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2026年施行「共同親権」制度とは?離婚後の親子をめぐる新しいルールを解説
ビジョナリー編集部 2026/04/08
2026年4月、離婚後の親権のあり方が大きく変わります。これまで原則として「どちらか一方のみ」が持つ仕組みだった親権が、「父母の双方が持つ」という選択も可能になるのです。本記事では、この新しい「共同親権」制度について、わかりやすく解説します。
共同親権とは何か
「共同親権」とは、父と母が離婚した後も、両方が引き続き子どもに対して監督・養育・財産管理などの法的な権限と義務を持つことを指します。2026年の民法改正により、離婚の際に父母が話し合って「両方が持つ」か「どちらか一方だけが持つ」かを選べるようになります。
親権とは、子どもを育て、守り、財産を管理する権利であり、同時に義務でもあります。子どもの進学先の決定や住む場所の指定、医療の同意や財産管理など、人生に大きく関わる判断を下す役割を担います。
共同親権の導入が求められた背景
制度が変わった背景には、社会の変化とともに浮かび上がったさまざまな課題があります。
まずは、離婚の長期化やトラブルです。これまでは、親権を巡る対立が激しくなりがちでした。また、非親権者となった親は、子どもと会えない、子育てに関われないと感じやすく、養育費の支払いを怠るケースも多発していました。
また、親権や監護をめぐる対立の中で、子どもを連れて別居するケースも問題視されてきました。こうした事態が、子どもの心に大きな傷を残すことにもつながるのです。
また、国際結婚や海外在住の家族が増える中で、国際的な親子の争いが生じることもありました。欧米やアジア諸国の多くでは、すでに共同親権が採用されています。こうしたグローバルな流れも、日本の法改正を後押しした要素のひとつです。
新制度で何がどう変わるのか
前述のとおり、離婚時にはまず父母が協議し、「共同親権」か「単独親権」かを決めることになります。もちろん、話し合いがまとまらない場合には、家庭裁判所が「子どもの利益」を最優先して、どちらの形が適切かを判断します。
共同親権の場合、住む場所の変更や進学先の選択、財産管理など、子どもに重大な影響を与える事項については、原則として父母の合意が必要となります。
一方で、日常生活での食事や服装、短期の旅行、習い事の選択、軽い病気の治療などは、どちらか一方だけで判断できることも認められています。
また、病気やケガで治療が必要な緊急時や、DVや虐待から避難する必要がある場合などには、片方の親が単独で決断できる仕組みも用意されています。
教育方針や進学、引っ越しなどで父母の意見が対立した場合は、再び家庭裁判所が「どちらがその件について単独で決められるか」を判断します。
このように、新しい制度は、柔軟性と迅速な対応のバランスを考えた設計となっています。
共同親権のメリット
まず、離婚後も両親が子どもの成長に関わり続けられるようになれば、子ども自身が「二人の親に見守られている」と実感しやすくなります。親子のつながりが途切れがちだったこれまでの仕組みより、子どもにとっては精神的な安定や安心感が得られるでしょう。
また、離婚自体もスムーズに進むことが期待されます。「子どもと会えなくなる」という不安から親権を巡って泥沼化しがちだった現状が、少しずつ変わっていくかもしれません。
さらに、別居している親も「自分にも責任がある」と感じやすくなり、養育費をきちんと払い続ける可能性が高まると考えられます。この「養育費の不払い問題」が社会問題化してきた中で、大きな意味を持ちます。
共同親権をめぐる懸念
新しい制度には課題が残されています。特に懸念されているのが、DV(家庭内暴力)やモラルハラスメント(精神的虐待)がある家庭での運用です。被害者が加害者と連絡を取り続けなければならず、精神的な苦痛が長引くリスクが指摘されています。
このため、家庭裁判所では「子どもに対する虐待の恐れ」や「父母間の深刻な暴力・ハラスメントの存在」が認められれば、単独親権とする仕組みを明文化しました。ただし、虐待や暴力の証拠が表に出にくいケースでは、そもそも適切に判断できるのかという不安も残ります。
また、両親が遠く離れて暮らしている場合や、価値観が大きく異なる場合などは、子どもが「板挟み」状態になり、精神的な負担を感じやすくなるという側面も否定できません。
教育方針の違いや大きな決断について、両親の合意形成に時間がかかってしまい、子どもに不利益が生じる可能性も指摘されています。その際は家庭裁判所の判断を仰ぐことになりますが、今以上に裁判所の業務が増え、迅速な対応が難しくなるのではないかという声も上がっています。
養育費や親子交流の新たなルール――子どもの生活を守る仕組みも強化
養育費や親子交流の制度も見直されています。たとえば、離婚時に養育費の取り決めがなくても、子どもと一緒に暮らす親は、もう一方の親に対して「法定養育費」として、一定額(目安として月2万円程度)を請求できる仕組みが導入されます。これは養育費が決まるまでの暫定措置ですが、子どもの生活が守られる体制が強化されるのは大きな進歩です。
養育費の取り決めが守られない場合も、今後は財産の差し押さえがより簡単にできるようになり、支払い確保の実効性が高まります。
さらに、家庭裁判所の手続きの中で、親子交流(面会)の試行的な実施や、祖父母など親族との交流についても新たなルールが整備されます。
これらの改正は、子どもが両親や家族に見守られながら成長できる社会を目指す大きな一歩です。
まとめ
共同親権の導入は、法律の変更以上の意味を持っています。それは、「親でいる」ということの本質を、社会全体で見つめ直すきっかけといえるでしょう。
これからは、「どうやって子どもの幸せを守るか」が問われる時代です。
日本社会は大きな変化の渦中にあります。その中で、子どもたちが笑顔で成長できる未来を、ひとりひとりが考え選び取る時代が始まろうとしています。


