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その「欲しい」は「買う」に変わるのか?マクアケ木内氏が語る、商品企画に活かしたいリアルな顧客理解とは。
ビジョナリー編集部 2026/04/30
「欲しい」と「買う」の間に潜む、リサーチの落とし穴
新しい商品や体験価値を生み出そうと、多くのメーカーが日々懸命にものづくりに向き合っている。しかし、ものが溢れ、生活者のニーズがかつてなく細分化・複雑化する現代において、事前のリサーチで完璧に仮説を立て、一直線に開発を進める「ウォーターフォール型」の商品開発手法は、市場のリアルな変化に追いつけない 側面があるという。結果として、多大なコストをかけて商品を完成させたにもかかわらず、いざ市場に出ると売れない というケースが後を絶たないのが実情である。
入念な市場調査を経たはずの新商品が、なぜか市場の反応とズレてしまう。株式会社マクアケの共同創業者であり代表取締役の木内文昭氏は、この根本的な原因として 『仮説の磨き込み不足』 と 『 聞くべき相手のズレ』 を指摘する。
ここで陥りがちな罠とは、生活者の「欲しい」という言葉を鵜呑みにしてしまうこと である。木内氏は「『欲しいかどうか』と『買うかどうか』は全く別物 」とした上で、「実際に買った理由、買わなかった理由」をリアルに把握することの重要性を強調する。仮にインタビューで「こうした方がいい」「これなら欲しい」と熱心に語ってくれた人がいたとしても、最終的に「あなたは自分でお金を払ってこれを買いますか?」と問うと「買わない」と答える現実 は、決して珍しくないのだという。
顧客理解は開発者にとって大変でしんどいプロセス
では、なぜ作り手は『仮説の磨き込み不足』と『聞くべき相手のズレ』に陥ってしまうのか。木内氏によれば、深い顧客理解に基づいた商品開発を実際に行うのは「開発者にとって非常に大変でしんどいプロセス」だからだという。
「自分たちが『これしかない』と信じて開発したものが、生活者に受け入れられなかったり、否定されたりすることは、作り手にとって心理的負荷が大きい」と木内氏は分析する。そのため、仮説を磨き込んで確信を得る前に「ロジックは通っているから」「期日が迫っているから」と妥協したものを市場に出してしまうことが、結果として生活者の実際の購買行動とのズレを生む大きな要因となっている。
このズレを修正するために重要なのは、「欲しい」という意見ではなく、「買った」「買わなかった」という実際の行動に焦点を当てること 、そして作り手が仮説を明確に持った上で、対話を通じてその仮説をブラッシュアップしていくこと だという。
行動起点のエビデンスが確信となり社内を動かす
この「顧客理解というプロセスの負荷の大きさ」を乗り越え、確信を持って事業を推進することを支援するのが、同社の「Makuakeインサイト」である。木内氏が最大のユニークな価値として挙げるのが、マクロな市場の動きや「誰がなぜ買ったか」というミクロな視点に加え、「お気に入り登録したのに買わなかった理由 」が把握できるという点だ。
- マクロの視点:特定のカテゴリーやジャンルにおける市場の盤面を俯瞰できる。
- ミクロの視点:「誰が、なぜ買ったか」という解像度の高い個別のインサイトを得られる。
- 買わなかった理由の深掘り:「お気に入りに入れたのに買わなかった人」に対し、アンケートなどを通じて直接その理由を聞きに行くことができる。
一般的なアンケート調査とは異なり、実際に「買ったかどうか」という行動起点に基づいてアプローチできる ことが重要だと同氏は語る。複数の大手メーカーによる「Makuakeインサイト」の活用事例にも見られるように、この定性・定量の両面から得られるリアルなデータは、担当者が経営陣に対して自信を持って新商品を提案するための強力なエビデンスとなる。決して楽ではない顧客理解のプロセスにおいて担当者を勇気づけ、言葉にできない「勘」を「確信」にする後押しとなるという。
「WhoとWhat」の検証と拡張でキャズムを越える
アタラシイものや体験の応援購入サービス「Makuake」での先行販売を経て、一般流通へと展開し定番化を目指すプロセスにおいても、生活者のインサイトは欠かせない。アーリーアダプターからマジョリティへ展開する時の壁、すなわち「キャズム」を越えるためのカギを、木内氏は「『誰が(Who)、どんな価値を(What)認めて購入したのか』の仮説検証と拡張 」と表現する。
当初想定していたターゲットや価値が、生活者との対話を通じて「拡張」されるケースは多いという。例えば、「Makuake」に掲載されたある食品のプロジェクトでは、当初親に向けた「子供が楽しめる」という価値を想定していたが、「Makuakeインサイト」による生活者との対話を通じて「(大人が)ちょい足しやトッピングをしたい」という新たなニーズ(What)が発見された。これにより、親子にとどまらない新たなターゲット層が見えてきたのだ。
一般販売へと展開するフェーズでは、この「拡張されたWhoとWhat」を起点に、訴求の仕方や販売チャネルを組み合わせる必要がある。これらを商品企画・販売計画・営業部門といった各部門間で正しく共有しないまま一般販売へ進むと、「誰にどの価値を訴求するか」という部分に認識のズレが生じ、適切なプロモーションや販売に接続されない。それが「『Makuake』で売れたのに一般販売で売れない」という事態を招いてしまうのだと指摘する。
変わらない「顧客理解」の重要性
「新商品やサービスを企画し、定番商品にしていく営みは、極めてクリエイティブな仕事だと思います。顧客を起点にして商品を作るという行為は、変化の激しい現代においても普遍的に変わらず、古今東西重要なものだと思っています 」と木内氏は結んだ。
これまで個人の勘や経験に頼りがちだった商品開発は、今後「リアルな購入者/未購入者の声や行動データ」を掛け合わせ、さらにAIとも壁打ちしながらリアリティのある価値へと結びつけていく開発スタイルが主流となるだろう。マクアケは、こうした商品開発プロセスの支援を通じて「生活者を知り続け、売り続けられる共創循環プラットフォーム」として、事業成長に伴走するパートナーを目指していく構えだ。


