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それ、本当に“年齢のせい”? 男性にも訪れる更年期障害のサイン
ビジョナリー編集部 2026/02/13
「最近、なんだかやる気が出ない」「仕事中についイライラしてしまう」「夜、ぐっすり眠れなくなった」。こんな変化を「年齢のせい」と受け流していませんか。実はそれ、男性更年期障害――医学的には「加齢男性性腺機能低下症(LOH症候群)」と呼ばれる状態のサインかもしれません。女性の更年期障害はよく知られていますが、男性にも同じように“更年期”があることは、そこまで認知されていません。
男性にも訪れる「ホルモンバランスの転機」
「更年期障害」といえば、女性特有のものとしてイメージされてきました。しかし、男性にも40代後半から50代にかけて、心身にさまざまな変化が現れることがあります。その背景には、男性ホルモンであるテストステロンの分泌量が20代をピークにゆるやかに減少していくという、体の仕組みがあります。
テストステロンは筋肉や骨を強く保つ、性機能を維持する、認知機能や血管の健康を守るなど、幅広い役割を担っています。だからこそ、このホルモンが減少すると、“気分の問題”では済まされない様々な不調が表面化します。
見過ごされがちな男性更年期障害の症状
男性更年期障害の症状は、人によって現れ方が大きく異なり、「これが男性更年期障害の決定的なサイン」という特徴的な症状はありません。そのため、日常のちょっとした不調や気分の変化が、更年期障害によるものだと気づかれず放置されがちです。
実際に多いのは、「仕事への意欲が急に低下した」「ちょっとしたことでイライラする」「夜に寝付けず、睡眠不足が続く」といった精神的な症状です。身体面では、疲労感が抜けない、筋力の低下を感じる、体重が増えやすくなった、動悸やほてり、発汗が増えたといった声もよく聞かれます。
このような症状は、うつ病など他の疾患と重なる部分も多いため、「ただのストレス」「仕事が忙しいから」と自己判断で片づけてしまうケースも目立ちます。一部の調査では、重度であっても66%もの人が無自覚であるという報告もあります。
テストステロン低下の背景にあるもの
テストステロンの低下には、加齢という避けがたい要素が大きく関係しています。しかし、単に年齢を重ねたからといって、すべての男性で急激にホルモンが減少するわけではありません。その減少のスピードや度合いには個人差があります。
では、何がその差を生み出すのでしょうか。近年の研究では、ストレスや生活習慣の乱れも、テストステロン低下の重要な要因として注目されています。仕事や家庭のストレスが慢性化すると、ストレスホルモンであるコルチゾールが過剰に分泌され、テストステロンの生成が抑制されてしまうのです。また、肥満や運動不足、睡眠の質の低下、過度な飲酒や喫煙といった生活習慣も、ホルモンバランスを乱す原因となります。
実際、規則正しい生活やストレスマネジメントを意識している人ほど、年齢を重ねてもテストステロンの減少が緩やかであることが分かっています。逆に、夜更かしや偏った食事、慢性的な運動不足といった生活を続けていると、まだ若い年代でも更年期障害の症状が出ることがあるのです。
見逃せない「心身のリスク」――放置がもたらす影響
男性更年期障害を放置してしまうと、単なる不調にとどまらず、さまざまな健康リスクが高まります。例えば、テストステロンの減少は内臓脂肪の蓄積を促し、肥満やメタボリックシンドローム、糖尿病の発症リスクを高めます。血管の老化が進み、動脈硬化や心筋梗塞、脳卒中のリスクが高まることもあります。さらに、骨密度が低下して骨粗しょう症や骨折の原因となったり、認知症のリスクが上がると考えられています。※1
また、性機能の低下などの悩みも、生活の質(QOL)を低下させる要因です。「年齢のせい」「仕方ない」と諦めるのではなく、こうした症状も体からの大切なサインとして受け止めていただきたいところです。
うつ病と男性更年期障害――正しい見極めが不可欠
「気分が落ち込む」「やる気が出ない」「不眠が続く」といった症状は、うつ病にもよく見られるものです。実際、男性更年期障害とうつ病は同時に発症することもあり、慎重な見極めが必要です。
男性更年期障害かどうかを判断する際は、血液検査によるテストステロン値の測定が一つの手がかりとなります。ただし、正常値であっても、体質的にホルモン変化に敏感な人は症状が出やすいことも知られています。専門の医師は、検査結果だけでなく、問診や生活歴、症状の経過を総合的に判断し、必要に応じてホルモン補充療法などを提案してくれます。※2
企業も注視する「男性更年期障害」――社会的な損失も深刻
男性更年期障害が社会全体に与える影響も見逃せません。経済産業省の推計によれば、欠勤や業務効率の低下などによる経済的損失は1.2兆円にのぼるとも言われています。実際、大手企業の中には、男女を問わず更年期症状に配慮した特例休暇制度や、体調不良時の柔軟な働き方を導入する動きも広がっています。これは、個人の健康管理が、職場や社会全体の生産性維持にも直結しているという認識が高まっている証拠です。
男性更年期障害が気になる方へ――まず何をすべきか
もしご自身や身近な人が、「もしかして男性更年期障害かも」と感じたら、まずは医療機関で相談することが大切です。最近では「メンズヘルス外来」や「男性更年期外来」を設けている病院も増えてきました。こうした専門外来が近くになければ、泌尿器科や内科、場合によっては心療内科を受診するのも一つの方法です。
医師には、いつから・どのような症状が・どれくらいの頻度で現れているか、日常生活への影響などを具体的に伝えましょう。例えば「ここ2ヶ月ほど、週に3回はイライラして仕事に集中できず、夜も眠れない」「性欲や活力が落ちてきた」など、できる限り詳細に伝えると、より適切な診断と治療につながります。
男性更年期障害の治療とセルフケア
男性更年期障害の治療は、症状の程度やホルモン値、年齢、他の持病などを考慮して個別に決定されます。症状が軽い場合は、まず生活習慣の見直しが基本となります。栄養バランスの良い食事、適度な運動、十分な睡眠をとることが、ホルモンバランスの安定に直結します。特に、亜鉛やビタミンD、マグネシウムといった栄養素は、テストステロンの分泌に欠かせません。牡蠣や赤身肉、卵、ナッツ類、魚やきのこ類を日々の食事に取り入れると効率良く摂取できるでしょう。
また、運動はテストステロン分泌の促進に大きな効果があります。ウォーキングやジョギングなどの有酸素運動に加え、筋力トレーニングもおすすめです。週に2~3回、30分程度の運動を習慣化することで、ホルモンバランスの改善が期待できます。
睡眠の質を高めることも重要です。夜更かしや、寝る前のスマホ・パソコン使用を控え、毎日同じ時間に就寝・起床することで、体内時計を整えましょう。リラックスできる時間を意識的に作ることも、心身のバランスを保つ助けになります。
喫煙や過度な飲酒は、テストステロンの分泌低下や血管の老化を招く原因となるため、できる限り控えるようにしてください。
症状が重い場合や、生活改善だけでは十分な効果が得られない場合には、テストステロン補充療法や、必要に応じて漢方薬、抗うつ薬、ED治療薬などが医師から処方されることもあります。この場合も、自己判断での薬の使用は避け、専門家の指導を受けてください。
まとめ――早めの行動が未来の健康を守る
男性更年期障害は、決して珍しいことではありません。むしろ、誰にでも起こりうる現象です。だからこそ、「年齢だから仕方がない」と我慢せず、気になる症状があれば早めに専門家に相談し、ご自身の体と向き合ってみてください。
日々の生活を少し見直すだけでも、ホルモンバランスは大きく変わります。バランスの良い食事、運動、質の高い睡眠、そしてストレスとの上手な付き合い方――これらが、あなたの未来の健康、そして毎日の活力を守るカギとなります。
「最近、なんか違う」と感じたときこそ、体からのサインです。ぜひ今日からできることを一歩ずつ始めてみてください。それが、より良い明日への第一歩となるはずです。
参考文献
※1:https://sbi-medic.tokyo/columns/column/column20250318_01/
※2:https://toyokeizai.net/articles/-/929779


