Diamond Visionary logo

1/16()

2026

SHARE

    「MBTIが若者の共通言語になった理由」──便利さの裏にある“ラベリングの罠”

    「MBTIが若者の共通言語になった理由」──便利さの裏にある“ラベリングの罠”

    最近、「私はENFPです」「あの人はISTJっぽい」など、アルファベット4文字で分類するのを目にすることが増えてきました。若年層の間では“自分探し”の定番ツールとなりつつあるMBTI。しかし、その正体や本来の目的、そして思わぬ落とし穴について、しっかり理解している人は決して多くありません。

    急速な広がりを見せるMBTIですが、流行の舞台裏には、意外な誤解や危険も潜んでいるのです。

    MBTIとは何か

    MBTI(Myers-Briggs Type Indicator)は、スイスの精神分析家 カール・ユング のタイプ論を基に、アメリカの キャサリン・クック・ブリッグス とその娘 イザベル・ブリッグス・マイヤーズ が、20年以上にわたる研究と実践を重ねて体系化した心理指標です。第二次世界大戦期に開発が進められ、1962年に公式マニュアルが発表されたことで広く知られるようになりました。現在では、29言語に翻訳され、世界各国の企業研修や教育現場で活用されています。

    MBTIの最大の特徴は、「人それぞれの認知スタイル」を明らかにし、自分自身への理解を深める“座標軸”を与えてくれる点にあります。右手や左手の利き手があるように、心にも「自然に使いやすい機能」がある。これを知ることで、自分の思考や行動のクセ、他者との違いを前向きに受け止めやすくなるのです。

    例えば、ある企業でMBTI研修を導入したところ、役員同士のコミュニケーションに劇的な変化が生まれたと言います。「自分と異なるタイプの部下を、単なる“やりにくい相手”ととらえるのではなく、“違い”そのものに価値を見出すようになった」。その結果、チームのパフォーマンスや信頼感が向上し、業績にもプラスの影響が現れたそうです。

    なぜ今、MBTIが流行しているのか?

    MBTIが日本の若者の間で“自己診断ブーム”となった背景には、アイドルの影響があります。BTSやSEVENTEENなど、人気グループのメンバーが自身のタイプを発表したことで一気に注目度が高まり、SNSを中心に「私も診断したい!」という声が拡大しました。

    そこに拍車をかけたのが、ネット上で無料公開されている簡易診断サイトの登場です。数分で手軽に「あなたはENFJ」「あなたはISTP」と結果が出て、友人同士で盛り上がる。タイプごとの“あるある”や相性診断も人気を集め、「自分らしさ」や「恋愛傾向」まで話題になっています。

    しかし、そのブームの裏には、本来のMBTIとは異なる大きな落とし穴があるのです。

    本物のMBTIとネット診断――決定的な違い

    多くの人が受けているのは「本家」のMBTIではなく、無料の“類似診断”です。本来、MBTIは専門の資格を持つ人のみ診断や運用ができ、質問項目や解釈方法は厳しく管理されています。

    本物のMBTIは、単に「あなたはこのタイプだからこういう人」と決めつけるものではありません。診断結果はあくまで自己理解の“出発点”。専門家との対話を通じて、自分の認知スタイルや行動パターンをじっくりと検証し、自己成長や他者理解に役立てていく――このプロセスこそが本質です。

    一方、ネット上の診断は、誰でも手軽に結果が出せる反面、質問の精度や理論的根拠が不明瞭なものも多く、単純なラベリングや面白半分での利用が目立ちます。実際に、「私はこのタイプだから」「あの人とは相性が悪い」など、MBTI本来の意図から外れた使い方も拡大しているのが現状です。

    MBTIが生まれた背景――「違いを知る」ことが社会を変えた

    MBTIが誕生したのは、第一次世界大戦後のアメリカ。「争いを減らし、人と人が理解し合える社会をつくりたい」というブリッグス母娘の強い思いから生まれました。ユングの理論をもとに、20年以上の試行錯誤を経て、心理学の専門家でなくても使える“心の地図”として完成したのです。

    アメリカでは、フォーチュン100企業(米経済誌『Fortune』が毎年発表する「米国売上高ランキング上位100社」)のうち88社が社員研修でMBTIを活用し、高校や大学、医療機関、スポーツチームなどでも広がっています。医療現場のチームビルディングや、夫婦カウンセリング、さらにはプロスポーツ選手のコミュニケーション強化にも活用例があり、「違いを知ること」が組織や個人の成長に直結する――そんな実感が広く共有されてきました。

    日本でMBTIが本格的に普及し始めたのは2000年以降。日本MBTI協会の園田由紀氏を中心に、日本人に合う形で質問項目や解釈方法を開発し、100社以上の企業で研修が行われています。

    MBTIは「性格診断」ではない――自己理解と成長のためのツール

    MBTIは、単に性格を判定するテストではありません。血液型診断のように「A型だから几帳面」「B型だから自由人」と決めつけるものではなく、“人は生まれ持った心の特性=キャラクターを持ち、それぞれが違って良い”という考え方が根底にあります。

    そもそも、MBTIが着目するのは「人格(パーソナリティ)」ではなく「性格(キャラクター)」です。パーソナリティは後天的に身につける“仮面”のようなものであるのに対し、キャラクターは生まれつき備わった“心の設計図”のようなもの。どちらが良い悪いではなく、自分の本質的な強みや認知スタイルを知ることで、自己肯定感や他者への寛容さを育むのがMBTIの目的です。

    MBTI「本来の利用法」とは

    MBTIは、自分の“主機能”を知り、その強みを生かしながら、普段使い慣れていない“補助機能”や“劣等機能”も意識的に育てていく――そんな心の成長をサポートするツールです。結果をラベルのように使って人をカテゴライズすることは、MBTIの倫理規定でも禁止されています。

    また、本来のMBTIでは、認定資格を持つ専門家と4時間以上かけて対話するプロセスが重視されます。結果に納得できるまで、理論と自分自身の感覚をすり合わせていく。こうした“自己対話”の積み重ねが、人生のさまざまな局面で役立つ“自己理解”へとつながっていくのです。

    ネット上の診断だけで「私はこのタイプだから」と自己限定したり、「あの人とは合わない」と距離を置いたりするのは、MBTI本来の目的から大きく外れてしまいます。

    まとめ

    MBTIは、人生やキャリアの岐路で迷ったとき、自分の心の地図を描き、成長の方向性を見出すための強力なツールです。流行や話題性だけに流されず、本来の目的や手順を大切にすることが、真の自己理解と成長につながります。

    もしあなたが「自分を知りたい」「他者とうまく関わりたい」と願うなら、まずはMBTIの本質に触れてみてください。正しい知識と手順を踏むことで、あなた自身の可能性と出会い、より豊かな人生を歩むヒントがきっと見つかるはずです。

    SNSやネット診断の結果に一喜一憂するよりも、自分自身とじっくり向き合う――そんな“本質的な自分探し”の旅を、MBTIがサポートしてくれるかもしれません。

    #MBTI#自己理解#性格診断#自己成長#チームビルディング#コミュニケーション#キャリア開発#SNSトレンド#自分探し#MBTI診断#16Personalities#性格タイプ#自己分析#チームマネジメント#組織開発#心理テスト#採用面接#ラベリング#Z世代トレンド

    あわせて読みたい

    記事サムネイル

    メルカリで一番安く送る方法まとめ|サイズ別・送料...

    記事サムネイル

    働き方を選ぶ時代へ――スキマバイトの最新動向と知...

    記事サムネイル

    忙しい人こそ植物を──部屋を変えるグリーンの力

    記事サムネイル

    2026年、道路交通法が激変!生活道路の速度制限...

    Diamond AI trial

    ピックアップ

    Diamond AI
    Diamond AI