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ママの心と体を守る場所――「産後ケア施設」のすべて
ビジョナリー編集部 2025/12/02
出産後の女性は心も体も大きく揺れ動き、不安を感じたことがある方も多いのではないでしょうか。特に現代は、子育てのサポートが受けづらくなり、孤独感や育児ストレスを抱えるママが増えています。
そんな時代背景のなかで、注目を集めているのが「産後ケア施設」です。
今回は、産後ケア施設の基本から、国内の注目施設、利用時のポイントまで、最新情報をまとめてご紹介します。
産後ケア施設とは
かつて日本では、出産後は実家に里帰りして1か月ほど過ごすのが一般的でした。家族のサポートを受け、心身の回復と育児の自信をつける大切な時期だったのです。
しかし、共働きや核家族化が進んだ現代では、実家の手助けを受けられない人も増えています。そんな中、心強い味方となるのが産後ケア施設です。
産後ケア施設とは、ママと赤ちゃんの心身の回復と育児サポートを目的に運営される専門施設。助産師や看護師、専門スタッフが常駐し、母子の健康管理や育児指導、メンタルケアなど、幅広いサポートを提供しています。
産後ケア施設は、韓国の「産後調理院」(チョリウォン)が発祥と言われており、1997年ごろから普及し出したそうです。韓国では9割以上が産後ケアを利用しているとされ、国の補助事業も行われています。
産後ケア施設のスタイル
宿泊型(ショートステイ)
施設に数日~1週間ほど宿泊し、24時間体制のサポートを受けるスタイルです。夜間の授乳や赤ちゃんの世話もスタッフがサポートしてくれるため、ママはしっかりと休息を取ることができます。 パートナーや上のお子さんも一緒に宿泊できる施設も増えています。
日帰り型(デイケア)
数時間~1日、施設に通いながら必要なケアや指導を受けるスタイルです。個別型とグループ型があり、同じ時期に出産したママ同士で交流できることも特徴です。
訪問型(アウトリーチ)
助産師や専門スタッフが自宅を訪問し、母子の健康チェックや育児相談、乳房マッサージなどを提供するスタイルです。家から出られない時期や外出が不安な方に最適です。
産後ケア施設で受けられる主なサービス
母体ケア
- 出産後の体調チェックと休息の確保
- マッサージや骨盤ケア、アロマセラピー、リラクゼーション施術
- 食事の提供(管理栄養士監修のバランスメニュー)
乳児ケア
- 赤ちゃんの体重・健康チェック
- 授乳指導、母乳やミルクのケア
- 沐浴やおむつ替え、寝かしつけのサポート
育児相談・指導
- 育児に関する悩み相談
- パートナー・家族への育児指導
- 地域サービスや保育情報の提供
メンタルサポート
- 産後うつやマタニティブルーへのカウンセリング
- ママ同士の交流会やグループセッション
その他
- ベビーマッサージやベビーヨガなどのアクティビティ
- 美容・エステメニュー(民間施設の場合)
- 写真撮影や記念イベント
産後ケア施設が必要とされる理由
近年、厚生労働省の調査によると、出産後2週間未満のママの半数以上が「自分の体のトラブル」に大きな不安を感じていることが分かりました。
また、産後の情緒不安定(マタニティブルー)や産後うつが社会問題化し、母子保健法の改正によって、全国の自治体で産後ケア事業が拡大しています。
産後ケア施設は「体力を回復する場所」でありながら、「心のよりどころ」としての役割も果たしているのです。
国内の注目産後ケア施設
【関東エリア】
マームガーデンリゾート葉山(神奈川県)
日本最大規模の産後ケアホテル。都内からアクセスも良く、岩盤浴やピラティスなどのリフレッシュサービスも充実。追加料金なしで利用できるサービスが多い点が特徴です。
ヴィタリテハウス(神奈川県)
温かみある木の内装、広々とした空間が自慢のデイケア型施設。旬の食材を使った食事も好評で、心身ともにリフレッシュできます。
【関西エリア】
産後ケアホテル ぶどうの木(京都・大阪・横浜・浦和)
産後だけでなく産前の利用も可能。助産師常駐で母体ケア・授乳サポートが充実。管理栄養士による食事や骨盤矯正プログラムも人気です。
Pista助産院(大阪府)
少人数制でアットホームな雰囲気。24時間体制のサポートとリーズナブルな料金設定が特徴です。
【中部エリア】
milieu(愛知県)
ホテル型の産後ケアサービス。実家のような安心感と、24時間対応の赤ちゃん預かりサービス。管理栄養士の食事やオプション施術も充実しています。
料金の目安
宿泊型の場合
- 1泊2万円~10万円程度
- 高級施設はさらに上乗せ
- 長期滞在割引や家族同伴プランも
日帰り型の場合
- 1回1万円~3万円程度
行政の施設
自治体の施設は安く利用できるメリットはありますが、申請しても必ず使えるわけではなかったり、回数に制限があることも多いため、事前に地域の窓口で確認が必要です。
一方で、民間施設は誰でも利用できるメリットがあり、利用回数の制限もありません。
産後ケア施設を選ぶ際のポイント
「イメージと違った…」という失敗を防ぐために、以下のチェックリストを活用してみてください。
- 料金体系や食事、送迎サービスの有無
- 24時間サポート体制や利用可能月齢
- 育児指導やパパ向けサポートの有無
- スタッフの対応や雰囲気
- プライバシーや家族同伴の可否
- 食事の栄養バランスとメニューのバリエーション
- 客室や授乳室などの清潔さ・設備
- アクセスや周辺環境
- 持ち物やアメニティの準備状況
- 事前見学や口コミ、SNSでの評判
特に長期利用を考える場合は、事前の見学や説明会への参加をおすすめします。
まとめ
出産という大仕事を終えたママと赤ちゃんには、何よりも“安心できる休息”と“自信を持って育児をスタートできる環境”が必要です。産後の不安や体調の不調に悩んでいるなら、ぜひお住まいの地域や近隣の産後ケア施設を調べてみてください。
「どう手続きすればいいかわからない」と感じたら、市町村の窓口や保健師に相談することから始めましょう。
産後ケア施設を上手に活用することで、心も体も癒される新しい毎日が始まります。


