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2025

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    「言い方ひとつ」で大逆転!ビジネスマンの武器になる“フレーミング効果”とは

    「言い方ひとつ」で大逆転!ビジネスマンの武器になる“フレーミング効果”とは

    突然ですが、次の2つのフレーズを比べてみてください。

    • 「このプロジェクトの成功確率は90%です」
    • 「このプロジェクトは10%の確率で失敗します」
       

    どちらも本質的には同じ意味ですが、受ける印象はまったく異なりますよね。前者には“安心感”を、後者には“リスク”を強く感じるのではないでしょうか。
    この「同じ内容でも表現の仕方によって人の判断が大きく変わる」現象こそが、フレーミング効果です。
    ビジネスの現場では、提案や報告、営業やマーケティングなど、ありとあらゆる場面で「伝え方」が結果を大きく左右します。フレーミング効果を理解し、使いこなすことは、ビジネスマンにとってまさに「勝ち筋」をつかむ最強の武器となるのです。

    フレーミング効果とは?

    「フレーム」が変われば、意思決定も変わる

    フレーミング効果とは、同じ情報でも、どこに焦点を当て、どう表現するかによって、受け手の印象や行動が大きく変わる心理現象です。
    「フレーム」とは“額縁”や“枠組み”の意味。まるで同じ絵でも、額縁を変えればまったく違う印象になるように、情報も「見せ方次第」でガラリと評価が変わるのです。

    【具体例】日常にも溢れる「フレーミング」の罠

    • セール表示の違い:
      「1個100円」よりも「3個で300円」と表示すると、なぜか得に感じる。
    • ポイント還元:
      「10%割引」と「10%ポイント還元」では、後者の方が“お得感”が強く感じられる人が多い。
    • 健康食品のキャッチコピー:
      「90%の人が効果を実感!」と「10%の人は効果がなかった」――意味は同じでも、前者の方が圧倒的にポジティブな印象を持つ。
       

    こうした例は、私たちの日常のあらゆる買い物や意思決定の場面で、無意識のうちに影響を与えています。

    フレーミング効果のメカニズム

    「アジア病問題」が示す心理のクセ

    フレーミング効果を検討するために考案されたのが、ノーベル経済学賞受賞者ダニエル・カーネマン氏らによる有名な「アジア病問題」の実験です。
    600人が死亡する恐れのある病気への対策案として、学生がどちらを選ぶかの実験で、

    • 「200人が確実に助かる」案
    • 「600人全員が助かる確率1/3、誰も助からない確率2/3」案
       

    のように「助かる人数(利益)」を強調した場合、確実に助かる案を多くの人が選びました。 記事内画像 一方、

    • 「400人が確実に死ぬ」案
    • 「誰も死なない確率1/3、600人が死ぬ確率2/3」案
       

    のように「400人が死ぬ(損失)」という表現に変えると、全員助かる可能性に賭ける人が多くなりました。 記事内画像 同じ内容でも、「得」か「損」か、どちらにフォーカスするかで、人は驚くほど意思決定を変えてしまうのです。

    ビジネスでのフレーミング効果活用術

    1. 商品・サービスの魅力を「言い換え」で最大化

    • 例1:年間○円お得!
      「月々500円お得」より「年間6,000円お得」と言うだけで、インパクトが全然違います。
    • 例2:無料の魔力
      「無料お試しセット」や「送料無料」――損失ゼロと感じることで、ユーザーの心理的ハードルを一気に下げます。おまけや無料は「損するリスクがない」と強力に認識され、購買行動を後押しします。
    • 例3:おとり商品で決断を誘導
      「松・竹・梅」の3つの価格帯を提示すると、人は真ん中の選択肢を選びがちになります(ゴルディロック効果)。実は、竹が店側の本命であり、フレーミング効果を活用した戦略的な提示です。

    2. ポジティブ・リフレーミングで印象を変える

    同じ情報でも、「成功率80%」と「失敗率20%」では、前者の方が安心感を与え、行動を後押しします。また、「80%の方が美味しい」と「20%の方は不味いと言っている」では、受ける印象がまったく異なります。
    ポジティブな言い換え(リフレーミング)は、相手の感情を前向きにし、思わず行動したくなる心理を生み出します。

    プロスペクト理論──なぜフレーミング効果が生まれるのか

    フレーミング効果の背景には、「プロスペクト理論」という行動経済学の理論が存在します。

    「損失回避」の心理

    • 人は「得」よりも「損」を強く避けたい
      たとえば5万円を得る喜びよりも、5万円を失う悲しみの方が強く感じられます。
    • 勝っているときはリスクを避け、負けているときはリスクを取りたくなる
      投資や営業の現場でも、「失敗したくない」時ほど安定志向に、「逆転したい」時ほど大胆な行動に出やすい傾向があります。

    確率の感じ方のゆがみ

    • 宝くじなど、わずかな確率の当たりを過大評価しがち。
    • 逆に99%成功と言われても、1%のリスクがやけに大きく感じられる。
       

    このように、人間の意思決定は合理的ではなく、心理的なバイアスに大きく左右されています。だからこそ、「どう伝えるか(フレーミング)」が、ビジネスの成否を大きく分けるカギとなるのです。

    まとめ:フレーミングを意識して、伝え方を武器にしよう

    • フレーミング効果は「言い方ひとつ」で相手の判断を大きく変える心理現象
    • ビジネスでは、商品やサービスの魅力を最大限に伝えるための重要なスキル
    • 伝え方を工夫し、相手の「損失回避」や「得したい」心理に寄り添うことが重要
       

    伝え方を少し変えるだけで、ビジネスの成果は大きく変わります。
    今日からぜひ、あなたの「言葉のフレーム」を意識してみてください。きっと、これまで気づかなかった伝え方のパワーを実感できるはずです。

    #バイアス

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