日本企業におけるITガバナンスの変革 経営戦略と...
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生成AI時代に「人間の価値」をどう定義するか。世界トップのビジネススクールINSEADが、日本企業ENSAPIAに注目した理由
ビジョナリー編集部 2026/07/14
生成AIが変えるクリエイティブ産業の競争ルール
イラストやデザイン、文章作成からプログラミング、マーケティングに至るまで、クリエイティブ産業において生成AIが担う領域は急速な広がりを見せている。その結果、多くの企業は「AIをどう導入するか」という初期段階を終え、今や「AI時代に人間が何を担うべきか」という本質的な問いに直面している状況だ。
そのような時代の転換点の中、世界トップクラスのビジネススクールであるINSEAD(インシアード)は、日本のデジタルワールド企業・ENSAPIAグループをケーススタディとして採用した。
INSEADは、182カ国、7万3千人以上の卒業生を輩出してきた世界有数のビジネススクール。Financial TimesのMBAランキングでは2000年以降常にトップクラスの評価を維持しており、直近では欧州で1位(2025年)、世界でも2位(2026年)に選ばれるなど、その権威は揺るぎない。そんな知の殿堂が、なぜ今、日本の新興企業の戦略に光を当てたのか。
技術やサービスだけではないテーマ選定
INSEADのケーススタディを通じて学生たちに突き付けられるのは、 「AIが誰でもコンテンツをつくれる世界で、企業は何を競争力にすべきなのか」という切実な経営課題 である。
AIは精緻な画像を描き、音楽を生成し、巧みなコピーも書き上げる。しかし、そこには決定的に欠けているものがあるという。それは 、「人が共感したくなる世界観」や「そのコミュニティに所属したいという感情」までは、AIが自動的に生み出すことはできない という紛れもない事実である。
デジタルファッションやアバターサービスの市場において、顧客が対価を支払っているのは単なるデータではない。「このブランドが好き」「この世界の住人になりたい」という感情そのものが価値となっている。つまり、価値の源泉は技術そのものではなく、人々の「感性」にあるという分析だ。
AIは制作コストを限りなくゼロに近づける一方で、作品やブランドを「好きになる理由」までは提供してくれない。だからこそこれからの企業は、AIを使いこなす能力以上に、「人の感情を動かす文化」や「共感を生み出すブランド」を育てられるかどうかが問われることになる。
INSEADがケーススタディとしてENSAPIAグループを取り上げたのは、まさにこの点に注目したためだ。 経営者がAIをどのように戦略へ組み込み、人間の創造性とどう共存させていくのか。 その意思決定のプロセスこそが、これからの企業価値を左右する核心的なテーマになるという問題提起なのである。
技術そのものはやがて普遍化し、いずれ誰もが使いこなせる道具となるだろう。しかし、人間一人ひとりが持つ「感性」は決してコピーできない。
AI時代において最も希少な経営資源は、人間が生み出す独自の文化や世界観なのかもしれない。


