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2025

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    世界の頂点を目指して――WBC誕生の舞台裏と激闘の記憶

    世界の頂点を目指して――WBC誕生の舞台裏と激闘の記憶

    世界中のスター選手が一堂に会し、国の誇りを胸に熱戦を繰り広げる――そんな夢の舞台が、ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)です。
    本記事では、WBCの誕生秘話から歴代大会の激闘、そして直近大会で生まれた新たな潮流や、次回2026年大会の“見逃せないポイント”まで、余すところなくご紹介いたします。

    世界最高峰の野球の祭典

    WBCは、「ワールド・ベースボール・クラシック」の略称で、野球の世界一を決める国際大会です。
    主催は米国メジャーリーグベースボール(MLB)機構とMLB選手会。世界野球ソフトボール連盟(WBSC)も公認し、2006年に第1回大会が開催されて以来、約3~4年ごとに行われています。
    オリンピック野球が長らくアマチュア中心であったのに対し、WBCはプロ選手、しかも現役MLBのトッププレーヤーが参加できる唯一の国際大会です。

    WBC誕生の舞台裏

    WBCが生まれた背景には、「野球の国際化」という大きな流れがありました。 1990年代後半、MLBには日本や韓国、キューバ、ドミニカなど、多国籍のスター選手が次々と参戦。米国だけのリーグではなく、「世界の野球の中心地」としての役割が強まっていました。
    そこで当時のMLBコミッショナー、バド・セリグ氏が「国別の世界一決定戦、プロ野球界のワールドカップを作ろう」と提唱。最初は「スーパーワールドカップ」という仮称で議論が進みましたが、運営体制や参加国選定を巡る交渉が難航。特に日本や韓国は「MLB主導ではなく、独立した組織で開催すべき」と異議を唱えました。
    最終的には、MLBと選手会が「ワールド・ベースボール・クラシック・インク(WBCI)」という大会専用団体を設立。これにより、世界中のプロ選手が“平等な立場”で参加できる土壌が整ったのです。

    WBCの歴史をたどる――歴代大会の軌跡と名場面

    第1回(2006年)――日本が初代王者に

    記念すべき第1回大会は、16カ国・地域が参加。アメリカ、日本、プエルトリコ、ドミニカ、キューバなど、野球強国が集結しました。
    王貞治監督率いる日本代表が、準決勝で韓国、決勝でアマチュア最強キューバを撃破し、初代王者に輝きます。
    イチローや松坂大輔、大塚晶則らが牽引し、国際大会ならではの緊張感とドラマが生まれました

    第2回(2009年)――日本が連覇達成

    第2回大会では、ダブルイリミネーション方式(2敗で敗退)のトーナメントが導入され、緊張感がさらにアップ。
    原辰徳監督率いる「SAMURAI JAPAN」は、アメリカや韓国との激戦を制し、見事に連覇。
    イチローの延長10回タイムリーなど、多くの名場面が生まれました。

    第3回(2013年)――ドミニカ共和国が無敗優勝

    この大会から予選ラウンドが導入され、世界各地の新興国も本戦出場のチャンスを得ました。
    日本は準決勝でプエルトリコに惜敗。優勝は全勝で勝ち抜いたドミニカ共和国。強力打線と堅守、投手陣の安定感が際立ちました。

    第4回(2017年)――アメリカが初優勝

    ついに野球の母国・アメリカが初優勝。
    準決勝では日本がアメリカに惜敗し、2大会連続のベスト4。
    決勝でアメリカは、全勝のプエルトリコを圧倒して栄冠をつかみました。

    第5回(2023年)――侍ジャパン、14年ぶりの世界一

    コロナ禍で延期を余儀なくされた第5回大会(当初は2021年予定)は、2023年に開催。
    「侍ジャパン」は大谷翔平、ダルビッシュ有、ヌートバー、吉田正尚らメジャーリーガーと国内トップ選手が融合し、7戦全勝で王座奪還。
    決勝のアメリカ戦では、大谷翔平がマイク・トラウトを三振で仕留める“夢の対決”が実現し、世界中を熱狂させました。

    WBCを彩る選手たちの物語

    WBCの最大の魅力は、国の垣根を越えて集まるトップ選手たちの“魂のぶつかり合い”です。
    ここでは、前回大会に出場した4人のメジャーリーガーの言葉と活躍を紹介します。

    大谷翔平――「憧れるのはやめましょう」

    決勝前、「今日は彼ら(アメリカ選手)に憧れるのはやめましょう。勝つことだけを考えましょう」とチームを鼓舞。二刀流として投打でベストナインに輝き、大会MVPを獲得しました。

    ダルビッシュ有――「野球が好きという気持ちを忘れずに」

    大会前、「戦争に行くわけではない。好きな野球を楽しんで全力で戦おう」と語り、若手選手の精神的支柱になりました。
    “ダルビッシュ塾”と呼ばれた自主練習でチームを引っ張り、経験と知恵を伝えました。

    ラーズ・ヌートバー――「何でもやる精神」

    日系メジャーリーガーとして初めて侍ジャパン入り。「野手陣が点を取れば優勝できない理由はない」と意気込み、攻守にわたる活躍でファンの心を掴みました。
    彼の存在は、WBCの“国際色”を象徴するものでもあります。

    吉田正尚――「憧れの舞台で全力を尽くす」

    「WBCのユニフォーム姿に憧れていた」と語り、メジャー移籍1年目で異例の参戦。歴代最多の13打点を挙げ、ベストナイン入り。日の丸を背負う誇りをプレーで示しました。

    WBCならではのルールと参加資格――“多様性”と“国際化”の象徴

    WBCの特徴は、世界中の多様な選手が出場できる柔軟な参加資格にあります。

    • 参加国の国籍または永住資格がある
    • 参加国で生まれている
    • 両親のどちらかが参加国の国籍・出生地を持つ
    • 過去に同国のWBC代表として出場した経験がある
       

    このため、日系人や二重国籍の選手も多く、普段は見られない“国際色豊かなチーム編成”が可能となっています。
    例えば第5回大会では、アメリカ生まれの日系人ヌートバーが日本代表入りし、話題を集めました。

    まとめ

    WBCは、スポーツの枠を超えた「文化と情熱の祭典」となりました。

    • 世界中のトップ選手が、母国の誇りを賭けて戦う
    • 多様性と国際化が進み、予想を超えるドラマが生まれる
    • 未来の野球界を担う新星が次々と登場する土壌となる
       

    次回2026年大会では、どんな新たな伝説が生まれるのか――今から目が離せません。

    #WBC#ワールドベースボールクラシック#国際野球#野球世界一#野球国際大会#侍ジャパン#MLB#メジャーリーグ#プロ野球

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