ハウスボートで始まった盟友関係――「テレビは趣味...
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#15ドナルド・トランプ、トニー・ベネットを直撃した「行動力」
植山 周一郎 2025/12/15
独立後、講演や執筆活動に追われる日々を送っていましたが、新たなキャリアは意外なところから始まりました。スタンフォード大学にいた頃、CBSソニーの友人から電話があり、ジュディ・オングさんがスタンフォードの授業を参観したいと言っているという連絡が入ったのです。一緒に授業を受け、サンフランシスコへ遊びに行くうちに、彼女から「私、世界のVIPをインタビューするテレビ番組をやりたいんだけど、興味のあるテレビ局を知らない?」と相談されました。
私はすぐにテレビ東京の阿部専務に話を持ちかけました。「ジュディが世界のVIPにインタビューする番組をやりたいと言っているがどうか?」と聞くと、専務は「しゅうさん、それは面白いね。今、そんな番組はない」と興味津々でした。電通とも話をすると、アメリカン・エキスプレスとフィリップモリスがすぐにスポンサーに名乗りを上げ、番組化が決定しました。
しかし、一つ条件が出されました。「ジュディ一人では心もとないから、しゅうさん、あんたも共同司会者としてやってくれ」と。これが私のテレビデビューの発端です。
ところが、いざ番組を始めようとすると、テレビ局側は世界のVIPと全くコンタクトが取れません。そこで、BBDOという強烈な世界的なネットワークが活きました。私はBBDOの世界経営会議などで世界各国の社長さんたちと交流があったため、彼らにメールを打ちました。「お宅のクライアントで、FedEx、ペプシコ、アップルなど、ビッグビジネスのトップをインタビューしたい」と頼みました。日本のビジネス界への支援材料になる、と伝えれば、彼らにとっても売り込みやすい企画です。
結果、彼らは全員ノーギャラで出演をOKしてくれました。こうして、普通では迎え入れられないようなVIPが、毎週土曜夜のゴールデンタイムの30分番組に次々と登場することになりました。
私はほとんどニューヨークに滞在し、人脈づくりに励みました。あるとき、プラザホテルに泊まっていたのですが、目の前がトランプタワーでした。「ドナルド・トランプにインタビューしたい」と思い立ち、人脈を調べると、BBDOの副社長がトランプ氏の親友だと分かりました。
私はすぐに副社長のトム・クラークのところへ行き、インタビューしたい旨を相談しました。するとトムは「今すぐ電話してやるよ」と、目の前でトランプ氏に電話をかけてくれました。「日本の友人のシュー・ウエヤマという司会者が君をインタビューしたいと言っているがどうだ」と聞くと、トランプ氏は「いいよ、明日はどうだ」と、すぐに決まってしまいました。もちろん彼もノーギャラでOKでした!
また別の機会に、ニューヨークで「ベリーニ」というイタリアンレストランで一人で食事をしていたときのことです。隣の席に一人の紳士が来たのを見て、顔を見たら「思い出のサンフランシスコ」を歌っていたトニー・ベネットだと分かりました。私はすぐさま、「すみません、私はシュー・ウエヤマと申します」と挨拶し、あなたのファンだという話をしました。 そして、「実はテレビ番組の司会をやっているのだが、ゲストに出てくれませんか?」と頼むと、トニー・ベネットは「奇遇だね、来週東京へ行ってブルーノートでコンサートをやるんだ。君を招待してあげるから、その後でインタビューしよう」と言ってくれました。マネージャーを通すでもなく、お金の話をするでもなく、善意同士のような感じで、その場で決まってしまったのです。
こうしたことは、運の良さももちろんありますが、大事なのは、思いついたらすぐ立ち上がって、ツカツカと相手に近づいて「こんにちは」と言ってしまう行動力です。積極的になろうと意識してやっているわけではなく、私にとっては自然な行動なのですが、この行動力こそが、世界のトップクラスのVIPとの縁を結び、仕事を前に進める上で最も重要な要素だと確信しています。


