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後悔しない老人ホーム選び:種類・費用・入居までの流れをわかりやすく解説
ビジョナリー編集部 2025/12/03
人生100年時代。高齢者ご本人はもちろん、ご家族にとっても、老後の住まい選びは人生の大きな転機です。今回は、「老人ホームの基礎知識」として、種類ごとの特徴や費用、入居までの流れ、選び方のポイントまで、わかりやすく解説いたします。
老人ホームは「公的施設」と「民間施設」がある
「老人ホーム」は大きく【公的施設】と【民間施設】に分かれています。
- 公的施設:自治体や社会福祉法人が運営。社会的弱者や要介護度の高い方を支援する役割が強い。
- 民間施設:民間企業が運営。サービスや設備が多様で、個々のニーズに合わせやすい。
この違いを知るだけでも、選択肢が整理されます。
公的施設の主な種類と特徴
1. 特別養護老人ホーム(特養)
「介護が必要な方の終の棲家」として、人気を誇る特別養護老人ホーム。
主に要介護3以上の高齢者が対象で、入居金不要・月額費用も抑えられています。
一方で入居待ちが数年に及ぶこともあり、プライバシーやレクリエーション重視の方には物足りなさを感じるケースもあります。
特徴まとめ
- 65歳以上、要介護3以上が原則
- 24時間の生活介護
- 初期費用ほぼ不要、月5~15万円程度
- 入居待ちが長いことが多い
2. 養護老人ホーム
「経済的・家庭的に自宅での生活が困難な方」のための施設です。
自立した高齢者が中心で、介護が必要になった場合は退去となることもあります。
特徴まとめ
- 65歳以上、自立が原則
- 月額0~14万円程度
- 入居には自治体の調査と審査が必須
3. ケアハウス(軽費老人ホーム)
「身寄りがなく、生活に不安がある方」の住まいとして人気です。
一般型(自立~要支援)と介護型(要介護1以上)があり、低価格帯で利用できます。
特徴まとめ
- 60歳以上(夫婦ならどちらか一人)
- 月額6~17万円、初期費用0~500万円
- 生活支援+一部介護サービス(介護型のみ)
民間施設の主な種類と特徴
1. 有料老人ホーム
民間施設の代表格。「介護付」「住宅型」「健康型」の3タイプに分かれています。
介護付有料老人ホーム
- 24時間体制で介護・生活支援
- 要介護度が高い方も安心
- 月15~35万円、初期費用0~数千万円
住宅型有料老人ホーム
- 食事や掃除などの生活支援
- 介護は外部サービスの利用(訪問介護など)
- 比較的自立した方が多い
健康型有料老人ホーム
- 自立した方向け
- イベントやアクティビティが充実
- 介護が必要になったら退去
2. サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)
“バリアフリー賃貸住宅”として近年急増中。
安否確認や生活相談を中心に、必要に応じて外部介護サービスを利用します。
自由度が高く、月額費用も民間施設としては抑えめです。
特徴まとめ
- 60歳以上(要支援・要介護なら60歳未満も可)
- 月額10~30万円、初期費用0~30万円
- 「自立+見守り」を重視したい方向け
3. 認知症高齢者グループホーム
認知症の方が少人数で共同生活を送り、専門スタッフの支援を受けつつ自立を目指す施設です。
特徴まとめ
- 65歳以上(要支援2~要介護5)、認知症の診断あり
- 同一市区町村に住民票が必要
- 月額10~20万円、初期費用0~20万円
4. シニア向け分譲マンション
バリアフリーの分譲マンション。所有権を持てるため、売買・相続も自由。
温泉やレストランなど高級設備が整っている反面、介護が必要になると外部サービスを利用する必要があります。
特徴まとめ
- 自立した方が対象、認知症は不可
- 初期費用数千万円以上、月額10~30万円
- アクティブなシニア層に人気
老人ホームの費用感
多くの方が「老人ホームの費用はどのくらい?」と気になるはずです。
公的施設は初期費用がかからず月額費用も比較的安価ですが、民間施設はサービスや立地によって大きく変動します。
主な費用項目
- 入居一時金(初期費用):0円~数千万円
- 月額費用(家賃・管理費・食費など):5万円~100万円
例えば、特別養護老人ホームの場合は月額5~15万円程度ですが、都心部や高級有料老人ホームでは月額30万円以上も珍しくありません。
また、食費や介護サービスの利用状況によって加算が発生するため、必ず事前に見積もりを確認しましょう。
老人ホーム入居までの流れ
1. 情報収集・資料請求
まずは、ご自身やご家族の希望条件(介護度・予算・立地・サービス内容など)を整理しましょう。パンフレットやホームページで複数施設の情報を集めることが第一歩です。
2. 現地見学・体験入居
資料だけではわからない“雰囲気”やスタッフの対応、入居者の様子などを体感しましょう。3つ以上の施設を見学すると、違いが一目瞭然です。
3. 相談・アドバイスの活用
迷った時はプロの力を借りましょう。
- ケアマネジャー(すでに在宅介護サービスを利用中の方)
- 地域包括支援センター(要支援~介護認定前の方)
- 民間紹介センター(全国の施設情報を網羅。無料相談が多い)
4. 申し込み・面談・審査
希望する施設が決まったら、必要書類を提出し、面談や健康状態の確認などの審査を受けます。人気施設では入居待機が発生する場合もあります。
5. 契約・入居
契約内容や費用の支払い方法(初期費用・月額費用・追加サービスなど)をしっかり確認しましょう。場合によっては「体験入居」や「ショートステイ」でお試しできる施設もあります。
施設選びで後悔しないために――押さえておきたい5つの視点
- 入居目的と希望条件を明確に
終の棲家?リハビリ目的?将来への備え? - 予算をしっかり確認
継続的に支払える範囲か、家計・資産・保険の見直しも - サービス内容・設備を比較
介護・医療体制、レクリエーション、居室の広さや共用スペースなど - 立地・周辺環境
住み慣れた地域、家族の通いやすさ、自然環境も大切 - 将来の変化にも対応できるか
介護度や健康状態が変わった時に住み替えが必要か、看取り対応の有無など
よくある質問
Q. 介護度が変化したら、住み替えは必要ですか?
A. 施設の種類や契約内容によります。介護付有料老人ホームや特別養護老人ホーム、介護型ケアハウスなどは終身利用が可能な場合が多いですが、健康型や住宅型有料老人ホーム、サービス付き高齢者向け住宅、分譲マンションなどは介護度が上がると退去・住み替えが必要になることもあります。
Q. 認知症でも入居できる老人ホームは?
A. 特別養護老人ホーム、グループホーム、介護付有料老人ホームが主な受け入れ先です。住宅型・サービス付き高齢者向け住宅は軽度のみの場合が多く、事前確認が必須です。
Q. 看取りまで対応している施設は?
A. 特別養護老人ホームや介護付有料老人ホーム、グループホームの一部、介護型ケアハウスなどでは看取りまでの対応が進んでいます。希望する場合は必ず確認しましょう。
まとめ
老人ホームは「人生100年時代の安心と希望」を支える大切なステージです。まずは「自分や家族がどんな暮らしを望んでいるのか」を明確にしましょう。
「介護度」「費用」「サービス」「立地」「将来の変化」――この5つの観点を押さえて、早めに情報収集・見学・相談を進めることが、後悔しない施設選びへの近道です。
最後に、「どんな最期を迎えたいか」まで見据えた選択が、家族全員の納得と安心につながります。迷ったときこそ、ケアマネジャーや地域包括支援センターなどプロの力を頼ってみてください。


