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中国ではもう現金が使えないって本当!?なぜ日本は現金文化から抜け出せないのか?
ビジョナリー編集部 2025/07/29
いま世界では急速にキャッシュレス化が進んでいます。例えば中国では、小さな商店街でもキャッシュレスが主流となり、中国出張や旅行の際に、空港で換金する人はほとんどいなくなったと言われています。
スマートフォン一つで買い物や食事ができる時代、日本でもキャッシュレス決済の普及が叫ばれています。しかし、実際の生活では「やっぱり現金が落ち着く」と感じている方も少なくありません。
日本は世界でも有数の現金大国――。この現象の裏側には、どんな理由が隠れているのでしょうか?そして、世界のキャッシュレス先進国と比較すると何が違うのでしょうか?
本記事では、キャッシュレス決済と現金払いそれぞれの特徴と、なぜ日本がキャッシュレス社会になりきれないのかを深掘りします。
1. キャッシュレス決済と現金払い、それぞれの「強み」と「弱み」
現金払いのメリット
まずは、「現金派」の方が現金をなかなか手放せない理由から見ていきましょう。現金払いには、こんな“安心感”や“便利さ”があります。
- 使いすぎを防止できる
現金は、財布に入っている分しか使えません。予算を決めて財布に入れておけば、つい無駄遣いしてしまう心配も少なくなります。「今月はあといくらまで使えるのか」、一目で把握できるのは現金ならではです。 - 不正利用の心配が少ない
キャッシュレス決済では、万が一スマートフォンやカード情報が流出すると不正利用のリスクがあります。現金は物理的な盗難のリスクはあるものの、デジタル犯罪には巻き込まれません。 - どこでも使える安心感
特に地方や小規模な店舗、屋台などでは、キャッシュレス決済が導入されていないケースも多いです。現金があれば「どこでも買い物できる」という安心感があります。
現金払いのデメリット
一方、現金払いには次のような“煩わしさ”もあります。
- ポイントが貯まりにくい キャッシュレス決済では、支払額に応じてポイントが付与されることが一般的です。現金払いは、ポイント面でどうしても不利になりがちです。
- 会計に時間と手間がかかる
財布からお札や小銭を探し、お釣りをもらう――。レジ前でのやり取りに時間がかかり、混雑の原因にもなります。 - ATMでお金を引き出す手間と手数料
定期的にATMに足を運ばなければならず、時間帯によっては手数料が発生します。つい忘れてしまい、慌ててコンビニATMを使うとそのたびに数百円が消えていきます。 - 支払い履歴の管理が難しい
キャッシュレスならアプリやWeb明細ですぐに履歴を確認できますが、現金払いはレシート管理や家計簿記入が必要です。 - 衛生面のリスク
不特定多数の人が触れた紙幣や硬貨。感染症予防の観点からも、現金に触れるのを避けたいと考える方が増えています。
キャッシュレス決済のメリット
では、キャッシュレス決済の魅力はどこにあるのでしょうか。多くの方が「一度使うと手放せなくなった」と口を揃える理由には以下のようなものがあります。
- スピーディーな会計
スマートフォンやカードを端末にかざすだけで支払いが完了。レジの待ち時間が短縮され、混雑緩和にも繋がります。 - ポイント還元でお得
利用額に応じてポイントが付与されるため、現金払いよりも“得した感”が大きいです。 サービスによっては、キャンペーンやポイントの二重取り・三重取りも可能です。 - 家計管理がしやすい
利用履歴が自動で記録されるため、月々の支出を見直すのも簡単。アプリで可視化できるので、無駄遣いの把握や家計簿代わりにもなります。 - 衛生的で安心
端末にかざすだけの非接触決済が主流になったことで、現金に触れない安心感があります。 - 現金を持ち歩く必要がない
財布を持たずに外出できる、スマートなライフスタイルを実現できます。 - 売上管理や業務効率化にも寄与(店舗側のメリット)
日々の売上が自動でデータ化され、人為的なミスや現金管理の手間、盗難リスクも減少。新たな客層の獲得にも繋がります。
キャッシュレス決済のデメリット
しかし、キャッシュレス決済にも注意すべき点があります。
- 使いすぎのリスク
「お金を使っている実感が薄い」と感じる方も多く、つい無駄遣いを重ねてしまう恐れがあります。後から請求額を見て驚く“キャッシュレスショック”は、誰もが一度は経験するものです。 - セキュリティ・不正利用の不安
サイバー攻撃やフィッシング詐欺などへの警戒が必要です。高齢者ほど「なんとなく不安」と感じているケースが多いです。 - システム障害や通信不良に弱い
スマートフォンの通信障害や決済端末の不具合が発生すると、支払いができなくなるリスクも。 - 現金しか使えない場面が残る
小規模店舗や一部の公共機関では、依然として現金のみ対応というケースもあります。
2. 日本でキャッシュレス決済が浸透しにくい理由
「なぜ日本はキャッシュレス後進国なのか?」
この問いには、“日本ならでは”の事情があります。
現金への圧倒的な信頼感
日本の紙幣・硬貨は世界トップクラスの偽造防止技術を誇ります。実際、偽札が出回るニュースはほとんど耳にしません。
「現金は安全で、確実」――この意識が根強く残っています。
一方、海外では「偽札に注意」といった警告が普通。中国や韓国では、現金への信用の低さ低下がキャッシュレス普及の大きな要因となりました。
決済手数料の高さ
現金決済は“手数料ゼロ”ですが、キャッシュレス決済には加盟店手数料が発生します。日本では3~4%が一般的ですが、海外では1%前後が主流です。
「売上の3%も手数料で引かれるなら導入したくない」と考える小規模店舗は少なくありません。
決済サービスの乱立
QRコード決済をはじめ、国内外の多様なサービスが乱立しています。「どれを導入すればいいのかわからない」「顧客のニーズを読み切れない」と悩む店舗も多いのが現状です。
消費者側の心理的ハードル
「キャッシュレスは使いすぎが心配」「スマホの操作が難しそう」
特に高齢者層中心に、こうした不安が根強く残っています。
現金なら“目に見える安心感”があり、家計管理もしやすいという意識が根付いています。
入金サイクルの遅さ
現金なら売上がその場で手元に入りますが、キャッシュレス決済は銀行口座への入金までタイムラグがあります。資金繰りがシビアな小規模店舗ほど、この点を懸念しています。
3. 世界のキャッシュレス事情:進んでいる国、遅れている国
キャッシュレス先進国の実態
韓国
キャッシュレス決済比率は93.6%(2020年時点)と驚異的な数字を誇ります。特にクレジットカードの普及率が高く、オンラインショッピングでは75%以上がカード決済。
背景には、アジア通貨危機からの経済立て直しを狙った政府主導のキャッシュレス政策があります。
また、スマートフォン普及とともに、モバイル決済への移行も加速しています。
中国
中国はキャッシュレス大国として有名です。アリペイやWeChat Payといった電子マネーが、都市部から農村部まで浸透。現金に対する信用の低さ(偽札問題や釣り銭不足)、スマートフォンの爆発的普及、そして政府の強力な後押しが普及に拍車をかけました。
中国では現金決済を断る店舗も珍しくなく、「QRコード1つで全て完結」が標準です。
アメリカ
キャッシュレス比率は55.8%(2020年時点)。
クレジットカードとデビットカードが広く普及しており、広大な国土でATM利用が不便なことがキャッシュレス化を後押ししています。
キャッシュレスが進まない国の特徴
日本
キャッシュレス決済比率は39.3%(2023年時点)で、世界主要国と比べてまだ低い水準です。現金への信頼、手数料の高さ、サービス乱立など、普及を妨げる要素が複数存在します。
ドイツ
キャッシュレス決済比率は21.3%(2020年時点)と、意外にも日本より低い数字です。
ドイツもまた、現金への信頼が圧倒的に高く、特に高額紙幣の流通が普通です。
一方で、大きな支払い時にはカードを利用する傾向もあり、今後は徐々にキャッシュレス化が進むと見られています。
4. それぞれの“最適な使い分け”とは?
両者のメリット・デメリットを知った上で、シーンごとに最適な使い分けをすることが、これからのスマートな消費行動と言えるでしょう。
例えば…
- 日々の小さな買い物や公共交通機関の利用
→「電子マネー」や「QRコード決済」がスムーズで便利。ポイント還元やキャンペーンも積極的に活用しましょう。 - 月々の支出管理や予算コントロールが必要な時
→「現金払い」にして、使いすぎを防ぐのも有効な手段です。 財布の中身を見て「これだけしか使えない」と自制できます。 - ネットショッピングや高額な支払い
→「クレジットカード決済」でポイントを賢く貯める。ただし、後払いなので使いすぎには注意が必要です。 - キャッシュレス未対応の個人商店やイベント会場
→「現金」がいざという時の安心材料になります。
5. まとめ
ここまで、現金払いとキャッシュレス決済のメリット・デメリット、日本と海外の違い、その理由について解説してきました。日本ではまだまだ現金文化が色濃く残っていますが、世界ではキャッシュレスが新たな“標準”になりつつあります。それぞれの決済方法の特徴を理解し、シーンごとに上手に使い分けることが、これからの賢い選択です。
大切なのは、「なんとなく」ではなく、理由を知った上で選ぶこと。
今日から、あなたに最適な“お金の使い方”を見つけてみませんか?


