トム・ピーターズが定義する「自分株式会社」の経営...
SHARE
#22教養とアクセントで懐に入る「4つの柱」
植山 周一郎 2025/12/22
『ハローVIP!』でインタビューしたゲストの中でも、フェデックスの創業者、フレッド・スミス会長のエピソードは強烈です。彼がフェデックスを立ち上げた背景には、大学時代に書いた「Hub-and-Spoke(ハブ・アンド・スポーク方式)」の論文があります。一見、遠回りに思えるハブを経由する輸送方式の方が、実はトータルで最も能率的だという、革新的なアイデアでした。
そして、彼の創業期には信じられないような危機がありました。立ち上げ当初、給料が払えそうもない状況になり、資金を借りにニューヨークの銀行へ交渉に行ったのですが、断られてしまいました。意気消沈してメンフィスへ帰る途中、空港でラスベガス行きのボード(出発案内表示板)を見たのです。「このまま帰っても給料は払えない。いっちょうラスベガスで勝負するか」と、急遽予定を変更。カジノでギャンブルに勝ち、何千ドルかを持ってメンフィスに帰り、社員の給料を払ったというのです。まさにミラクル、運命的な話です。
なぜ彼がこんなプライベートな話を私にしてくれたのか。それは、場の雰囲気が非常に良かったからです。この雰囲気の良さを作ったのが、メンフィスの南部特有のアクセントです。以前にもお話ししましたが、私はタクシーの運転手との会話から南部の訛(なま)りを覚え、スミス会長に会った時、その訛りで話しかけました。彼はゲラゲラ笑い、「こんなに南部の訛りがうまい日本人は初めてだ」と言って、一気に打ち解けることができたのです。
また、東京ガスのCMに起用したいというリクエストを受けて、ハリウッド俳優チャーリー・シーンとの契約を成立させたこともありました。年間1億、3年契約でトータル3億円という破格の条件で私がコンタクトしたところ、彼は飛びついてきました。コマーシャルの撮影で来日した際、彼は「僕に3億もプレゼントしてくれたあなたが司会しているテレビ番組だったら喜んで出るよ」と、ノーギャラで私の番組に出演してくれました。その後は六本木に一緒に飲みに行くなど、親しい間柄になりました。
こうしたVIPの懐に飛び込むために、私は常に意識していることがあります。それは、趣味の領域を広く、かつある程度の深さまで掘り下げておくことです。急にバッハとビートルズの共通点についての話はできません。ロンドン・フィルの常任指揮者だったサー・コリン・デイヴィスにインタビューした際、私は冒頭で「バッハの『G線上のアリア』とビートルズの『Let It Be』の曲の冒頭の和音の動きが全く同じだ」と話しました。すると彼は「君、面白いこと言うね。うちの娘が全く同じことを言っていたよ」と、途端に表情が柔らかくなりました。やはり、相手の分野の話をすると、一目置かれるのです。
会話を盛り上げ、一目置かれる教養の柱は、絵画、音楽、料理、そして言語の4つです。ある一定の地位にあるVIPたちは、この4つには必ず興味があります。私は個人的にも料理が好きで、パスタソースの「ピッツァイオーラソース」のような、詳細な知識も自然に出てきます。絵画の話になれば、モネの「睡蓮」やゴッホの「ひまわり」の展示場所まで話題に出せます。
そして最も重要なのが、言語、つまり英語の使い方です。品格を持った言葉、ボキャブラリーを使って話さなければ、相手に「この人はちゃんとした教育を受けている」と一目置いてもらえません。ただ単に若者のように話すのではなく、“It is a great honour to have the opportunity to interview with you.”のように、きちんとした品格ある英語を使うことがとても大事なのです。このレベルまで自分の英語のレベルを高めることが世界のVIPとのお付き合いには有効なのです。


