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2025

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    「なぜ貼れる?」――建設業界の常識を覆したニチバンの“吸水する”粘着テープ

    「なぜ貼れる?」――建設業界の常識を覆したニチバンの“吸水する”粘着テープ

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    雨の日の翌日、天候が回復しても、建設現場の作業が止まってしまうことがある。湿ったコンクリート面には、粘着テープが貼れないからだ。ブロワーで無理やり乾かしたり、プライマー(下塗り剤)を塗布したり、あるいはただひたすら乾くのを待つしかない。これは、工期の遅延やコスト増に直結する、建設業界が長年抱えてきた悩みのひとつだったという。

    この根深い課題に、粘着技術の力で挑んだ企業がある。セロテープや救急絆創膏ケアリーヴなどで知られるニチバン株式会社(本社:東京都文京区、代表取締役社長:高津敏明)だ。100年以上にわたり粘着技術を追求してきた同社が、ついに湿ったコンクリートにも貼れる粘着テープを開発した。

    常識を覆した、水分を「吸収」する粘着剤

    その製品の名は「せこたん 湿潤コンクリート用粘着テープWCT」。最大の特長は、ニチバンが独自に開発したという「湿潤面粘着技術」にある。 そもそも、なぜ一般的な粘着テープは湿ったコンクリートに貼れないのか。塗装面や金属のように水をはじく性質(疎水性)の素材であれば、テープを圧着する力で表面の水滴を追い出して貼り付くことができる。しかし、コンクリートのような水を吸う性質(吸水性)の素材では、テープと素材の間にある水分を取り除くことができず、粘着力を発揮できない。これが業界の「常識」だった。

    記事内画像 ニチバンは、この常識を覆すために全く新しい「吸水性粘着剤」を開発。表面の水を追い出すのではなく、粘着剤自体が水分を「吸収」することで粘着力を発現させるという、逆転の発想だ。この技術により、コンクリートが湿っていてもテープを貼り付けることが可能になった。

    製品化までの道のりは容易ではなく、実に5年半もの歳月を要した。季節や気温、貼付面の状態など、様々な条件下で、気の遠くなるような試作品の評価が繰り返されたそうだ。

    「時短」がもたらす、現場の未来

    2025年3月の発売後、製品はすぐに大きな反響を呼んだという。建設業界向けの展示会では、実演を見た多くの建設関係者から驚きの声が上がり、その様子を収めた動画がSNSで話題になるほどだった。

    「せこたん 湿潤コンクリート用粘着テープWCT」は、湿ったコンクリートへの軽量シートの固定や、工事・調査時のマーキング、養生などといった用途で、すでに多くの現場で活用されている。コンクリート以外にも、雨天のイベントでゴミ袋を固定するなど、その応用範囲は広い。

    記事内画像 深刻な人手不足に直面する建設業界において、この製品がもたらす価値は大きい。これまで雨上がりのたびに発生していた乾燥作業や待ち時間が不要になることは、作業効率を劇的に改善し、施工時間そのものを短縮する可能性を秘めている。

    「ぴったり技術で明日をつくる」ニチバンの挑戦

    この「湿潤面粘着技術」は、建設業界にとどまらず、様々な分野への応用が期待されるという。同社は、市場の声に耳を傾けながら、今後のラインナップ拡充を検討していく構えだ。

    「ぴったり技術で明日をつくる」という企業メッセージを掲げるニチバン。粘着技術というコア技術を武器に、社会が抱える課題を解決し、新たな価値を創造していく。彼らの挑戦は、まだ始まったばかりのようだ。

    記事内画像 せこたん 湿潤コンクリート用粘着テープWCT https://www.nichiban.co.jp/industry/construction/sekotan_wct/
    ニチバン株式会社
    https://www.nichiban.co.jp/

    「セロテープ」はニチバン株式会社の登録商標です。 「せこたん」「ケアリーヴ」はニチバン株式会社の商標です。

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