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2026

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    自由に書き込める文庫本「マイブック」──“日記界隈”という新しいトレンド

    自由に書き込める文庫本「マイブック」──“日記界隈”という新しいトレンド

    「日記」と聞いて、あなたはどんなイメージを抱くでしょうか?子どものころの夏休みの宿題、あるいは誰にも見せない秘密の日々の記録。そんな「日記」が、いまSNSで脚光を浴びています。その中心にいるのが、真っ白な文庫本「マイブック」。18万部を超える異例のヒットを記録し、Z世代を中心に“日記界隈”と呼ばれる新たな文化を生み出しているのです。

    デジタル全盛時代に“手書き”が選ばれる理由

    スマートフォンひとつで写真もメモも残せるこの時代、あえて紙にペンを走らせる。そんな行為が、なぜいま人々を惹きつけるのでしょうか。その答えのひとつが、「マイブック」に込められています。

    マイブックには、1年の日付と曜日だけが印字され、その他はすべて白紙です。どのページも使い方は完全に自由です。日記を書いても、イラストを描いても、予定を書き込んでもいい。ノートでもスケジュール帳でもない、“文庫本”という形で毎年発売されるのが特徴です。価格も手頃で、毎日の気持ちや出来事を気負わず書き留められる点が、多くの人に支持されています。

    1999年にアートディレクターの大貫卓也さんによる企画・デザインで誕生した「マイブック」は、初版からわずかひと月で重版が決まり、今や累計発行部数300万部を超えるロングセラーに成長しました。決して派手な装飾や便利な機能で勝負する商品ではありません。むしろ“何もない”ことこそが最大の魅力。その潔さが現代人の創造性や自己表現欲求を刺激しているのです。

    “日記界隈”という新たなコミュニティの誕生

    かつて日記は「人に見せないもの」でした。しかし、今やSNSを通じて自分の日々を公開し、共感や称賛を集めるスタイルが若い世代を中心に広がっています。こうした動きを指して、「日記界隈」と呼ばれるようになりました。たとえば、ある20代の人は、「特別じゃない日も記録することで、毎日を少しずつ大切にできる」と話します。1日1ページ、イラストや手書きの文字で何気ない日常を彩り、それをSNSに投稿して仲間と共有しています。見てもらうこと自体が書くモチベーションになり、周りの反応や共感の声を通じて、自己肯定感も高まるのだそうです。

    このように、日記が“コミュニケーション”や“自己表現”のツールへと進化しているのです。その流行を受け、マイブックを手に取る若者が急増し、特に20代女性の購買数は前年比400%以上という驚異的な伸びを見せています。

    使い方はあなた次第──「世界に一冊だけの本」を生み出す体験

    マイブックの最大の醍醐味は、自分で使い方を決められることです。手帳のように予定を書いても良く、日々の思いを綴る日記にするのも自由。スケッチや詩、読書メモや映画の感想、スタンプや切り抜きを貼ったコラージュなど、用途は無限大です。

    ある人は、育児の悩みや小さな出来事を書き留めることで心の整理ができ、「何カ月後かに読み返すと、あのとき悩んでいたことも今は笑い話になる」と語ります。子供が拾ってきた葉っぱを貼ったり、一年間の家族の思い出をマイブックを通して振り返るのが楽しみになっているそうです。

    また、マイブックの使い方を“著者体験”として楽しむ人も増えています。表紙裏に自分の名前やプロフィールを書き込み、最後には「あとがき」を添え、奥付に署名する。こうして一年をかけて埋め尽くした一冊は、まさに「世界に一冊だけの自分の本」となります。

    海外へも広がる“自分だけの一冊”

    このマイブックのブームは日本国内だけにとどまりません。台湾や中国など東アジア圏でも人気が沸騰しています。台湾の主要書店では日本語書籍ランキング1位を獲得し、現地の20代~40代女性を中心に日記やコーディネート記録、アイデアメモとして活用されています。中国でもSNS「小紅書(シャオホンシュー)」でのライブ配信をきっかけに人気が急上昇し、さまざまなアレンジ事例が共有されています。

    海外ユーザーからも「自由度が高く、毎日が特別に感じられる」「小さな幸せや成長を記録する習慣ができた」といった声が寄せられ、国境を越えて“自分だけの一冊”を持つことの楽しさが広がっているのです。

    マイブックがもたらす“心のデトックス”と新しい自己肯定体験

    デジタルの便利さと速さに慣れた私たちにとって、手を動かして文字や絵を描くという行為は、思いのほか心に深く響きます。誰かに見せるSNS投稿としてだけでなく、「書くことで気持ちを整理できる」「日常の中に自分だけの特別な時間が生まれる」といった声が多いのも特徴です。

    ある主婦は「心の中に溜まったもやもやを一度書き出すと、気持ちが楽になる」と話しています。紙の上に残る手書きの言葉やイラストは、時を経ても色あせることなく自分を励ましてくれる存在へと変わります。

    進化し続ける「日記」という文化

    以前の日記は、静かに自分だけの世界を記すものでした。しかし、いまや「日々を公開し、誰かと分かち合うこと」に価値を見出す世代が増えています。マイブックは、その象徴ともいえる存在です。

    「手帳」でも「ノート」でもない、「自分だけの本」としてのマイブック。あなたも2026年の一冊を手に取って、まだ見ぬ自分の365日を紡いでみてはいかがでしょうか。書き上げたそのとき、きっと自分自身が“著者”になったような、誇らしい気持ちに出会えるはずです。

    #日記#マイブック#手書き#日記術#自己表現#日記帳#Z世代#ライフログ#日記界隈

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