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2026

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    オランダ発のストレス解消法“ニクセン”──「何もしない」が現代人の心を救う理由

    オランダ発のストレス解消法“ニクセン”──「何もしない」が現代人の心を救う理由

    忙しい毎日のなかで、ふと立ち止まり、ただぼんやりと窓の外を眺める。そんな時間を“無駄”だと感じていませんか。ですが、もしその「何もしない」が、実は心と体を回復させるのに有効なストレス解消法だとしたら、どうでしょうか。

    オランダ発のストレス解消法「ニクセン」が、今注目を集めています。

    “何もしない”のが流行?オランダ人の余白の美学

    日曜日の午後、オランダの公園で芝生に寝転ぶ人々。カフェテラスでコーヒー片手にただ道行く人々を眺める大人たち。目的を持って動き続けるのではなく、「意図的に何もしない時間」を大切にするのが、オランダ流の生き方です。この“何もしない”を意味する「ニクセン」という言葉が、2019年にアメリカの有力紙で紹介されて以降、バーンアウト(燃え尽き症候群)や過労といった現代病への対抗策として世界中で注目されるようになりました。

    実際、オランダは世界幸福度ランキングで上位に位置しており、国民の多くが「何もしない」時間を自然に日常へ取り入れています。

    ニクセンの広がりと現代社会の課題

    なぜ今、ニクセンがこれほど注目されているのでしょうか。その背景には、グローバルに深刻化する「働きすぎ」の問題があります。オランダ政府の調査によれば、2022年には就労者の5人に1人がバーンアウト(燃え尽き症候群)の症状を経験しているとされ、精神的な疲労や虚無感に悩む人が増加しています。こうした流れを受け、オランダ国内の企業では従業員のためにリラックススペースを設けたり、散歩コースを敷地内に作ったりと、ニクセンを取り入れた職場環境づくりが進んでいます。

    この“働きすぎ”は日本も例外ではありません。働き方改革が叫ばれる一方で、依然として多忙を極め、心身の不調に苦しむ人が絶えません。日本のビジネス社会にもニクセンの必要性が高いともいえるでしょう。

    ニクセンがもたらす変化

    「何もしない」時間には、驚くほど多くのメリットが隠されています。

    まず、最大の効果はストレスの軽減です。仕事や勉強、家事など絶えず“生産性”を求められる現代人は、知らず知らずのうちに心身に大きな負荷をかけています。ニクセンによって一度その緊張の糸をゆるめることで、心がほぐれ、リラックス効果をもたらしてくれるのです。

    もうひとつの変化は、自律神経の調整です。ぼーっとすることで脳内には「幸せホルモン」と呼ばれるセロトニンが分泌されやすくなります。セロトニンは心を穏やかに整え、ポジティブな気持ちを促し、身体の調子までも整えてくれます。呼吸や血流の改善、免疫力のアップといった体調面にも良い影響があると考えられています。

    さらに、意外なことに「ひらめき」が生まれやすくなるのもニクセンの特徴です。集中しているときよりも、何もせず頭を“空っぽ”にしているときのほうが、脳は広範囲で活動していると考えられています。日常の隙間時間にぼーっと窓の外や空を眺めてみる──そんな何気ない瞬間に、思いがけないアイデアや解決策が浮かぶことも少なくありません。

    そして、日常に余白が生まれることで、穏やかで満ち足りた気持ちが芽生えます。何もしない“贅沢”な時間を許すことで、心の余裕が生まれ、日々の些細な出来事にも目を向けられるようになります。忙しさに追われていたときには気付かなかった、小さな幸せや変化を感じ取れるようになるのです。

    「何もしない」が難しいあなたへ

    「何もしないなんて暇がない」と感じる方も多いはずです。むしろ、真面目な人ほど「無為な時間」に罪悪感を抱きがちです。しかし、ニクセンは怠けることではありません。心身を癒やし、次の一歩を踏み出すための大切な“準備運動”なのです。

    ニクセンにまとまった時間は必要ありません。通勤電車の中で窓の外を眺めるだけ、カフェで人の流れをぼんやり見るだけでも十分。家事の合間に手を止めて、空や雲の流れを眺める。こうした“隙間時間”を意識的に作ることが、ニクセンの第一歩です。スマートフォンの電源を切ってみるのもおすすめです。通知やSNSから離れるだけで、脳がリラックスします。

    もし「何もしない」のがどうしても苦手だと感じるなら、無心でできる単純作業をしてみるのも一つの方法です。例えば、食器洗いや洗濯物を畳むなど、頭を使わず“セミオートマチック”にできる作業を、あえて目的なく行ってみてください。集中しすぎず、ほどよく意識を漂わせることがポイントです。

    ニクセンとマインドフルネスの違い

    ここで気になるのが、近年日本でも広まっている「マインドフルネス」との違いです。マインドフルネスは「いまこの瞬間」に意識を集中し、雑念を払うことを重視します。一方、ニクセンは「雑念が浮かぶのも、そのままにしておく」「時間が流れるままに身をゆだねる」ことを大切にします。どちらが自分に合うかは人それぞれですが、ニクセンはより力を抜き、自分を縛らないアプローチといえるでしょう。

    余白が生む創造性──子どもたちの“自由な発想”から学ぶ

    ニクセンの効果は大人だけでなく、子どもにも現れます。昔、NHKの教育番組で「ぼーっとする時間を持とう」という授業が行われたことがありました。最初は何をしていいか分からず戸惑っていた小学生たちも、「好きな場所で景色を眺めていればいい」と伝えると、それぞれが思い思いの場所で自由な時間を過ごし始めました。その後、自分の感じた心地よさを表現してもらうと、どの作品も個性的で豊かな発想に満ちていたのです。「何もしない」時間が、創造性や新しい発想を生み出す土壌になることを、子どもたちが教えてくれました

    「何もしない」を肯定する社会へ──ニクセンがもたらす未来

    「何もしない」ことは決して怠惰ではなく、豊かに生きるための方法の1つです。忙しさや情報に追われがちな現代社会だからこそ、意識的に“余白”を楽しみ、自分を解放する時間を持つことが求められています。

    ニクセンを日々の生活に取り入れることで、ストレスを減らし、創造性や幸福感を高めることで、「何もしない」自分を許してみてはいかがでしょうか。

    #ニクセン#ストレス解消#メンタルヘルス#働き方改革#ウェルビーイング#マインドフルネス#ワークライフバランス#リラックス

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