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「たかがLINE外し」では済まない?グループから外す行為に損害賠償命令が下される理由と法的リスクを解説
ビジョナリー編集部 2026/08/10
軽い気持ちで行った“LINEグループからの排除”が、裁判で違法と認定され、損害賠償命令が下されるケースがあることをご存じでしょうか。
職場や学校といったコミュニティ内で行われた場合、法的な「パワハラ」や「ネットいじめ」として不法行為とみなされることがあります。
グループからの排除が問題となった例
案件①:部活動のLINEグループからの排除と侮辱(学校・部活動いじめ)
部活動の同級生らが参加するグループから特定の部員を強制退会させ、さらにそのグループ内で非難や侮辱的なメッセージを投稿した事案です。
裁判所は、周囲から孤立させ、被害者に精神的苦痛を蓄積させた一連の行為を不法行為(いじめ)と認定しました。加害者側は「退会は日常的だった」「数時間後に再招待した」と主張して自己の正当性を訴えましたが、裁判所は被害者に与えた精神的苦痛や排斥の事実を重く見ました。
案件②:業務LINEグループからの排除(職場のパワハラ)
業務連絡やシフト調整を行うLINEグループから、上司や同僚が特定の従業員を排除したり、意図的に参加させないまま業務を進めたりするケースも深刻です。
裁判所はこのような行為を、厚生労働省が定めるパワーハラスメントの6類型にある「人間関係からの切り離し」に該当すると判断します。業務に必要な情報を受け取れず孤立させる行為は、被害者の快適に働く権利(人格権)を著しく侵害するものです。
なぜ「グループから外すこと」が違法(不法行為)と判断されるのか?
アプリの機能として用意されている「退会機能」を使うことが、なぜ法律上の不法行為になるのでしょうか。主な理由は大きく3つに集約されます。
1つ目は、「人格権」に対する侵害です。集団から特定の人を意図的に排除する行為は、受けた側に拒絶感や孤独感を与えます。裁判所はこれを、人間関係の中で築かれる名誉感情や平穏な生活を送る権利を直接的に傷つける行為と捉えます。
2つ目は、業務や学校生活における「必要な情報の遮断」です。現代においてLINEは、業務指示や部活動の連絡網といった公的なインフラとしても機能しています。グループから外すことは、必要な情報へのアクセスを遮断して相手の活動や仕事を妨害する実害を伴うため、明確なハラスメントとみなされます。
3つ目は、周囲への「見せしめ効果」と社会的評価の低下です。他のメンバーが存在するグループ内で特定の人を排除・退会させる行為は、周囲に対して「あの人は排除してよい存在だ」というメッセージを発信することと同義です。これにより被害者の職場や学校内での立場や社会的評価が低下するため、名誉毀損や精神的苦痛に対する慰謝料請求の根拠となり得ます。
損害賠償の相場と個人・組織が取るべき具体策
一般的なハラスメントやネットいじめに対する慰謝料の相場は、10万円から100万円程度となるケースが多く見られます。ただし、排除によって被害者が休職や退職に追い込まれたり、精神疾患を発症したりした場合は、治療費や休業損害が加算され、賠償額が膨らむ可能性もあります。
個人(社員・生徒など)が意識すべきこと
個人的な感情でメンバーを勝手に「退会」させる行為は、重大な法的責任を伴う可能性を認識しなければなりません。
自身がグループから外される被害に遭った場合は、退会させられた画面のスクリーンショットや、前後のやり取りのログを保存し、第三者へ相談するための証拠を確保することが重要になります。
組織(企業・学校など)に求められる体制整備
組織側は、社内・校内のハラスメントを放置すると「知っていたのに防止措置を怠った」として、企業自体の賠償責任(使用者責任・安全配慮義務違反)を問われます。
まずは「業務や部活の連絡用LINEグループにおいて、管理者の許可なく特定のメンバーを退会・排除することを禁止する」といった運用ルールを明確にガイドライン化することが第一歩です。また、トラブルの報告を受けた際は、当事者双方からの事実確認を速やかに行い、状況に応じてグループの再編や担当業務の調整など、被害者の孤立を防ぐ是正措置を講じる体制を整えておく必要があります。
終わりに
「デジタル上でのささやかな人間関係の摩擦」に思えたとしても、それが職場や学校といったコミュニティで行われる以上、精神的苦痛や実害を与える明確な法的違反行為となる可能性を忘れてはいけません。
「簡単に外せるから」という安易な意識を捨て、重大な責任が伴うことを、個人も組織も正しく理解しておく必要があります。


