Diamond Visionary logo

1/12()

2026

SHARE

    「やさしい言葉」で難しいことを教える――経験と理論を融合した教育哲学

    #17「やさしい言葉」で難しいことを教える――経験と理論を融合した教育哲学

    原石からダイヤへ

    私は教えること、伝えることに強い関心を持っています。私の教育スタイルは、「難しいことをやさしい言葉で、理解しやすく説明する」ことです。母校の一橋大学で8年間教えていましたが、世の中の先生の多くは、やさしいことを難しく教えることで、あたかもそれが高尚であるかのように錯覚しているように見えます。しかし私は全く逆で、難しい国際経済やブランディングの話も、誰にでも分かるように噛み砕いて伝えることが、真に内容を理解している証拠だと思っています。難しい言葉を使う人は、ごまかしているか、本当は理解できていないのかもしれません。

    特に、聴衆や学生が東南アジアやヨーロッパなど、英語が母国語ではない外国人の場合が多いです。その場合、ゆっくり、はっきり、伝わりやすいボキャブラリーで話せば、誰でも理解できます。これも、私が常に「ゆっくり、はっきり、大きな声で話す」スタイルを貫く一つの理由です。

    一橋大学やグロービス経営大学院での講義や講演では、ほとんど英語を使いました。例えば「ウォークマン誕生の秘話」のような、外部の人が知り得ない開発プロセスやネーミングの決定理由などを、パワーポイントのスライドを使いながら分かりやすく説明しました。

    このとき、私はスライドを日本語と英語のバイリンガルで作っていました。日本人が見てもまず日本語が目に入るので、私が英語で何を言っているかすぐに頭に入り、ほぼ100%理解できます。これは、特に受験英語の弊害が大きい日本において、非常に大事な教え方だと思います。日本の学校教育では、聞く・話すというコミュニケーション手段としての英語を使う能力を養うことができていません。読解力はあっても、ヴァーバルな(口頭での)コミュニケーションが取れない学生たちを相手にするには、バイリンガルでの講義は親切で効果的です。

    企業向けの講演でも、イオングループなどに対し、「国際人になる方法」といったテーマで講演を行いました。全体の7割は英語で話しますが、補足として30%ほどは日本語で説明する丁寧な方法です。これは皆さんに非常によく分かっていただけて、効果的でした。ただ単に受験英語を教えるのではなく、活きた英語を教えることが重要です。もちろん、文法という基本をしっかり固めた上で、応用を習うというピアノやゴルフのレッスンと同じアプローチが必要です。

    講演の代理店からは、「ウォークマン誕生の秘話」「真の国際人になる方法」「リーダーシップ論」など、様々な注文が来ました。その際、理論に走り過ぎるとつまらない講演になってしまいます。理論だけなら他の先生でもできます。私の講演の説得力の源は、「具体的な経験に基づく臨場感」です。

    私が実際に一緒に仕事をした、マーガレット・サッチャーさん、リチャード・ブランソン、ジェフリー・アーチャー、ジャン・ポール・カミュといった世界的なリーダーたちとの、ビジネスの裏側や家族ぐるみの付き合いのエピソードを話すのです。「こういう人にこんな話をしたら、こんな反応があったよ」といった具体的な経験談には、強い説得力が生まれます。

    大学の講義でも、なるべく自分自身の経験を話し、それを理論と結びつけることが非常に重要だと考えています。経験だけでは単なるお話になってしまい聞いている方も飽きてしまう。そこに理論を組み合わせる「ドッキング」、つまり「経験プラス理論」こそが、私の教育スタイルなのです。

    #植山周一郎#ソニー#経営コンサルタント#コンサル#交渉人#代理人#ブランディング#マーケティング
    Diamond AI trial