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#14国際舞台で通用する話術とは――発声と会話のきっかけづくりのアイデア
植山 周一郎 2025/12/14
スタンフォードでの経験から、私は国内外を問わず、「ゆっくり、はっきり、大きな声で自信を持ってしゃべる」ことが極めて重要だと確信しています。突拍子もないアイデアを言う必要はありませんが、まともなアイデアなら堂々と伝えるべきです。
最近、裁判を経験した際も、この話し方を実践しました。向こうの弁護士からの意地悪な質問を10問ほど想定し、それに対する模範解答を100回リハーサルしてすべて覚えました。法廷で「セリフ」が決まっている状態で、ゆっくり、はっきり、大きな声で話すと、説得力が全く違います。これは、国際会議でも同じです。
特に、国際会議で日本人が苦手とするのが立ち話、つまり食事の前のカクテルパーティーでの会話です。日本人は何を話していいか分からず、日本人同士で固まってしまいがちです。
外国人と話をする際、相手から話しかけてくるのを待っているだけではダメです。こちらから積極的に話題を提供し、話を引き出さなくてはいけません。例えば、私はこう切り出します。「僕の趣味はゴルフなんだけど、君は何が好きなんだ?」とか。「僕はビートルズとバッハが好きだけど、どんな音楽が好きなの?」、あるいは「僕はヘミングウェイの『老人と海』の冒頭の部分が好きなんだよ。君は?」なんて言えば、どんどん話が盛り上がるものです。
ここで大事なのは、趣味が広いことです。しかし、ただ広いだけでなく、ある程度の深さがないと会話が続きません。これが、「あいつと話をすると面白いな」と思ってもらえる理由だと思います。
一つの具体的な例を挙げましょう。ロンドン・フィルの常任指揮者だったサー・コリン・デイヴィスという有名な指揮者をインタビューしたときのことです。私は冒頭、こう話を振りました。「サー・コリン、僕はバッハとビートルズが大好きです。バッハの『G線上のアリア』と、ビートルズの『Let It Be』の冒頭の部分の和音の動き方は全く同じですよね」と。
「これは偶然ですか、それともビートルズがバッハを真似したんですか」と聞くと、サー・コリンは「君は面白いことを言うね。うちの娘が全く同じことを言っていたよ」と言って、一気に話が盛り上がりました。
もう一つ、フェデックスを作ったフレッド・スミス会長のインタビューに行ったときのエピソードです。メンフィスの本社までタクシーで行ったのですが、黒人の大柄な運転手が南部の独特なアクセントで歌うように話すのです。「Where are you from, sir?(お客さん、どちらから?)」「Oh Japan, it's a mighty nice country.(おお日本!本当に素晴らしい国だよね)」などと言われ、30分間ずっと会話していたら、すっかり南部のアクセントが移ってしまいました。
そのままミスター・スミスに会うと、私はわざとその南部アクセントで挨拶をしました。「How do you do Mr. Smith, it's mighty nice to see you. (ミスター・スミス、お会いできてとても嬉しいです)」と。
するとスミス会長はブワーッと笑い出し、「ミスター・シュウ、日本人でパーフェクトなメンフィスのアクセントを喋るのはあんたが初めてだ」と言ってくれました。これが一気にアイスブレイカー(氷が解けるように打ち解ける)となり、仲良くなってインタビューがうまくいったのです。
こうしたことは、計算ではなく、なんとなく自然にやってしまうのですが、これは非常に役に立つアイデアだと思います。皆さんもぜひ真似してほしいですね。


