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2026

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    天使の分け前と騎士の称号――コニャック村で結ばれた37年間の友情

    #21天使の分け前と騎士の称号――コニャック村で結ばれた37年間の友情

    原石からダイヤへ

    テレビ番組『ハローVIP!』でインタビューした50人のVIPの中でも、特に印象深いのがフランスの二人の経営者です。

    一人は、化粧品会社「ロシャス(Rochas)」の女性社長、エレーヌ・ロシャスさん。彼女は地下鉄で偶然、将来の夫となるマルセル・ロシャスに「帽子がよく似合いますね」と声をかけられたのがきっかけで結婚し、夫の死後、苦労しながらも会社を世界的なブランドに育て上げました。非常にエレガントな人で、インタビューに行った際、着るものと演出に細心の注意を払っていました。リビングルームでのインタビュー時はピンクのスーツ、その後「ブルールーム」と呼ぶ寝室を見せてくれた時は、それに合わせたブルーの綺麗なドレスに着替えていました。亡き夫との思い出を語るその演出は、まさにパーソナル・ブランディングの模範でした。インタビューはすべてフランス語で行いました。

    もう一人は、コニャックメーカー「カミュ(Camus)」の会長、ジャン=ポール・カミュさんです。彼のインタビューのために、パリからTGVで2時間ほどかかるボルドー地方に近いコニャック市へ行きました。蒸留所や、何千という樽が眠る倉庫を見せてもらい、彼の自宅に招かれてランチをご馳走になり、庭のテニスコートでテニスまでやりました。

    この時、カミュさんが教えてくれたのが、コニャック業界特有のロマンチックな言葉、「天使の分け前(La Part des Anges)」です。

    倉庫で何十年も眠る樽から、知らぬ間にアルコール分が蒸発する。そのアルコール分が天井のすすけとなって黒くこびりつき、さらに空に上がっていくと、天国で天使たちが「そろそろアルコールが来るぞ」と待ち構えている。そして、そのアルコールを吸った天使たちが良い気分、つまり「ハイ」になる。これを「天使の分け前」と言うのです。実際に屋根が黒くなっているのを見せてもらい、そのロマンに感激しました。

    同じ敷地内にある「プレシス(Plessis)」という名のお城で、歓迎の儀式を執り行ってくれました。地下室にある古い樽のコニャックを一緒に飲もうと誘われ、なんと彼と私が生まれた同じ年である1945年に樽詰めされたコニャックを、一緒に味わいました。そして、サーベルを肩に当て、「汝(なんじ)に騎士の称号を授ける」という儀式までやってくれたのです。非常に心躍る体験でした。

    彼との関係は1988年の初対面で終わらず、未だに続いています。つい8年ほど前には、カミュさんがアレンジしてくださり、チェンバロ奏者である私の娘とそのフランス人のチェリストのアンサンブルをコニャック市に招待してくれました。1600年代にできた古いお城の地下、もとは牢屋だったスペースを改修したイベント会場でコンサートを開いてくれたのです。

    『ハローVIP!』で出会った50人の中で、今も親友として続いているのが、リチャード・ブランソン、ジェフリー・アーチャー、そしてジャン=ポール・カミュさんの3人です。一つの取材から始まった縁が、37年間も繋がり続けている。その秘訣は、「ナチュラルに、一人の人間として、誠実に付き合う」という哲学にあると感じています。

    #植山周一郎#ソニー#経営コンサルタント#コンサル#交渉人#代理人#ブランディング#マーケティング
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