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2026

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    「Stay hungry, stay foolish.」――経営者として持ち続ける2つのマインドセット

    #16「Stay hungry, stay foolish.」――経営者として持ち続ける2つのマインドセット

    原石からダイヤへ

    私が個人のマインドセットとして、非常に大切にしている言葉があります。それは、スティーブ・ジョブズがスタンフォード大学の卒業式の演説で語った、有名な「Stay hungry, stay foolish.(ハングリーであれ、愚かであれ)」というフレーズです。

    「Stay hungry」とは、何事に対しても貪欲に知識を吸収する、ハングリー精神を持ち続けること。そして「Stay foolish」とは、利口ぶらず、初心に立ち返って様々なことに挑戦していくことです。

    これは素晴らしい言葉だと思います。年を重ね、成功体験を持てば持つほど、ハングリー精神は失われがちです。若い頃は素直に新しいものに挑戦していた人も、その挑戦心を忘れてしまう。私の周りの素晴らしい人々を見ていてもそう感じますし、私自身も年とともにそうなっているかもしれません。

    しかし、これから生きるのが厳しい世の中だからこそ、この考え方を持ち続けるべきです。私くらいの年齢になると、年金をもらい、保険にも入り、「あと50年も生きるわけではないし、食べてはいける」という考えになりがちです。ですが、私はそれではあまり面白くない。常に「Stay hungry, stay foolish.」の気持ちを忘れずに生きたいと思っています。

    このマインドセットの根底には、私のもう一つの信条があります。それは、先にも述べた通り、「人に学び、書に学び、実践に学ぶ」という姿勢です。

    日本の古い会社では、往々にして「実践に学び」、つまり過去の自分の経験や上司の経験則に頼る傾向が強いように思います。しかし、本当の変革を起こすには、この3つのバランスが揃っていなければなりません。

    「書に学び」とは、マネジメントに関する良書や、マイケル・ポーターやジョン・コッター、マーケティング研究の権威、フィリップ・コトラーといった世界の経営学者が説く理論を学ぶことです。

    星野リゾートの星野佳路社長は、この3つのバランスを実践してきた典型的な例だと思います。彼は長野の温泉宿の息子として生まれ(実践に学ぶ)、その経験に加え、アメリカのMBAでポーターやコトラーの理論を学びました(書に学ぶ)。そして彼は、「自分が学んだ教科書をそのまま実践したから成功したのだ」と語っています。私も、その感覚がよく分かります。

    私自身、人に学び、書(経営や変革に関する理論)に学び、そして実践(自らの経験)から学ぶ、このバランスを常に意識してきました。経験はもちろん重要ですが、それだけでは足りないのです。

    このハングリー精神と学びのバランスは、私の経営スタイルにも表れています。私は元々豊かな家の出身ではなかったため、若い頃から「自分で人生を作っていくしかない」というスピリットがありました。

    それを経営に当てはめたのが、私が「グローカライゼーション」と呼ぶ考え方です。これは、中小企業のような一生懸命なハードワークのスピリットと、グローバル企業のような俯瞰的・マクロな視点の両方を持つ、ということです。

    例えば、レブロンの社長時代、私は北は北海道から南は沖縄まで、全国に80数店舗あったすべての店を訪問しました。これを達成するのに、8年かかりました。

    外資系の社長は、3年や5年、早ければ2年で交代するのが常です。東京の主要店舗を表敬訪問することはあっても、全国すべての店舗を回った社長は、10年半在籍した私だけだったでしょう。海外出張や来客対応など多忙な職務の合間を縫って、最後に新潟の店舗を訪れた時、ついに全店訪問を達成しました。

    これは小さなサクセスストーリーかもしれませんが、社長が自ら重要なお客様のいる全店舗を回ったという事実は、社員のモチベーションを大いに高めることになったと信じています。

    #浅見隆#コダック#スポルディング#ジョンソン・エンド・ジョンソン#レブロン#グローカリゼーション
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