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2026

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    「中小企業の孤独を救いたい」――大同生命が挑む、経営者コミュニティ「どうだい?」に込めた温もりと長期視点の経営哲学

    「中小企業の孤独を救いたい」――大同生命が挑む、経営者コミュニティ「どうだい?」に込めた温もりと長期視点の経営哲学

     創業から120年を超える歴史を持ち、1970年代から一貫して中小企業市場に特化してきた大同生命保険株式会社。同社は経営者ならば誰しも抱くであろう、厳しい経営環境の中で「相談相手がいない」という孤独を解消すべく、生命保険という枠を超えた経営者向けオンラインコミュニティ「どうだい?」の開発を発表した。そこでこだわったのは、あえて無機質なデジタル空間に「温もり」を持ち込むことだったという。今回はこの中小企業のためのユニークな取り組み「どうだい?」について取り上げる。

     保険会社ならではの堅実な開発手法を覆すアジャイル開発への挑戦や、単年度の利益よりも中小企業の成長支援を重視する独自の経営哲学。すべての中小企業がつながり、共に成長する未来を目指す想いと開発の裏側について、本サービスを揺籃期から育ててきた、大同生命保険株式会社 お客さまバリュー開発部 長谷部氏にサービス誕生の背景・想いについて語っていただいた。

    中小企業と共に歩んだ歴史。「経営者の孤独」に寄り添う新たな挑戦

    そもそも、なぜ生命保険会社である御社がオンラインコミュニティ「どうだい?」を開発されたのでしょうか。

     創業120年を超えますが、1970年代以降、個人市場から中小企業市場へと舵を切って歩んできた歴史があります。高度成長期を経て中小企業経営者が抱えるリスクや責任が増大した時期でもあり、そのニーズにお応えする形で当社も成長することができました。今日の大同生命があるのは、間違いなく中小企業のお客様のおかげ なのです。

     中小企業と共に歩んできた50年以上の歴史の中で、私たちは中小企業経営者のお声を数多く聞いてきました。環境変化のスピードが速くなるにつれ、経営者の悩みは多様化し、複雑化しています。以前、経営者1万人を対象にしたアンケートを実施し、その後、毎月5,000人から7,000人の経営者の声を集めていますが、そこから見えてきたのは、経営課題を抱えていても「相談できる相手がいない」という深い孤独 でした。

     地元のコミュニティでは噂になることを恐れて本音が言えず、取引先などとの“公的な場”では、どうしても仕事への影響を気にしてしまい、すべてを素直に打ち明けて相談することが難しいという声もあります。

     中には、ご家族にすら心配をかけまいと悩みを打ち明けられず、一人で抱え込んでいる方もいらっしゃいます。当社はこれまで、保険を通じて企業の事業継続を支えてきましたが、保険以外にもできることがあるのではないか、と考えました。そこで、経営者の孤独を解消し、悩みを共有できる場所を作りたい という想いから生まれたのが、オンラインコミュニティ「どうだい?」なのです。

    無味無臭ではなく「温もり」を。名前の由来と大同生命らしさ

    「どうだい?」という親しみやすいネーミングには、どのような思いが込められているのでしょうか。

     一般的にオンラインコミュニティというと、利用者自身が生成するコンテンツが中心となるため、プラットフォーム側はカラーのない無味無臭な空間になりがちですが、私たちが一番大事にしたかったのは、「温もり」です。 経営者の孤独を解消する場所である以上、人と人との体温が感じられる場所でなければならないと考えたのです。

     このネーミングを考える際にも、本当に気軽に声をかけ合えるような、そして「最近どうだい?」と尋ね合えるような温かさを表現したいと考えました。また、「どうだい」という言葉が「大同」と響きが近いということも決め手になりました。実はカタカナ表記の横文字の候補もあったのですが、もし横文字にしていたら、現在のようには会員数が伸びていなかったと確信しています。

     また、イメージキャラクターの「どうだいくん」も、耳を大きくデザインしました。これも、中小企業経営者の声をしっかりと聞く という、私たちの根本姿勢を表現したものです。

    保険会社の常識を覆す。経営陣の理解とアジャイル開発への挑戦

    御社にとって初めての取り組みだったと思いますが、開発過程でどのような苦労がありましたか。

     まず、オンラインコミュニティという概念そのものや、「どうだい?」という柔らかい名前を通すことについて、経営陣の理解を得る必要がありました。取り組みを続ける中で「どうだい?」の意義が社内にも浸透し、今では多くの応援者が増え、前に進む力となっています。

     また、システム開発の手法も大きな壁でした。通常、保険商品の開発はミスが絶対に許されないため、最初からゴールを定めて段階的に作り込む「ウォーターフォール型」で行われます。しかし、今回のサービスでは、実際に経営者のご意見や反応を見ながら柔軟に変更していくことを第一としました。そこで、大同生命としては初めて、状況に応じて改善を繰り返す「アジャイル開発」の手法を取り入れた のです。これは当社にとって非常にチャレンジングなことでした。柔軟性を高めつつ、ミスの起こりづらい体制とするために、密なコミュニケーションを徹底しました。

     現在でも、毎月一度は何らかの改善をリリースしております。

     サービスを作る上で徹底したのは、経営者目線です。当社の主要なお客様である50代から60代の経営者は、必ずしもITリテラシーが高い方ばかりではありません。そのため、文字の大きさに配慮したり、記事の長さも「コーヒー1杯分で読み終わる程度」に調整したりと、使いやすさにこだわりました。

     開発当初は、経営者の方々は積極的に発信してくれるだろうと予想していましたが、実際には「身バレ」(身元の特定)を恐れて投稿に慎重な方が多いという意外な発見もありました。そのため、匿名機能のあり方を調整するなど、常に経営者の声を聞きながらブラッシュアップを続けています。

    目先の利益より中小企業の成長を。長期視点に立つ独自の経営哲学

    非保険事業であるコミュニティ運営に投資することについて、社内の理解や採算面はどうお考えでしょうか。

     大同生命の社員の多くは無自覚かもしれませんが、当社には 「中小企業のためになるなら何でもやる」という文化が根付いています。他社から見れば「採算はどうなのか」と問われるような事業でも、目的が中小企業の支援であれば、全社が同じ方向を向いて進むことができているのです。

     採算についてお話しすると、生命保険会社はそもそも単年度の利益だけを追うビジネスモデルではありません。当社は、今の新契約が将来にわたってどういう利益を生み出すのかという、長期的な企業価値を重視する「EV(エンベディッド・バリュー)経営」 を行っています。

     この「どうだい?」というプラットフォームを通じて、中小企業の経営者同士がつながり、共に成長し強くなっていく。それが実現できれば、結果的に日本の多様性を支える中小企業が守られ、将来的に当社の保険マーケットを守ることにも返ってきます。足元の利益を生み出すことよりも、「中小企業を守っていくこと」に主眼を置いているからこそ、長期的な目線で投資を続けることができる のです。

    すべての中小企業がつながり、共に成長できるソリューションプラットフォームへ

    最後に、「どうだい?」の今後の展望や、どのような方に利用していただきたいか教えてください。

     日本の企業の99.7%は中小企業であり、労働人口の7割がそこで働いています。日本の多様性や豊かさは、間違いなく中小企業によって支えられています。だからこそ、「どうだい?」は全国に存在するすべての中小企業に使っていただきたい と考えています。

     特定のターゲットに絞るのではなく、多様な経営者に集まっていただくことが重要です。コミュニティに多様な方が集まれば集まるほど、そこから生まれる解決策の質や、解消できる悩みの総量が上がっていくからです。

     今後は、コミュニティとしての価値を高めるだけでなく、経営の表に出てきた「人手不足」や「IT化の遅れ」といった具体的な課題に対し、適切な解決策を提案できる 「ソリューションプラットフォーム」へと進化させていきたい と考えています。直近では、より手軽に情報を受け取れるよう、スマートフォンアプリを開発。2026年3月にリリースされています。

     一つひとつの中小企業が孤立するのではなく、つながることで共に成長していける場を作る。それこそが私たちの使命であり、これからも日本の社会に新たな価値を生み出していきたいと強く願っています。

    ▶どうだい?サイト
    https://dodai.daido-life.co.jp/

    ▶どうだい?アプリ
    AppStore
    https://apps.apple.com/jp/app/id6758188033?pt=000021&ct=cus2026_dv2604&mt=8

    GooglePlayStore
    https://play.google.com/store/apps/details?id=jp.co.daido.life.dodaiapp

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