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2026

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    「残業代はナンセンス」 “Pay for Performance”の哲学

    #24「残業代はナンセンス」 “Pay for Performance”の哲学

    原石からダイヤへ

    日本と外資系の会社では、働き方が根本的に異なります。日本の多くの会社では、9時から5時半までが勤務時間で、それを超えれば残業代がつく、という時間管理が主流です。しかし、私が身を置いてきた外資系に「残業」という概念はありません。

    すべてが「パフォーマンスベース」、つまり成果主義なのです。

    考えてもみてください。Aさんはある仕事を5時間で完了させました。Bさんは全く同じ質の仕事を終えるのに10時間かかりました。Bさんは時間内に終わらず、いわゆる残業をしています。なぜ、同じクオリティの仕事に対し、より時間がかかったBさんに多くのお金(残業代)を支払わなければならないのでしょうか。

    私は、この日本の残業システムは、様々な事情があるにせよ、基本的にはナンセンスだと考えています。野球の世界で評価されるのは、練習を何回したかではなく、打率やホームランという「結果」ですよね。私の信条は、まさしく“Pay for Performance”。パフォーマンスに対して対価を払うという主義です。

    ですから、私が顧問を引き受ける際も、「私のパフォーマンスが、あなたの期待する水準にあるかどうかで判断してください」と必ず伝えています。必要以上にお金が欲しいわけではなく、私のパフォーマンスに対して適切な評価(報酬)をいただきたい。私は元々そういう性格なのです。

    このパフォーマンス主義は、外資系では社長の契約においても徹底されています。

    学生時代の友人から「レブロンの社長になったそうだけど、何年契約なんだ?」と聞かれたことがあります。通常、社長就任といえば契約年数がありそうですが、外資系には「あなたを何年間雇います」という期間の保証はありません。契約書は交わしますが、そこが決定的に違います。

    外資系の社長が2年や3年で交代することが多いのは、なぜか。言葉は悪いですが、そのほとんどが事実上の更迭(こうてつ)でしょう。成績が悪ければ、非常に頻繁に交代させられるのです。

    中には、こんなケースもあります。A社長の時代に成績が下がると、新しくB社長がやってきます。B社長は短期間で結果を出さねばならないため、法的には問題のない範囲で、いわゆる「押し込み」のようなことを行い、一時的に数字を引き上げます。しかし、そんなやり方は2年も3年も続くはずがなく、結局また成績が下がり、3年ほどで交代になる。

    こうしたシビアな環境ですが、私は日本の会社の査定よりも、このパフォーマンスベースの評価の方が性に合っていました。人事評価のフォーマットはありますが、そこに年功序列や学歴といった要素は一切関係ありません。転職組が多いため、冷たく言えば「パフォーマンスを出せるか否か」、それがすべてなのです。

    これからの時代、時間で管理される働き方を選ぶのか、成果を出すための働き方を選ぶのかで、個人の力のつき方は全く変わってくるでしょう。

    最近、私はある27歳の若き社長が経営する会社の顧問に就任しました。その会社は非常に面白く、社員と呼ばれるのはエグゼクティブだけで、他の340人は業務委託契約で働いています。もちろん時間給ではなく、パフォーマンスベースです。夜中まで働く人もいれば、オフィスには仮眠室や運動器具まで備え付けられている。若くても成果さえ出せれば、良い給料を得られる環境です。

    その社長自身、東大の理科Ⅱ類に入学したものの「面白くない」と中退し、4年前に起業したというユニークなキャリアの持ち主です。また、面接に来ていた慶應義塾大学の大学院生は、大学院を休学してでもその会社で働きたいと申し出ていました。

    もはや、私たちが経験したような「大学3年の後半から就職活動をして、A社、B社に決まりました」という画一的なパターンではない。学生であっても優秀な人間はどんどん仕事をする。そうした新しい時代の多様性に、私は非常に心地よいものを感じています。

    その会社は「AI教育機関」を名乗っており、「VisionToDo(ビジョン・トゥ・ドゥ)」というAIソフトウェアを開発しています。これは、会社が掲げたビジョンを、具体的な戦略やアクションプランにまで落とし込み、AIを使ってその進捗を可視化・モニターできるシステムです。

    これは、私がかつてジョンソン・エンド・ジョンソンやレブロンの社長時代に徹底して実践してきた「OGSM(Objective, Goal, Strategy, Measurement)」というフレームワークと、その思想が非常に似通っています。「これは面白い」と直感し、顧問の話をお受けすることにしました。彼らのような新しい世代と共に、これからの時代を深掘りしていくのが楽しみでなりません。

    #浅見隆#コダック#スポルディング#ジョンソン・エンド・ジョンソン#レブロン#グローカリゼーション
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