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2026

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    「Suicaのペンギン」誕生秘話と卒業──25年の軌跡と新時代へのバトン

    「Suicaのペンギン」誕生秘話と卒業──25年の軌跡と新時代へのバトン

    東日本旅客鉄道株式会社が展開する交通系ICカード「Suica」。そのイメージキャラクターとして誕生したのが、Suicaのペンギンです。

    サービス拡大とともに歩んできたこのキャラクターが、2027年に交代を迎えます。誕生から25年──ブランド刷新の背景には、どのような戦略があるのでしょうか。

    採用された背景

    実はこのキャラクターは「Suica」のために描かれたわけではありません。生みの親であるイラストレーター・坂崎千春さんが、1998年に出版した絵本の中で誕生していたのです。

    2001年春、首都圏に新たなICカードシステムが導入されるにあたり、「スイスイ便利に移動できる」というコンセプトと、ペンギンの水を得たような所作が重なり、キャンペーンキャラクターとして起用されることになりました。当初は一度きりの登場を予定していたものの、その愛嬌のある表情や親しみやすさが大きな反響を呼んだことから、採用され続けてきました。

    他の交通系ICカードのイメージキャラクターが、そのカード専用に新たに作られることが一般的である中で、原作が存在するという珍しい経緯を持っています。このため、著作権は坂崎さんが筆頭となり、JR東日本や広告代理店が共同で管理してきました。たとえばグッズの展開やプロモーションなど、あらゆる場面で関係者の合意が必要であり、管理や展開には常に繊細な配慮が求められてきました。

    1枚のカードから始まったブーム

    サービス開始とともに、10万枚限定の記念カードが発売されました。これが大きな話題を呼び、発売直後はオークションサイトで数万円の値が付くほどの“争奪戦”となりました。その後も東京モノレールやりんかい線との相互利用開始を記念した限定カードも登場。発行枚数の少なさもあり、コレクター需要が加速。徹夜で行列ができることも珍しくありませんでした。

    やがて発行数が拡大し、一般販売用カードにもペンギンがあしらわれるようになると、Suicaは単なる交通ツールを超え、日常に溶け込む存在へと定着していきました。他社のキャラクターとコラボレーションも展開され、カードそのものが“持つ楽しみ”を伴うアイテムへと進化していったのです。

    卒業する理由

    なぜ、四半世紀にわたり親しまれてきたキャラクターに区切りをつけるのでしょうか。背景にあるのは、Suicaそのものの役割の変化です。

    「移動と決済のツール」として浸透してきた仕組みは、いまや地域や暮らしと結びつく生活インフラへと進化しました。その広がりに歩調を合わせるかたちで、システムも大きく刷新されます。ブランドの世界観を再設計する以上、それを体現するキャラクターの見直しも避けられなかったとみられます。

    原作者が存在するキャラクターであることも、ブランド再設計を考えるうえでは無視できない要素です。今後のサービス拡張や多機能化を見据え、最適な形を模索した結果とも考えられます。

    新時代のキャラクター誕生へ

    では、後を継ぐ存在はどのように決まるのでしょうか。JR東日本は、未来のライフスタイルを見据えた新たなイメージキャラクター創出プロジェクトを立ち上げました。著名なクリエイターやデザイナー、各界の有識者による選考委員会が構成され、Suicaの25周年となる2026年11月には3つの候補が一般公開される予定です。

    その後、インターネット投票で最も支持を集めたデザインが新たな顔となり、2027年4月にデビューを果たします。愛称についても公募を通じて決定される予定であり、まさに“みんなで作る新しい物語”が始まろうとしています。

    また、卒業までの期間には「Penguin Years」と題したキャンペーンが展開され、25年の歴史や名場面、グッズ情報などが特設サイトを通じて発信されます。これまでの感謝と新たなスタートへの期待が込められた一大イベントとなりそうです。

    “変わらないもの”と“変わっていくもの”

    愛着あるキャラクターとの別れは、どうしても寂しさを伴います。しかし、時代やサービスの進化とともに、ブランドの姿が変わることは、企業にとって避けて通れない選択でもあります。Suicaのペンギンが25年にわたり体現してきたのは、「変わらない安心感」と「変わり続ける挑戦」の両立でした。その価値は、かたちを変えながらも受け継がれていくことでしょう。

    この卒業のニュースをきっかけに、ICカードや電子マネーの役割そのものに改めて注目が集まっています。「当たり前に使っていたサービスの裏に、こんなストーリーがあったのか」と新鮮な驚きを感じた方もいるでしょう。

    これまで築いてきた「誰でも使いやすく、親しみやすい」イメージは、これからも受け継がれていくはずです。

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