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2026

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    精神論では会社は変わらない。「マインドセット」と「BPR」の力

    #15精神論では会社は変わらない。「マインドセット」と「BPR」の力

    原石からダイヤへ

    私のリーダーシップの定義はシンプルです。まず、リーダーは「変革(Make Change)」を起こせること。もちろん、変革のための変革では意味がありません。企業が成長するために必要な変革を導けることが、リーダーの第一条件です。

    そして第二に、それはチームプレーである、ということです。いくら自分だけが優秀でも、リーダーの資格はありません。自分の意見や考え方に賛同し、ついてきてくれる「フォロワー(Create Followers)」がいること。この2つが、私が考えるリーダーシップの本質です。

    では、その「企業変革」は、具体的にどう進めればよいのでしょうか。私は、必要な要素は2つあると考えています。それは「マインドセット(意識)の変革」と、「BPR(ビジネス・プロセス・リエンジニアリング=業務プロセスの変革)」です。

    まず、マインドセットについてです。社員全体の考え方を変えない限り、変革はできません。

    私が以前、30年間赤字続きだったレブロンに入ったとき、最初に行ったのは、日産・ルノーのカルロス・ゴーン氏がやったことと同じです。それは、「今、我々が置かれている現状」を社員に正しく理解させることでした。社員は、意外なほど自社の現状を理解していないものです。

    私は「皆さんが理解しているかは分からないが、この会社は30年間も赤字で、とんでもない状況なのだ」という事実をまず突きつけました。そして、解決すべき極めて重大な問題点を明確にしたのです。

    さらに、こう続けました。「この会社を黒字化するには、ざっくりと言えば2つの方法しかない。社員を半分にするか、売上を倍にするかです」。これを伝え、いかに自分たちの考え方を根本から変えなければならないかを理解させたのです。社員の意識を圧倒的に変えさせること。これが変革における最も重要な工程です。

    しかし、これだけでは「わかった、俺たちはこれから頑張るぞ」という精神論になってしまいます。それだけで会社が変わることはありません。そこで必要になるのが、BPR、すなわちビジネスのプロセス自体を再構築することです。

    そのBPRの最たるものとして、私たちが活用したのが「OGSM」というフレームワークです。これは、我々のビジョン(Vision)、目的(Objective)、目標(Goal)、戦略(Strategy)、戦術(Tactics)、そして具体的なアクションプラン(Action Plan)までを、完璧に1枚のチャートに落とし込んだものです。

    社長である私も、部長も、一般社員も、全員がこのOGSMを持ちました。これにより、行動が「可視化」できるようになったのです。

    日本の会社でよくあるのが、売上が良いと「よくやった」と手柄を喜び(しかし理由はわからない)、悪いと「お前らどうなっているんだ、とにかく頑張れ」と叱責する光景です。これでは社員も「来月は頑張ります」と返すしかありません。これらはすべて精神論です。

    OGSMは違います。外資系企業では週単位でアクションプランを立てますが、「今月の第1週に、A社とB社を訪問する」と具体的に書かれます。それに基づき、上司は「本当に2社を訪ねたか」とチェックできる。「1社は行きましたが、2社目は行けませんでした」となれば、そこですぐに戦略やアクションの修正ができます。

    私は、社員にあれもこれもやれと複雑なことを要求しませんでした。ただ、「意識の大変革(マインドセット)」と「ビジネスプロセスの変革(BPR)」という2点に絞り込んだのです。

    「我々は結果をコントロールできない。しかし、プロセスはコントロールできる」という有名な言葉があります。

    販売会社であれば、毎月や毎年の売上という「結果」は、開けてみるまで分かりません。しかし、その良い結果を出すための「プロセス」を改革することはできるはずです。私たちはこれを徹底的に実行しました。これが、成功の大きな要因の一つであったと確信しています。

    この考え方は、ジョンソン・エンド・ジョンソン時代も同様でした。P&Gなど多くのグローバル企業が、名前は違えど同様の仕組みを持っています。日本の会社に欠けているのは、立派なビジョンやミッションではなく、それを具体的な戦略A・B、戦術A・Bにまで落とし込む仕組みなのです。OGSMはたった1枚のチャートですが、これを徹底させたことが、レブロンを良い方向に導いたのです。

    こうした考え方は、同じ会社の文化の中で、先輩や上司の話を聞いているだけではなかなかひらめきません。私の信条は、「人に学び、書に学び、実践に学ぶ」ことです。自分勝手な考えに陥らず、上司、先輩、あるいは親でも、優秀な人から学ぶことは非常に重要なのです。

    #浅見隆#コダック#スポルディング#ジョンソン・エンド・ジョンソン#レブロン#グローカリゼーション
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