎない形で、高付加価値なサービスを継続することに成功したのである。

    共創を振り返って:それぞれの視点

    プロジェクトに関わった各者は、この1年をこう振り返る。

    ——品川区 森澤 恭子 区長

     「『しあわせ多彩区』を掲げる品川区において、区民の皆様の健康は最優先課題です。キユーピー様との連携により、おいしい食事を通じて自然と野菜を摂取できる環境を創り出せたことは、大きな一歩だと考えています。健康のために何かを我慢するのではなく、おいしさを満たした結果として健康につながる。この考え方こそが、持続可能なウェルビーイングの実現につながると確信しています。区役所食堂での『また食べたい』という声は、日常の食生活を見直すきっかけになっていることの証です」

    記事内画像

    「しながわボウル」メディア向け発表会(2025年5月23日実施)森澤区長

    ——品川区 担当者

     「食堂で『しながわボウル』を囲んで談笑する高齢者の姿を拝見し、食事が地域コミュニティへの参加というウェルビーイングにも寄与していることを実感しました。行政が一方的に『健康』を押し付けるのではなく、企業と組んで『おいしさ』という喜びを入り口にできたことが、成功の最大の要因だと感じています」

    記事内画像 ▲品川区健康推進部 生活衛生課 永井氏(左)と満崎氏(右)

    ——キユーピー 担当者

     「単なる『野菜不足解消』という表面的な課題ではなく、『自然と野菜が摂取できる環境の欠如』という課題に対し、お互いが共通言語を持って動ける仕組みを構築したことが安定した提供を支えました。制約を『壁』とするのではなく、それらを前提とした上でキユーピーの味覚の設計図をどう整合させるか。その作業こそが、プロジェクトの本質でした」

    記事内画像 ▲(左から)キユーピー首都圏支社長 向野氏、森澤区長、キユーピー首都圏支社 佐藤氏

    「点」から「面」へ、街へ広がるしながわボウルの次なるステージ

     「しながわボウル」の誕生から1年。最も人気を博した「ハンバーグのしながわボウル」をバージョンアップさせた第13弾メニューが、2026年5月19日(火)から21日(木)にかけて区役所食堂で提供された。

    記事内画像 ▲第13弾「ハンバーグ&目玉焼きのしながわボウル」

     さらに2026年5月からは、地域のコミュニティスペース「info&cafe SQUARE」でも提供が始まっている。

     区役所という「点」での成功から、品川の「街」という大きな「面」への広がり。区民の日常により身近な存在として、「しながわボウル」は次のステージへと進化を遂げようとしている。キユーピーは今後も、このプロジェクトを通じて、品川区が目指す「無理なく・楽しく・続けられる」食環境の共創を続けていく構えだ。

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