THE CIO LOUNGE 第1回――世界のト...
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THE CIO LOUNGE 第2回――現場文化にマッチするシステム開発と、高度化するセキュリティ対応。AI時代にCIOが担うべき役割とは
ビジョナリー編集部 2026/02/26
FM大阪で放送中のラジオ番組『The CIO Lounge』。第1回では番組コメンテーターを務める『特定非営利活動法人 CIO LOUNGE』矢島孝應(やじま たかお)理事長と加藤恭滋(かとう きょうじ)副理事長が登場し、CIO(最高情報責任者)の立場からDX推進の遅れが指摘される日本社会への危機感について語った。1月10日(土)にオンエアされた後編の第2回では、AIが急激な変化をもたらす社会の中でCIOが果たすべき役割と、セキュリティ対応などに苦慮する情報システム担当者が“相談できる場”を持つことの重要性を訴えた。
※こちらから番組収録時のディレクターカット版をお聞きいただけます。 https://www.fmosaka.net/_ct/17815862
AIが知的労働を置き換える未来は、想像より早く来る
珠久: 矢島さんが、今年ITテクノロジー関連で注目していることは何でしょうか。
矢島: 昨年以上に、AIの発展が凄いことになるんじゃないかと思っています。標準的な知的労働者が不要になっていく世界が訪れるのではないかと言われていますが、我々の想像以上にその到来が早くなるかもしれません。コンピューターを動かすプログラムの80%くらいは、今AIで書けるんですね。これまではプログラマーの確保に苦労していたのに、今ではプログラマーを削減し、リスキリングをしようかっていう話になっている。弁護士や町医者、税理士などの職はこれからも残るのでしょうが、彼らにしても結局は知識ベースで物事を判断しています。そこをAIは100倍、1000倍の知識を持って判断を下すことができます。
珠久: そんなにレベルが上がってきているんですか。
矢島: だから私は大学の入試も、パソコンやスマホを持ち込み可とすべきだと思うんですね。大学入試は記憶力判定をしていますよね。もうスマホを手に持っていたら、記憶力なんていらない。むしろテクノロジーを活用して知識を補いつつ、適切な回答を編み出していく力の方が現代にとっては重要なんです。今、私は大学で非常勤講師をやっているのですが、大学の先生たちもAIを使って論文を作成する行為を許さないと言っている方と、どんどんAIを使って壁打ちしながら論文を作りなさいという方とで二極化しています。問題なのは前者のような姿勢です。世の中は変わってきたのに、テクノロジーを使わせない。「新幹線や飛行機を使わずに東京まで早く到着した者を勝ちとする」みたいなことをさせて、何の意味があるのかと。

▲2025年7月に開催された、CIO LOUNGE主催のワークショップより。「なぜDXの取り組みは上手くいかないのか」と積極的な議論が交わされた
CIOとはシステム作成で現場に寄り添い、データ管理で社長のブレインになる存在
珠久: お二人は現役時代CIO(最高情報責任者)を務められていましたが、企業側の立場から見たCIOの重要性は、どんなところにあると思いますか。
加藤: 情報システム部に対して企業の中では、やれセキュリティだ、ネットワークが難しい、お金がかかるなどと、“できない理由”ばかり言う頼れない部署であるという見方が根底にあったと思います。最初にこの役割をいただいた時に、まず信頼される情報システム部になろう、と呼びかけました。現場の悩みを待ちの姿勢で聞くのではなく、現場にもう一歩踏み込んで、一緒に考えてIT対応をすればより良い結果が出るという考え方でやっていこうと、情報システム部全体の意識の切り替えを図りました。システムは道具です。システムを作ることは目的ではなく、現場の方がより良いパフォーマンスを出せるために存在するものだと私は考えていました。
矢島: 今、加藤さんは現場ベースで働く立場でお話しくださいましたが、CIOにはもう一つ役割があります。社長の代行をどれだけできるかということです。企業の組織はずっと縦割りです。取締役も執行役員も部長もみんな担当があって、今は副社長ですら担当がある。したがって会社全体を横串刺して見ているのは社長しかいないっていう会社が多いんです。一方で情報システムでは必要な業務プロセスとかデータなどは、企業全体で見ないといけない。それを見ることができるのは誰かというと、CIOなんですね。情報システム部を機能させている会社は、横串を刺す社長のブレインの一つをCIOが代行するという位置づけで動いていると思います。
珠久: 社長がワンマンの会社も多いですものね。
矢島: 多いですね。IT推進の中で企業全体をシステムでカバーしようという潮流が2000年ぐらいになって訪れたのですが、日本がITで遅れ始めたのはそのころからです。そこに、日本企業の縦割り文化が影響しているんです。欧米の企業文化では経営視点で全社を見るということに慣れていたので全社全体でプロセスとデータ管理をする世界に切り替えられたんですけど、日本だとどうしても縦割り組織が強い中で「情シスが自分のところに介入してくれるな」と拒絶されがちで、その切り替えがうまくいかない。
加藤: 「欧米の働き方と日本の働き方には大きく違いがある」ということをよく認識した上で、DXの取り組みをした方がいいんじゃないかと常々思っています。やはり日本では現場力が強く、現場の人が頑張って「カイゼン」を行い日本のものづくりを支えてきました。ところがそれは、今のDXや標準化といった流れとは相入れないところがある。“いいとこどり”ができないかなとずっと思っていました。
珠久: これはどうしたら改善していくのでしょうか。
加藤: AIが活躍してくれるんじゃないかなと期待しています。現場の熟練者が持つノウハウを次世代に伝えるためにAIを活用しようという発想自体は、以前からありました。ただ、実際の業務プロセスに合った形で知識を引き継げるAIエージェントが十分に整備されていないのが現状です。今後、企業ごとの業務にフィットする形でそうした仕組みが整っていけば、状況は大きく改善していくはずです。
一方で、欧米のように「労働者がマニュアル通りに動くこと」を前提にした標準化の仕組みは、日本ではなかなか受け入れられないと思います。日本の現場は個々の判断や暗黙知に支えられている部分が大きく、単純なマニュアル化では対応しきれないからです。

▲2024年11月に開催されたセミナーの冒頭であいさつをする矢島理事長
どこにも相談できない社内のDX悩みも、CIO LOUNGEでなら
珠久: NPO法人CIO Loungeについて深掘りしていきたいと思います。加入するメリットっていうのは、どんなところにあるのでしょうか。
矢島: 私自身がCIOとして大阪でいろいろ議論する中で、「これって今僕悩んでるんだけど、加藤さんのところどうしてるの?」というふうに壁打ちしたかったんですよね。他社事例って非常に重要です。“井の中の蛙(かわず)”にならないことも重要ですし、自分が知り得ない情報も他社さんは知っている場合もあります。いろんなことを教えてもらいながら、一緒にそれを成長の糧にしようというところに意義があります。最近非常に喜ばれているのがセキュリティの対応なんです。
珠久: もう今、いろんなところに影響が出ていますものね。
矢島: でも自分の会社のセキュリティ対応は、絶対に世の中に公言できないんです。だからクローズして出席者以外に絶対に漏れないという集まりの中で、意見交換を行います。「おたくどうしてんの」「うちこれ考えてるけど、これって効果本当にあるのか」「社長からそんな金かけてどうするんだと言われてるけど、どうやって説得してるのか」とか、リアルな会話が非常に多いです。
珠久: そういう悩み相談は、どこにお問い合わせしたらいいのでしょうか。
加藤: ぜひぜひ我々に。
矢島: まず何を相談したらいいのか分からん、っていうところからで全然いいんです。「うちのIT、これからどうしたらいいのか」とか、「今ITの計画を作っているのだけど、これで合ってるのか」とか、「コンサルさんやベンダーさんからこんな提案もらったけど、本当に正しいのか」みたいな、そういう素朴な疑問でいいんです。そういう話を持ってきてもらえれば、うちにはいろんな経験を積んだメンバーがいますし、それぞれ得意分野を持った人間が必ずいますから、ちゃんとお答えできます。

<番組情報>
番組名:「The CIO Lounge」
放送日時:毎週⼟曜⽇ 7:00〜7:25
初回放送日:2026年1月3日(土) 7:00〜7:25
放送局:FM大阪
コメンテーター:矢島 孝應(特定非営利活動法人 CIO LOUNGE理事長)
元ヤンマー株式会社取締役CIO。パナソニック、三洋電機、ヤンマー3社で情報システム責任者を経験。現在理事長を務めながら、数社の社外取締役や顧問等の立場で活動。趣味はゴルフとワイン。
加藤 恭滋(特定非営利活動法人 CIO LOUNGE副理事長)
元大和ハウス工業株式会社上席執行役員・情報システム部長。経理部門に配属され、3度の会計システム開発に従事。2010年から情報システム部長(2021年3月定年)。趣味はゴルフと読書。
パーソナリティー:珠久 美穂子(FM大阪DJ)
大阪府出身。2000年にFM大阪の『Hit Street Midnight Special』でDJデビュー。趣味はドローン、ゴルフ、テニス。珠算検定2級、暗算検定2級、秘書検定2級。
特定非営利活動法人CIO Lounge HP: https://www.ciolounge.org/


