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毎日5分の読み聞かせが変える子どもの未来ーー親子で楽しむ絵本の時間のススメ
ビジョナリー編集部 2025/12/01
「本の読み聞かせは子どもの脳に良い」と聞いたことはありませんか?
忙しい日々の中、毎日続けるのは大変――そう感じている方も多いかもしれません。しかし、読み聞かせには、子どもの脳や心、さらには親自身にも多くのメリットが隠されています。
今回は、読み聞かせの効果、すぐに実践できるコツや注意点まで詳しくご紹介します。
読み聞かせがもたらす「脳への刺激」とは?
見て、聞いて、感じる――脳を多方向から刺激
絵本の読み聞かせは、子どもが「耳で聞く」「目で見る」という複数の感覚を同時に使う貴重な時間です。この刺激こそが、脳の発達にとって非常に効果的だと考えられています。
たとえば、保護者がページをめくるたびに絵が変わり、その内容を声で伝える――子どもはその瞬間、絵の色や形、物語の展開、登場人物の気持ちなど、多層的な情報を脳にインプットしています。 このような体験を繰り返すことで、子どもの脳は言語野だけでなく、イメージを司る右脳や感情をコントロールする領域も活性化されるのです。
科学的な裏付けも
文部科学省の調査や各種研究でも、幼少期に読み聞かせを受けていた子どもは、学力や言語能力、集中力が高い傾向にあることが報告されています。
「読み聞かせが脳を育てる」というのは、イメージや経験則だけではなく、実際に数多くのデータによって裏付けられているのです。
読み聞かせが育む力
1. 言語力・語彙力の向上
絵本には、新鮮な言葉や表現が多く登場します。
「ワクワク」「ドキドキ」「ふわふわ」などのオノマトペ(擬音語)や、詩的なフレーズが、子どもの語彙力を自然に広げてくれます。
3歳ごろまでは、子どもは“音”として言葉を丸ごと吸収できる特別な能力を持っています。この時期にたくさんの言葉に触れることで、将来的な言語能力や表現力に大きな差が生まれます。
2. 読解力と「聞く力」
まだ字が読めない年齢でも、物語の流れや登場人物の心情をキャッチし、物語を理解しようとする力が育ちます。
たとえば、「次は何が起こるの?」「このキャラクターはどうして泣いているの?」といった疑問を持つことで、読解力や推察力が磨かれていきます。
3. 想像力・創造性の刺激
絵本の世界は、現実にはない冒険や、ファンタジー、動物たちの物語など、子どもの想像力をかき立てます。
実際に体験したことのない場面でも、絵と文章でイメージを膨らませ、「もし自分だったら……」と考えることで創造性が豊かに育まれるのです。
4. 感情の発達と共感力
物語の中でキャラクターが喜んだり、悲しんだり、困難を乗り越えたりする姿は、子どもにとって大きな学びとなります。
「こんなとき、自分ならどう感じるだろう?」
こうした疑問が、他者の気持ちに寄り添う“共感力”や、感情を言葉で表現する力につながります。
5. 親子の絆・自己肯定感
読み聞かせは、親子でじっくり向き合う大切なコミュニケーションの時間です。
「よく聞いてたね」「一緒に読めて嬉しかったよ」と声をかけることで、子どもは「自分は大切にされている」と感じ、自己肯定感が高まります。
また、たとえ5分でも10分でも、保護者自身も「今日も一冊読めた」という達成感や安心感を得ることができます。
何歳から始めるべき?年齢別・読み聞かせのポイント
0歳からでも早すぎることはない
「まだ言葉が分からないから」と遠慮する必要はありません。0歳児でも、絵の色彩や形、声のリズムやトーンを楽しむことができます。
0〜1歳:五感を刺激する
視力が発達途中のため、絵が大きく、色や形が見やすい絵本がオススメです。特にオノマトペやリズムのある言葉を含む絵本、触って楽しめる素材の本は、五感を刺激し、発達を促します。
2〜3歳:ストーリー性のある絵本に挑戦
言葉の理解が進むこの時期は、短い物語やキャラクターが登場する本がオススメです。
この頃から、ページを自分でめくったり、登場人物の気持ちになって表情をまねたりする様子も見られるようになります。
4〜6歳:より複雑な物語やファンタジーも
想像力が急激に発達する幼稚園・小学校低学年期には、冒険やファンタジー、友情や勇気をテーマにした絵本がぴったりです。
子ども自身の興味や関心に応じて、知識を広げる図鑑や科学絵本などもどんどん取り入れていきましょう。
7歳以上:長編やテーマ性のある本も
小学生以降は、物語の長さや内容を少しずつレベルアップし、「思考力」や「多様な価値観」を育てる本を選ぶのも効果的です。
ただし、年齢だけにこだわらず「子どもが楽しい」「最後まで聞ける」本を選ぶことが大切です。
読み聞かせの効果を最大限に高めるコツ
1. 「ゆっくり読みすぎない」自然なスピードで
「ちゃんと理解しているか心配で、ゆっくり読んでしまう……」という方も多いかもしれませんが、実は子どもの脳は大人の想像以上に柔軟で、画像を“シャッター”のように一瞬で吸収する力を持っています。
会話と同じくらいのスピードで、自然なリズムを意識しましょう。
2. 声色や演技は「ほどほどに」
読み手が感情を込めすぎると、子どもは「どこが大事なのか」を無意識に強制されてしまうことがあります。
もちろん、登場人物ごとに少し声を変える程度は問題ありませんが、あくまで子ども自身が物語の世界に入り込めるよう、フラットな読み方を心がけましょう。
3. 読んだ後は「認めて」「ほめる」
「最後までよく聞けたね」「一緒に楽しめて嬉しかったよ」と、率直な気持ちをそのまま伝えることが大切です。
子どもは「認められた」「自分はできた」と感じ、次への意欲や自己肯定感につながります。
4. 対象年齢より「子どもの興味」を最優先
本の対象年齢や文字数にこだわりすぎず、子ども本人が「楽しい」「もっと聞きたい」と思える本を選びましょう。
たとえば、小学生でも赤ちゃん用の絵本を読むことでリラックスできたり、逆に興味を持っているテーマなら少し難しい本でも集中して聞くことがあります。
5. 毎日でなくてもOK、続けることが大切
毎日続けるのが理想ですが、疲れた日や忙しい日は無理をせず、親子で「楽しめる範囲」で取り組みましょう。
読み聞かせが義務やストレスになってしまうと、その気持ちは子どもにも伝わります。
5分でも10分でも、親子でリラックスできる「特別な時間」として続けていきたいですね。
読み聞かせ成功のための“ちょっとした工夫”
- 静かな環境を整える
テレビやスマートフォンの音をオフにし、集中できるスペースをつくりましょう。 - 子どもが絵本の絵をしっかり見られるように
読み聞かせの際は、子どもの目線や姿勢を意識し、絵がしっかり見えるように配置します。 - 途中で質問や感想を強要しない
物語の最中に「どう思う?」「次はどうなる?」と問いかけすぎると、集中力が切れてしまうことも。子どもが自分から話してきたときに、そっと耳を傾けてあげましょう。 - 本の内容はそのまま伝える
アドリブや余計な説明は控えめにし、絵本の世界観を大切にします。
まとめ
- 読み聞かせは、子どもの脳を多方向から刺激し、言語力・読解力・想像力・共感力・集中力を総合的に育てます。
- 親子のコミュニケーションや信頼関係、自己肯定感の向上にも大きな役割を果たします。
- 「年齢」や「義務感」に縛られず、その日そのときの親子の気持ちを大切に、無理なく、楽しく続けることがポイントです。
今日から、ぜひお気に入りの一冊を手に取ってみてください。何も特別なことはしなくても、親子で本を読む時間が、子どもにとっても、親にとってもかけがえのない財産になります。


