「金太郎飴」組織に見る成長なき同調圧力の正体
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#20日本のイノベーションを阻む偏差値教育と「日本人・男性・生え抜き」体質
浅見 隆 2025/11/20
私は今、日本の未来について強い危機感を持っています。一人当たりのGDPは世界30位前後、スイスのIMD(国際経営開発研究所)が発表する世界競争力データも30位以下、デジタル化に至ってはさらに遅れていると言われています。
特にデジタル化は、年配の男性たちが著しく遅れています。私ぐらいの年代になると、LINEすらやっていない、ましてやPCでパワーポイントを作れる人などほとんどいないのが現状です。これからのデジタル社会を担う若い人たちが、このレベルを相当高めていかなくてはなりません。
また、イノベーションに不可欠な「多様化」も深刻です。女性の登用、外国人の登用が圧倒的に遅れているのです。
なぜ、日本ではイノベーションがこれほどまでに起こりにくいのでしょうか。それは、日本の会社の多くが「日本人、男性、生え抜き」という、極めて「単一性が高く同質性が高い」組織だからです。
イノベーションとは、多様性のある環境、つまり種々雑多な人々がぶつかり合い、その「衝突」の中からしか生まれません。同じような性格の人が100人集まっても、何も新しいものは生まれないのです。
日本は穏やかすぎます。「出る杭は打たれる」文化が根強く、同調性が求められる。とてつもないアイデアがあっても、それを言える環境がない。ヒエラルキーの中で反旗を翻そうものなら、左遷されてしまう。これではイノベーションなど起こるはずがありません。外資系企業がイノベーションを起こしやすいのは、まさにこの多様性があり、侃々諤々(けんけんがくがく)の議論が許容されるからです。
この問題の根幹には「教育」があります。日本の教育は、いまだに偏差値教育です。塾に通い、偏差値を上げ、良い中学、良い高校に入る。これは重要かもしれませんが、これだけをやっていては、イノベーティブな人間は育ちません。
私は、これからの若者に伝えたいことがあります。今はVUCA(不安定・不確実・複雑・曖昧)の時代です。学校の勉強で良い成績を取るだけの「クラスルーム・エリート(教室のエリート)」ばかりでは、この国も会社も良くなりません。
今必要なのは、もっと前線に立ち、戦える人間。「バトルフィールド・エリート(戦場のエリート)」です。例えば孫正義氏のように、根性を持ち、どんな戦いでも勝ち抜く。そうしたエリートが育たなければ、日本の会社は強くならないでしょう。
私はこれまで、日本人として、日本の市場で、日本人のために働いてきました。ローカル(日本)を無視するつもりはありません。しかし、これからはグローバルな視点を持たなければ立ち行かなくなります。ローカルとグローバルを融合させた「グローカライゼーション(Glocalization)」――昔の言葉で言えば「和魂洋才」に近いかもしれませんが――を確立しなければなりません。
正直に言えば、これだけグローバル化と多様化が遅れている現状の日本に、私はあまり期待していません。しかし、変わらなければならない。教育も、会社の制度も、圧倒的に変えていかない限り、この国は変わらないでしょう。
私には個人が幸せになるためのノウハウがあります。これを日本全体に広めていく必要がありますが、それを実行するのは、これからの政治家や現役経営者、そして何より「バトルフィールド・エリート」を目指す若い世代の行動にかかっているのです。


