
「逆境の順境は心の構え方一つでどうにでも変化する...
10/3(金)
2025年
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ビジョナリー編集部 2025/10/02
「カール・マルクス」と聞いて、あなたは何を思い浮かべますか?
「共産主義」「資本論」──そのような言葉が頭に浮かぶ方も多いのではないでしょうか。
本記事では、マルクスの経済思想を解説し、ビジネスマンが彼の考え方をどう活用できるか、そして注意すべきポイントまで丁寧にご提案します。
カール・マルクスは、ドイツ出身の哲学者、経済学者です。彼が活動した19世紀は、産業革命がヨーロッパを席巻し、工場が乱立。貧富の差が急激に拡大し、労働者は過酷な環境で働かされていました。
この混乱の時代に、マルクスは「なぜ社会は不平等なのか」「どうすれば人々が幸せに働けるのか」を考え抜きました。
マルクスは、社会は消費や生産といった物質的な性質、つまり経済によって決定されると考えました。経済や技術の進歩が基になり、社会や思想の変化が引き起こされると説いたのです。
そして、経済は以下のように発展していくとマルクスは提唱しました。
原始共産制→古代奴隷制→封建社会→資本主義社会→共産主義社会
マルクスは労働者と資本家の対立を乗り越えて、平等な社会が実現されると考えました。
元々、フランス革命や産業革命期のイギリスにおいて、経済的に社会を平等にしようという社会主義という思想が生まれました。しかし、生産手段や財産を社会で共有するという社会を作ろうとすることは、資本家や貴族の抵抗を受けるために実現が難しく、初期の社会主義の思想は、社会を変革する力を持ちませんでした。この初期の社会主義のことは「ユートピア社会主義(空想的社会主義)」と言われました。
マルクスは祖国であるドイツを先進国に追いつかせるためには革命が必要と考え、科学的社会主義を生み出しました。そして革命の主体として労働者の役割を見出し、労働者が革命を起こす力を持ち、社会主義を実現すべきと考えました。
マルクスの代表作『資本論』では、資本主義の分析をしており、特に「剰余価値説」について議論をしていました。
まず、古典派経済学に「労働価値説」というものがあります。モノの価値は、その生産に必要な労働量で決まるという考え方です。この考え方によって、人の労働力でさえも貨幣で換算できるようになり、マルクスは労働力が商品化されることを「疎外」と呼びました。疎外とは人が作った物や仕組みが、人から離れて人を支配する状態を指します。
さらに、マルクスは「剰余価値」という考え方を展開しました。剰余価値とは資本家が労働者に支払う賃金分以上に働かせることで、資本家が搾取する剰余価値のことです。
また、労働者に余分に働かせることには限界があるため、資本家は剰余価値によって得られた利益をもとに機械化を進めます。それによって労働者が失業し困窮しているとマルクスは説明しました。
現代はAI、グローバル化、サステナビリティなど、経済の仕組みが激変する時代です。マルクスの「経済基盤が社会を変化させる」という視点を持つと、流行や表面的な変化に惑わされず、本質を見抜く力が養われます。
マルクスは、下記のような「疎外」によって、労働者がやる気や創造性を失うと指摘しました。
現代のビジネスでも、社員が自分の仕事の意義や成果を実感できるかどうかは極めて重要です。
マルクス経済学から生まれた社会主義国家は、理想と現実の間でさまざまな問題に直面しました。
実際に、ソビエト連邦は上記のような問題を抱え、1991年に解体されました。
カール・マルクスは、単なる共産主義の提唱者ではありません。マルクスは「社会の仕組み」「働く意味」「経済の本質」を考え抜き、理想的な社会を実現できないかと情熱を燃やしました。
マルクスの視点は、経営者にも現場のビジネスパーソンにも「自分たちの仕事が社会でどんな意味を持つのか」「どんな仕組みやインセンティブが人を動かすのか」を問い直すきっかけを与えてくれます。
変化の激しい時代だからこそ、マルクスの洞察を武器にして、あなたのキャリアや組織改革にぜひ役立ててみてください。