今、“第2の職業”として農業が注目を集めており、農業を副業として選ぶ人が増えています。

背景には、働き方改革や副業解禁の流れがあり、会社員や公務員の方でもチャレンジできる環境が整ってきました。さらに、自然とのふれあいや健康志向の高まりも、この流れを後押ししています。

農業を副業にするメリット

1. 新鮮な野菜を自分で収穫できる贅沢

まず一番の魅力は、「自分で育てた野菜や果物を、好きなだけ味わえる」ことです。たとえば、週末農業を始めたある会社員は、「採れたてのトマトを家族で食べる時間が、何よりも贅沢」と語ります。

実際、家庭の食費も抑えられ、健康面でも大きなメリットが期待できます。

2. 本業のストレス発散＆リフレッシュ

自然と向き合う時間は、日々のストレスを癒す最高の“サードプレイス”となります。 デスクワークが中心の方からは「土を触るだけで気持ちがリセットされる」といった声も多数あります。

農作業は体を動かすため、運動不足の解消にもつながります。

3. 収入アップのチャンスも

「副業農家」として年に数十万円から数百万円の収入を得ている方もいます。実際、農林水産省の統計では、副業的に農業を営む方の平均年収は約247万円というデータもあります（経費はここから差し引かれます）。

もちろん、規模や作物選びによって差はありますが、本業の収入にプラスαの“実益”を得ている方も多いのです。

4. 地域貢献や新しい人間関係

農業を通じて地域の高齢者や既存農家との交流が生まれ、地域活性にも一役買えます。

また、直売所やネット販売などを通じて、新たなコミュニティや顧客との出会いも期待できます。

副業農業の始め方――5つのステージ

1. 週末農業

副業農業の王道は、「週末農業」です。平日は本業、土日は自然相手に汗を流す。“週末農家”という新しいライフスタイルに挑戦してみませんか？

特徴

• 初期コストが低く、気軽に始められる
• 家族で一緒に作業できる
• 続けられるかどうかを試せる

2. 市民農園を利用

都市部在住の方におすすめなのが、市民農園の活用です。自宅近くで農地をレンタルし、必要な農具も借りられるため、“手ぶらで農業”が可能です。

特徴

• 月額または年額の低コストで始められる
• 水道や物置、農具が完備されている場合が多い
• 農業初心者でも安心

注意点

• 営利目的は制限があることも。自治体の規約を確認しましょう

3. シェア畑

シェア畑は、複数人が共同で農地を使う新しい形の農園です。近年、都市近郊で急増中。「農業の先生」が常駐していることも多く、初心者でも失敗を恐れず始められます。

特徴

• 指導やサポートが充実
• 苗や肥料など必要な資材もセット
• コミュニティとしての楽しみも

4. 家庭菜園

自宅に庭や畑がある方は、家庭菜園から始めるのも一案です。好きな時に作業できるのが最大のメリット。ただし、すべてを自分で管理する必要があります。

ポイント

• 作業や管理が手間だが、自由度は最高
• 初心者は手間のかからない作物から

5. 半農半X

「半農半X」は、自分や家族が食べる分だけ農業を行い、それ以外の時間は他の仕事や活動をするスタイルです。

経済的な利益よりも食の安心や生活の質を重視する人にぴったりです。

副業農業におすすめの作物――「手間」「単価」「面積」で選ぶ

手間のかからない作物

本業と両立するには「手間が少ない」ことが重要です。
おすすめは以下の根菜類です。

• ジャガイモ・サツマイモ・里芋・ビーツ
  → 肥料や水やりが少なくて済み、放置気味でもよく育ちます。

単価が高い作物

大量生産が難しい副業農家は、「少量でも高単価」な作物が狙い目です。

• ミョウガ・アスパラガス・タラの芽
  → 病害虫に強く、1キロ数千円で取引されることも。
• ロマネスコ・ビーツ
  → 珍しい野菜はネット販売で高値が付きやすいです。

狭い面積でも育てやすい作物

市民農園やシェア畑など、限られたスペースで始める方にはこちら。

• ミニトマト・ナス・オクラ
  → 1本の苗からたくさん収穫でき、初心者でも育てやすい。
• バジル・フキなど葉物
  → 何度も収穫できて、家庭用でも余るほど成長します。

副業農業での販売方法――どこで、どう売る？

1. 直売所での販売

道の駅や市内の直売所は、出荷のハードルが低く、多くの消費者にアピールできます。
ただし、出品者登録や販売手数料がかかる場合も。また、他の生産者と差別化する工夫も必要です。

ポイント

• 時期をずらして出荷、珍しい品種や加工品で差別化
• 販売量に応じて利用料や手数料をチェック

2. JA（農協）を活用

一定の規格を満たした作物であれば、JAにまとめて出荷できます。安定した収入を望む方におすすめですが、価格は市場動向に左右されることもあります。

メリット

• 出荷や集荷を一任できる
• 販売ルートが安定

デメリット

• 規格外品は引き取ってもらえない
• 販売手数料や運送費が差し引かれる

3. ネット販売

ネットショップやフリマアプリ、SNSを使えば、全国の消費者へダイレクトに販売できます。「訳あり品」なども人気です。

注意点

• 集客やPRがカギ
• 発送・在庫管理・顧客対応など手間も多い

副業農業の注意点

1. 会社の就業規則を必ず確認

副業解禁の流れとはいえ、会社によっては副業を禁止している場合もあります。特に「収入を得る農業」は事前申請や許可が必要なことが多いです。趣味レベルならOKでも、販売する場合は明確な線引きが求められます。

2. 収入が増えたら「確定申告」を忘れずに

副業農業での所得（経費差引後）が年間20万円を超えたら、確定申告が必要です。住民税の申告も必要になるため、記帳や経費管理はこまめに行いましょう。

3. 初期投資とランニングコストに注意

農地や農機具の準備にはまとまった資金が必要です。国や自治体が用意する補助金や助成金が活用できる場合もあるので、情報収集と計画的な資金管理が重要です。

4. 定期的な作業と収穫タイミング

農作物は、環境や天候によって成長が左右されます。水やり・雑草取り・害虫対策・収穫期の見極めなど、定期的な手入れが不可欠です。忙しい方は、前述のように手間のかからない作物から始めるのが安全です。

まとめ――「農業副業」は“人生の新しい選択肢”に

農業を副業にすることは、今や特別な選択ではありません。むしろ、働き方や価値観が多様化する現代において、「自然と共に生きる」「新鮮な食を自分で作る」「地域とつながる」といった豊かな体験が得られる最高のサイドビジネスと言えるでしょう。

農業副業のポイントまとめ

• 週末農業・市民農園・シェア畑など、自分に合った形で始められる
• 手間・単価・面積に着目し、無理なく続けられる作物を選ぶ
• 直売所・JA・ネットなど多様な販売ルートを活用
• 会社の規則や税務申告、補助金制度をしっかり確認
  　

「自分もやってみたい！」と思った今が、始めどきです。小さな一歩から、あなたの第2のキャリアが始まるかもしれません。