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2026

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    ガジェットに“遊び心”を――Nothingが日本市場で巻き起こす革命

    ガジェットに“遊び心”を――Nothingが日本市場で巻き起こす革命

    スマートフォンはすっかり生活必需品になりましたが、「どれを選んでも大きな違いはない」と感じている人も多いのではないでしょうか。

    そんな成熟市場の中で、日本のガジェット市場でじわじわと存在感を高めているのが、英国発のスマートフォンメーカー「Nothing」です。

    「Nothing」誕生の背景――“つまらなさ”への挑戦状

    Nothingが創業されたのは2020年、イギリス・ロンドン。立ち上げたのは、中国発の人気スマートフォンブランド「OnePlus」の共同創業者であるカール・ペイ氏です。彼が新たな挑戦に踏み切った背景には、今のスマートフォン市場への強い問題意識がありました。テクノロジーが高性能化する一方で、どの端末もデザインや体験価値が画一化し、かつて感じていた手に持った時の“ワクワク”が失われてしまった――そんな閉塞感の打開が出発点です。

    カール・ペイ氏は「テクノロジーを再び面白くする」という理念を掲げ、何よりも“感情の引っかかり”を大切にしたものづくりを追求します。単なる道具としての利便性や価格だけでなく、所有する喜びや遊び心、そして暮らしの中でふと感じる高揚感を、デザインと体験の両面から実現しようとしたのです。

    透明なデザインが生み出す“存在感”

    Nothingの最大の特徴といえば、やはり“透明ボディ”です。スマートフォンの背面パネルから内部構造が透けて見えるスケルトン仕様は、強いインパクトがあります。しかも、ただ透明なだけではありません。製品の細部には、元ダイソンのデザイナーが手がけた幾何学的な美しさや、LEDによる光の演出が巧みに組み込まれています。

    たとえば初代「Phone (1)」に搭載された「Glyphインターフェース」は、背面に配置されたLEDライトが着信や通知をパターンで知らせる仕掛けでした。単なる飾りではなく、テクノロジーと遊び心が融合した「見て楽しく、使って便利」な体験を生み出しています。

    最新モデル「Phone (3)」では、そのインターフェースがさらに進化し、「Glyphマトリックス」と呼ばれる円形のミニディスプレイを採用。489個ものマイクロLEDが集積し、時刻やバッテリー残量の表示はもちろん、ストップウォッチやミニゲームなど、まるでサブディスプレイのような新機能を実現しました。このようなNothingの独自性は、スペック偏重の市場で圧倒的な個性となっています。

    使い心地にも“驚き”を――Nothing OSとAI連携

    見た目だけがNothingの魅力ではありません。Nothing OSは、Androidをベースにしながらもミニマルかつ直感的な操作性に磨きをかけています。アプリ名の表示を省略した大胆なホーム画面や、頻繁に使うアイコンだけを大きく見せる工夫。さらに「Essential Key」と呼ばれる側面ボタンを押すだけで、スクリーンショットや録音、AIアシスタントの呼び出しがワンタッチで完了します。

    また、最新のNothing OS 3ではChatGPTとの連携が強化され、スマートフォンやイヤホン、スマートウォッチからシームレスにAIを呼び出せるようになりました。従来なら複数のアプリを切り替えていた作業も、Nothingでは“思いついた瞬間”にAIがサポート。たとえば音声メモを録る、スクリーンショットを記録する、Webで見つけたイベント情報を保存する――それらの情報をAIが自動で整理し、ToDoリストやリマインダー化するなど、日常の面倒を自然に解決してくれます。

    “共創”がブランドを強くする――Nothingとファンの特別な関係

    Nothingの成長を支えているもう一つの柱は、ファンとのユニークな関係性です。創業当初からコミュニティを大切にし、8000人を超えるファンが少額投資を通じて株主となり、開発やブランド運営にも直接関与しています。この“共創型”の仕組みは、製品の壁紙や限定カラーの投票、イベントでの意見交換など、ユーザーがブランド作りの一員になる体験として形になっています。

    実際、Nothingが生み出す“ワクワク感”の裏には、こうしたユーザー参加型の仕組みが大きな役割を果たしています。新製品発表イベントでは、コミュニティ経由で集まったファンが熱気を持って開発チームを応援し、ブランドストーリーを自分ごととして語る姿が見られるのです。

    日本市場への本格参入――「世界トップクラスの審美眼」への挑戦

    Nothingは2022年に日本法人「Nothing Technology Japan株式会社」を設立し、本格的な市場開拓をスタートしました。カール・ペイ氏は「日本のユーザーやメディアは世界でもトップクラスの審美眼を持つ」と語り、日本市場で受け入れられるかどうかを“ものづくりの試金石”(=ある物事の価値・真価・成否を見極めるための判断材料になるもの)と位置付けています。

    その本気度は製品戦略にも表れており、日本向けモデルにはFeliCa(おサイフケータイ)対応や、楽天モバイル限定カラー「レッド」の展開など、ローカライズを徹底しています。楽天モバイルとの協業により、全国の店舗で端末の実機を手に取れる環境も整えました。

    日本で発売されたエントリーモデル「Phone (3a) lite」は、サブブランドCMFではなくNothing本体の名を冠した初の低価格モデル。単に安さを追求するのではなく、「NothingのDNAをより多くの人に体験してほしい」という思いから生まれた製品です。グローバル展開より遅れての日本導入となった背景には、こうしたこだわりがありました。

    スペックでも妥協なし――最新チップ搭載で“価格の壁”に挑む

    Nothingはデザインやユーザー体験だけでなく、スペック面でも大手と渡り合える実力を備えています。たとえばフラッグシップモデル「Phone (3)」には、クアルコムの「Snapdragon 8s Gen 4」を採用。12万円を超える価格設定は、従来のNothing製品より高額ですが、その分ハイエンドスマホに劣らないパフォーマンスを実現しています。

    実際に使ってみると、ディスプレイの美しさやカメラ性能の高さは、20万円超のスマートフォンとも互角に戦えるレベル。夜の飲食店での撮影でも、ちょうちんの光や看板が白飛びせず、明るく鮮やかな写真が撮れるなど、細部にまで“体験価値”へのこだわりが感じられます。

    また、AIを活用した「Essential Space」機能では、スクリーンショットや音声メモ、写真などをワンタッチで記録し、AIが自動で整理・要約・リマインドしてくれるなど、単なるスペック競争ではない“使う楽しさ”を追求した設計が光ります。

    オーディオ分野にも進出――“体験”を豊かにするヘッドホン

    スマートフォンだけでなく、Nothingはオーディオ分野にも積極的に進出しています。代表的なのが「Headphone (1)」。英国の名門オーディオブランド「KEF」と共同設計し、高音質と個性的なデザインを両立しました。アルミニウム素材を用いた質感、触感で直感的に操作できる物理ボタン、さらにはファッションアイテムとしても映えるルックス――これらが若者層を中心に支持を集めています。

    音質についてはやや軽めとの評価もありましたが、今後のアップデートによる改善も期待されています。iPhoneに接続して使うこともでき、AirPods MAXに手が届かない層への“現実的な選択肢”として、市場での存在感を高めています。

    “Apple的”と言われる理由――思想と体験価値の再翻訳

    Nothingが「いま最もApple的」と評されることが増えています。これは単に見た目やデザインが似ているからではありません。かつてAppleが“最新技術そのもの”ではなく、“その技術をどう生活に落とし込むか”に注力し、画期的なユーザー体験で世界を驚かせたように、Nothingもまた「先進技術の実用化・商品化」と「体験価値の翻訳」に力を注いでいるからです。

    GlyphインターフェースやEssential Space、物理ボタンを多用した操作系など、どの機能も“使いやすさ”“ワクワク感”“価格の手頃さ”を巧みに両立。スペックや技術力を見せつけるのではなく、“毎日使いたくなる楽しさ”を徹底して追求する姿勢が、ユーザーの共感を呼んでいます。

    グローバルでの急成長、そして課題

    Nothingは創業からわずか4年で、スマートフォンやオーディオデバイス累計700万台以上を販売し、売上規模は10億ドルを突破。スマートフォン市場では世界シェア1%未満ながら、2024年上期の成長率は前年比693%という驚異的な数字を記録しています。公式ウェブサイトへのアクセスもインド、米国に次いで日本が3位につけており、日本市場はグローバル戦略の中心地と位置づけられています。

    しかし課題もあります。現状、Nothingの支持層はガジェット好きやテクノロジー愛好家が中心で、一般消費者への浸透はまだ途上です。日本での販売チャネルも楽天モバイルが中心で、大手キャリアでの取り扱い拡大が今後の成長のカギを握ります。

    まとめ――“Nothing”が描くスマホの未来

    Nothingは「面白さ」「遊び心」「体験価値」を武器に、新たな市場を切り拓いています。透明デザインや光の演出、AIによる生活サポート、物理ボタンの操作感――どれをとっても「他と違う」強い個性が、日々の生活に小さな驚きと喜びをもたらしてくれます。

    スマホを探しているなら、一度Nothingの端末を手に取ってみてはいかがでしょうか。きっと、これまでにない新しい発見が待っているはずです。

    #Nothing#NothingTechnology#Nothingスマホ#スマートフォン#ガジェット#最新スマホ#スマホ新製品#スマホレビュー

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