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ノーベル平和賞受賞者が集う場所:世界平和への提言と次世代育成
ビジョナリー編集部 2025/11/07
「ノーベル平和賞受賞者世界サミット」は、歴代のノーベル平和賞受賞者(個人および団体)が一堂に会し、世界の挑戦的課題、人権の擁護、暴力のない世界の構築について議論・討論を行う国際会議です 。専門知識を持つ受賞者たちが、世界が直面する問題の解決に向けた提言などを行う場として、ほぼ毎年世界各地で開催されています 。
ゴルバチョフ元大統領の提唱による設立
「ノーベル平和賞受賞者世界サミット」は、1990年にノーベル平和賞を受賞したミハイル・ゴルバチョフ元大統領の着想により設立されました 。彼は、歴代の受賞者たちが皆、人類にとって非常に重要なメッセージや理念を携えていることを対話の中で知り、彼らが一堂に会する場の必要性を痛感しました 。
ゴルバチョフ元大統領は、世界で起こっている問題に対し、受賞者たちが議論し、社会運動を推進するための声明や宣言を行うこと、そして新しい活動の先駆的アイデアを生み出す創造の場が不可欠であると考えました 。サミットは、ノーベル平和賞受賞者による叡智に基づいたメッセージを全世界に送り、世界が少しでも良くなることを願って設立されました 。
1999年ゴルバチョフ大統領により、ローマで正式に「ノーベル平和賞受賞者世界サミット」が、25名のノーベル平和賞受賞者、および彼らの派遣団、外交団が集まって開催され、ローマ法王ヨハネ・パウロ2世はサミットの第2部をヴァチカンにて主催しました 。 1999年から2007年まではイタリアのローマでの開催でしたが、「世界・人権宣言・採択60周年」の2008年には、フランスのパリ、2009年には、「ベルリンの壁・崩壊20周年」のドイツのベルリンで開催するなど、2007年以降は、この大変重要で非凡な活動を世界に広げています 。
叡智と希望のメッセージを世界へ発信
サミットには、多くのノーベル平和賞受賞者が出席し、彼ら自身のインパクトのある行動や手本となる生き方に基づいて、叡智と希望を込めたメッセージを発信してきました 。この活動は現在までに何百万もの人々に影響を与えています 。
サミットでは、最終声明や宣言が一般公開され、受賞者たちの言葉を世界に伝えています 。参加する受賞者たちは、非常に異なった経験を持っているにもかかわらず、平和への道を模索するという、一つの熱い情熱で結ばれています 。彼らは「私たちは心を痛める事象を前にし、それを是正するためにただ信念に基づき行動を起こし、諦めずにその道を歩んできた、皆と変わりのない、ただの人間です」と語り、平和は誰にでも、どの国においても可能であることを示し続けています 。
広島での開催と「広島宣言」
2010年は「原子爆弾投下から65年」、という節目の年にあたったことから、広島市で11月12~14日に開催され、チベット仏教の最高指導者、14世ダライ・ラマ法王、南アフリカのフレデリク・デクラーク元大統領など、個人受賞者6名と、国境なき医師団など、受賞13団体が参加し、「ヒロシマの遺産:核兵器のない世界」をテーマに討論を行い、各国政府が、市民社会と協力し、核兵器廃絶のための、条約交渉を始めるよう求める「広島宣言」を発表しました 。
次世代のリーダー育成に注力
「ノーベル平和賞受賞者世界サミット」は、特に学生(次世代を担う若者たち)の教育に力を入れています 。サミット期間中は、学生とノーベル平和賞受賞者によるワークショップが開催されます 。 本会議の後の午後には、大学生を中心とした学生が小さなグループに分かれ、ノーベル平和賞受賞者とディスカッションや質疑応答を行う、学生用のプログラム “Leading by Example” が実施されています 。このプログラムは、学生たちから「人生が変わった」と絶大な支持を受けており、歴史に名を遺す受賞者との対話という貴重な経験を提供しています 。
平和教育プログラムの普及
また、サミット中の次世代育成プログラム以外にも、ノーベル平和賞受賞者、個別の大学、そして同団体が連携し、大学と共同で平和教育プログラムも提供しています 。これは各大学に相応しいカリキュラムを提案し、サミットへの参加を促すものです 。このプログラムは、現在ヨーロッパや中南米で始動しており、今後さらに世界に普及させていくことを目指しています 。
受賞者と学生が希望に満ち溢れた目で議論する姿は、団体の活動を支える大きな原動力となっています 。世界を変えたいという若い学生たちの強い意志に触れることが、サミット運営陣にとって最大の喜びであり、若い芽がしっかりと育っていく瞬間に立ち会えることが、活動の飛躍に繋がると考えています 。


