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ビジョナリー編集部 2025/08/07
「飛行機事故」と聞いて、あなたはどんなイメージを持たれるでしょうか?圧倒的なスピードで空を飛ぶ巨大な機体が、突然コントロールを失う――。多くの方が「絶対に助からない」と考えるかもしれません。しかし、実はこの“常識”には大きな誤解が潜んでいます。
もしものとき、生き延びる確率を高める方法は存在します。この記事では、飛行機事故の現実と、万が一の際にあなたや大切な人の命を守るための具体的アクション、そして実際に生還した人々のケースを詳しくご紹介します。
まず、知っていただきたい事実があります。飛行機は、驚くほど安全な乗り物です。たとえば、2019年に世界中で約4,680万回のフライトがありましたが、死亡事故はわずか8件(死亡者数240人)しかありませんでした※1。飛行機で死亡する確率は18万8,364分の1。車の103分の1という数字と比べると、はるかに安全であることがわかります。
加えて、現代の旅客機は16Gもの衝撃に耐えるよう設計されており、客室乗務員やパイロットも緊急対応のために徹底した訓練を受けています。つまり、「万が一事故が起きたとしても、生き延びるチャンスが十分にある」というのが、最新の航空安全の常識なのです。
「万が一」のとき、ただ座っているだけでは生存率が上がりません。冷静な準備と行動が、運命を大きく変えます。ここでは、事故時に生き延びるために知っておきたい具体的なポイントをまとめます。
「後ろの席が一番安全」と聞いたことがある方も多いでしょう。実際に、1985年から2000年の米国での航空事故データでは、後部座席の死亡率が32%と、前方(38%)、中央(39%)より低かったという統計もあります。特に後部中央席は28%、逆に中央通路側は44%と最も高い死亡率となっています。
ですが、航空安全の専門家は「絶対安全な席は存在しない」とも指摘します。なぜなら、事故の状況や機体の壊れ方によって生死を分ける要因が異なるからです。
それでも大切なのは、「非常口から5列以内」に座ること。
複数の調査によると、非常口の近くに座っていた人ほど、迅速に脱出でき生存率が高かったという結果が出ています。座席選択の際はぜひ参考にしてください。
ファッション性よりも「安全」を優先しましょう。
寒冷地や海上を飛ぶ際は、ジャケットや防寒具を膝上に置いておくと、事故後の体温保持に役立ちます。
「何度も聞いたことがあるから…」と油断せず、必ず安全のしおりや説明に目を通し、
を確認しておきましょう。墜落時、人間はパニックに陥り、普段と異なる動作ができなくなる傾向があります。特にシートベルトの外し方は、車とは違い金具を上げて外すタイプが多いため、慣れていないと脱出時に手間取ってしまいます。
墜落の衝撃で最も多い死因は、頚椎損傷や心臓震盪。
被害を最小限にするためには、前屈姿勢を取ることが推奨されています。
安全ビデオで紹介されるこの姿勢を、あらためて頭に入れておきましょう。
事故の多くは離陸後3分、着陸前8分に発生しています。墜落直後は火災や煙が広がる危険が高く、90秒以内に全員が機外に脱出できるように設計されています。
ここで絶対に守るべきなのは「荷物を持たずに逃げること」。
手荷物を持つと脱出時間が最大で4倍になると言われ、これだけで命を失う危険が高まります。スマートフォンでの撮影なども厳禁です。また、煙が発生した場合は、
ことが重要です。煙の吸入による意識障害が、死亡原因の大半を占めています。
無事に脱出できたら、
救助隊は通常、墜落地点を迅速に特定し救助に向かいます。動き回らず、一か所で待つことで生存率が高まります。
2024年、羽田空港で起きた日航機と海上保安庁機の衝突事故。3つの緊急脱出スライドしか使えなかったにも関わらず、乗客379人全員が生還しました。
その背景には、乗客が冷静に客室乗務員の指示に従い、誰一人荷物を持たず迅速に脱出したことが挙げられます。
このケースは、「正しい行動」と「備え」が多くの命を救う典型例として、世界の航空関係者からも高く評価されました。
過去の墜落事故でも、後部座席にいた乗客が全員生還した例や、客室乗務員が後部の補助席で助かった例があります。一方で、事故の種類によっては前方が比較的安全なケースもあり、「どの席が絶対安全」という単純な話ではないことが改めて証明されています。
高度11,000フィート(約3,350m)で機体が大破し、乗客が座席ごと投げ出された事故で、全身骨折しながらも生還した女性のケースもあります。 「絶対に助からない」と思われる状況でも、生き延びた人は存在する。その事実が、備えや冷静な判断の重要性を物語っています。
「飛行機事故は、もうおしまいだ」とあきらめる必要はありません。ちょっとした心構えや事前準備が、あなたや周囲の大切な人の命を守るかもしれません。
これらの知識は、普段は必要のないものかもしれません。しかし、「もしものとき」に、あなたの命を守る力になります。そして、飛行機での旅を不安ではなく、安心して楽しむためにも、ぜひ今日から“安全のための一歩”を踏み出してみてください。
※1:https://www.iata.org/en/pressroom/pressroom-archive/2020-press-releases/2020-04-06-01/