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年間44万件の激務を「40%」効率化。ミロク情報サービスの若手チームが開発した“育つAI”の正体
ビジョナリー編集部 2025/12/17
年間44万件を超える問い合わせに対応、その課題とは
財務・会計システムおよび経営情報サービスを開発・販売する株式会社ミロク情報サービス(MJS)。同社は、会計事務所や企業ユーザー向けに操作方法や障害対応を行うカスタマーサポート部門(CSC)を有しており、その対応件数は年間44万件にも上るという。
しかし、顧客満足度の向上を目指す同社には、大きく2つの壁が立ちはだかっていたようだ。
1つは、電話対応の滞留である。顧客数の増加に伴い問い合わせ件数は年々増加。人員不足も相まって、電話がつながりにくい状況が発生していた。
2つ目は、調査に要する時間の長さだ。多種多様な対応製品に加え、顧客ごとの個別事情も絡むため、オペレーターには広範な知識とスキルが求められる。解決に必要な情報やデータが社内に散在しており、検索効率が悪かったことも、迅速な対応を阻む要因となっていた。

生成AIを活用した顧客からの問い合わせ対応システムを独自開発
局面が動き出したのは2023年。業務効率化を目指した社内ワーキンググループが発足した時のことだ。「コールセンター業務の効率化」をテーマに掲げ、20代の若手社員を中心としたプロジェクトチームが立ち上がった。彼らが成果物の一つとして独自開発したのが、生成AIを活用した問い合わせ対応システム「MJS BOT」である。
「MJS BOT」は、ユーザーの質問に対し、RAG技術を用いてマニュアルやFAQ、過去の履歴など膨大な文書から関連情報を検索し、回答を生成するシステムだという。
特徴的なのは、その成長性だ。生成された回答に対し、スタッフが精度の評価や指摘を行える機能を実装。さらに、日々発生する問い合わせ履歴などの文書を毎日自動的に取り込む仕組みを構築することで、人の手を介さずとも回答範囲が広がり、精度が向上し続けるシステムを実現した。

利用できる職種を拡大し全社展開、MJS全体の業務効率化を図る
「MJS BOT」が参照するデータは、500冊を超えるマニュアルやFAQ、7万件の過去ログなど、実に16万件を超える。「MJS BOT」の導入は、回答の迅速化、品質向上、そして平準化に大きく貢献したようだ。
実際、2024年10月からカスタマーサポート部門での利用を開始したところ、継続的な改善を経て、平均問い合わせ対応時間を40%効率化するという成果が出ている。この成功を受け、2025年6月からは営業職や開発職を含む全社員へと展開されている。
さらに2025年7月には、この知見を顧客サービスへと昇華させた。会計事務所向けに、生成AI活用の問い合わせ対応Webサービス「MJS AIアシスト」の無償提供を開始。同年9月には一般企業ユーザーへも提供範囲を広げた。リソースを最適化した「MJS AIアシスト」は、社内版と比較して回答精度が15%向上、生成スピードは3分の1以下に短縮されたという。顧客がストレスなく自己解決できる環境を整えることで、同社はさらなる顧客支援を進めている。

J.D. パワー「法人向けテクニカルサポートコールセンター満足度調査」業務ソフト部門でMJSが第1位を獲得の評価
こうした取り組みの結果は、客観的な評価としても表れている。「電話のつながりやすさ」「応対の丁寧さ」「情報や回答内容の適切さ」「要望に対する理解力」の4項目において、同社は最高評価を獲得したという。
詳細は【MJSのニュースリリース】から確認可能だ。
関連ニュースリリース:
2024年10月「生成AI活用の問い合わせ対応システムを開発、10月よりMJSのカスタマーサポート部門で利用を開始」
2025年7月「生成AI活用の問い合わせ対応Webサービス『MJS AIアシスト』、会計事務所のお客さまを対象に無償提供開始」


