
「注目されるだけで人は変わる?」ビジネスマンが知...
7/26(土)
2025年
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ビジョナリー編集部 2025/07/25
「ジンクピリチオン配合」と聞いて、あなたはどんな印象を持ったでしょうか?
何となく、最先端で効果が高そうなイメージを抱いた方も多いはずです。しかし、その実体が何なのか、と問われれば分からない方がほとんどではないでしょうか。
こうした現象こそが「ジンクピリチオン効果」と呼ばれる心理的作用なのです。
ビジネスの現場で新しいサービスや製品を提案する立場にいるビジネスマンにとって、この効果は無視できない武器にもなり得ます。
ジンクピリチオン効果とは、聞き慣れない専門的な言葉や用語を使うことで、相手に「なんだか凄そうだ」という印象を与えてしまう心理効果です。
この現象が広く知られるようになったきっかけは、花王が発売した『メリット』というシャンプーで使われた「ジンクピリチオン配合」というキャッチコピーでした。「ジンクピリチオン」とはフケなどを防ぐ有効成分のことであり、当時の消費者にとっては聞き慣れない横文字でした。にもかかわらず、「ジンクピリチオン配合」というだけで、「効きそう」「新しい」「他と違う」といった印象を多くの人が持つようになり、ヒット商品となりました。
このように、内容を理解していなくても、言葉の響きや新奇性だけで価値を感じてしまう心理現象が「ジンクピリチオン効果」です。
このような例は、広告や会議、営業現場など、あらゆる場面で見受けられます。
なぜ、私たちは「意味は分からないけど凄そう」と感じてしまうのでしょうか。そこには、人間の認知バイアスが大きく関与しています。
未知の言葉や専門用語は、「自分の知らない何か」に触れるワクワク感や、他者との差別化を無意識に想起させます。
とくにビジネスの現場では、「知らない単語=最先端」「専門用語=プロフェッショナル」といった連想が働きやすく、説得力や信頼感を増幅します。
この効果がうまく働けば、商品やサービスに対する購買意欲や、提案に対する納得感が高まるのです。
新しいプロジェクトや事業、サービスの説明において、インパクトを与えたい部分には、あえて専門用語や横文字を挟んでみましょう。相手の関心を引き、「新しい何かがある」というイメージを持たせることができます。
ただし、専門用語や横文字を多用しすぎると、相手に「分かりにくい」「煙に巻かれている」といった不信感を抱かせてしまいます。
実際、社内外の会議やプレゼンで専門用語を連発し、議論がかえって停滞したり、相手から「それってどういう意味?」と本質的な質問を受けて答えに窮するケースも少なくありません。
大切なのは、「ジンクピリチオン効果」はあくまでアクセントとして使い、伝えたい本質は分かりやすい言葉で丁寧に説明することです。
競合他社が難解な専門用語を多用している場合、逆に「シンプルで分かりやすい言葉」を前面に出すことで、差別化を図る戦略も有効です。ターゲットや文脈に応じて「ジンクピリチオン効果」と「分かりやすさ」を使い分けることが、ビジネスパーソンに求められるスキルです。
難しい言葉を使ったはいいものの、意味を尋ねられて答えられなければ、信用を一気に失ってしまいます。どんな専門用語も、「なぜその言葉を使うのか」「具体的にどんな価値があるのか」を自分の言葉で説明できることが必要です。
ジンクピリチオン効果は、「凄そう」という最初の印象で興味を掴むものにすぎません。
実際に相手が意思決定する際には、「内容の信頼性」や「実際の成果」が重視されます。
もし中身が伴わなければ、いずれ「看板倒れ」になり、ブランドや個人の信頼が損なわれるリスクは避けられません。
ジンクピリチオン効果は、単なる言葉遊びではありません。
その本質は、「人間が本能的に新しいもの、専門的なものに価値を感じる」という心理に根差しています。
あなたの提案や商品が、「なんだか凄そう」から「本当に価値がある」へと昇華するために、ジンクピリチオン効果を正しく・効果的に使いこなしてみてはいかがでしょうか。