
逆境を切り拓くケインズの経済学
9/1(月)
2025年
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ビジョナリー編集部 2025/08/26
あなたは「アルフレッド・マーシャル」という名前を聞いたことがありますか?
どこかで耳にしたことはあっても、その具体的な功績や思想を詳しく説明できる方は少ないかもしれません。
しかし、もしあなたがビジネスの現場で「利益率を上げたい」「価格戦略でライバルに勝ちたい」「顧客ニーズをどう捉えるべきか悩んでいる」と感じているなら、マーシャルの考え方を知ることは必ずや大きな武器になります。
マーシャルが登場した19世紀末、アダム・スミスやリカードなどが築いた「古典派経済学」が主流でした。古典派経済学は、「商品の価値は労働によって決まる」「市場は自然に均衡する」といった経済思想です。
しかし、マーシャルはロンドンの貧民街を歩き、「理論だけでは社会は良くならない」と痛感します。「経済学は人々の暮らしを豊かにするための科学だ」と考え、机上の空論を現実の問題解決に役立つものへと変革しようとしたのです。
マーシャル最大の功績は、需要と供給の交点=価格決定のメカニズムを理論として明確にしたことです。
この2本の曲線が交わる均衡点で、理想的な価格と取引量が決まる。
今でこそ当たり前の考え方ですが、マーシャル以前はアダム・スミスの「神の見えざる手」という抽象的な説明しかありませんでした。マーシャルはこれを理論的に解き明かしたのです。
さらに、価格弾力性(価格の変動に対して需要や供給がどう反応するか)という概念も彼が打ち立てました。
たとえば「生活必需品は値上げしても売れるが、贅沢品はすぐに売れなくなる」という現象を、マーシャルは理論的に説明しました。
この理論は、今日の価格戦略やマーケティングの基礎になっています。
マーシャルの思想の特徴は、現実の社会問題への関心です。彼は、経済成長だけでなく「人間向上の可能性」にも注目しました。
マーシャルは「貧しい人々が貧しいのは、教育の機会が十分でないからだ。知的・倫理的な成長がなければ、経済的な成長も持続できない」と説きました。
マーシャルは経営者が事業に成功し多くの富を得ることは、中世の騎士道における「困難であるがゆえに行う喜びを含む」という精神に類似していると考えました。経営者も中世の騎士道精神のようにストイックに事業を行えば、人間の向上が可能になると説きました。
ここからは、マーシャルの理論や人間観をビジネス現場で活用するポイント、そして注意点を具体的にご提案します。
マーシャルの理論によれば、最適な価格は“市場の均衡点”で決まります。
つまり「お客様がその価格で満足して買い、会社も納得して売れる」──このバランスを探ることが重要です。
なんとなくではなく、需要と供給のバランスを見極めることが価格戦略の本質です。
たとえば、
だからこそ、
といった分析が重要になります。
データに基づく意思決定は重要ですが、数字だけにとらわれすぎると顧客の感情や潜在ニーズを見落とすことがあります。現場での声やトレンドも必ず組み合わせてください。
たとえば、
自社商品・サービスの価格弾力性を把握しておくことで、値上げ・値下げ戦略の失敗を防げます。
価格弾力性は「時代」「競争環境」「消費者の価値観」でも変動します。過去のデータだけに頼らず、定期的に見直す習慣を持ちましょう。
利益だけでなく、社員や顧客の成長・満足にも目を向けることが、長期的な企業価値を高めます。
短期的な効率やコスト削減だけを優先しすぎると、社員の成長意欲や顧客の信頼を損なうリスクがあります。「人間向上の可能性」という視点を忘れず、投資のバランスを取ることが肝要です。
アルフレッド・マーシャルの理論や思想には、現代のビジネスパーソンにとって、「科学的に考える力」「人間性へのまなざし」「価格と価値の本質を見抜く視点」など、日々の経営判断やキャリアアップに直結する知恵が詰まっています。
ぜひ、今日からマーシャルの経済思想をビジネスに取り入れてみてください。きっと、これまで見えていなかった課題やチャンスに気づけるはずです。