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幸せを生む「オキシトシン」:驚くべき効果と、分泌を高める最新メソッド
ビジョナリー編集部 2025/08/01
「最近、なんとなく気分が上がらない」「ストレスで肌の調子も今ひとつ」――そんな日々に、実は“あるホルモン”が深く関わっていることをご存知でしょうか。
その名は オキシトシン。だれもが日常で分泌し、心と体に重要な役割を果たしているホルモンです。
オキシトシンは現代人の幸福感や健康維持、さらには美しさまで左右する“最強の味方”なのです。
オキシトシンとは?――「愛情ホルモン」と呼ばれる理由
オキシトシンは、100年以上前に発見された脳内ホルモンです。「愛情ホルモン」「絆ホルモン」「幸せホルモン」など、さまざまな呼ばれ方をしています。
元々は「出産や授乳に関わるホルモン」として知られていました。しかし、近年の研究で次のような多彩な効果が明らかになってきました。
- 幸福感を高める
- ストレスや不安を和らげる
- 他者への信頼感を高める
- 痛みを和らげる
- 社会性や共感力を育てる
- 肌や髪の若々しさをキープする
このホルモンは人間だけでなく、ペットとして人気の犬や猫など、哺乳類でも重要な役割を果たしています。例えば、犬が人と見つめ合うだけで、お互いのオキシトシンが増えるという実験結果も報告されています※1。
オキシトシンの「3大効果」を知る
1. 心を癒やす――ストレス・不安の軽減
オキシトシンが分泌されると、脳内で“安心感”や“幸福感”を強く感じやすくなります。
たとえば、信頼できる友人と話したり、家族と触れ合ったとき「ホッとする」と感じるのは、オキシトシンが作用している証拠です。
また、ストレスホルモン「コルチゾール」の分泌を抑える働きもあるため、慢性的なストレスや不安の解消にも役立ちます。
2. 美容・健康への好影響――肌も若返る?
「幸せホルモン」のオキシトシンは、実は肌や髪の健康にも密接に関わっています。
- 表皮再生の促進:肌が自ら生まれ変わる力を高め、バリア機能もアップ。
- 炎症の抑制:ニキビや肌荒れの予防にも期待できます。
- 老化の抑制:オキシトシンが増えると、コラーゲンを守るビタミンCの消費が抑えられ、シワやたるみも防ぎやすくなります。
驚くべきことに、オキシトシンは“自分の肌でも作られる”ことがわかってきました。つまり、心地よい刺激やセルフケアを行うことで、肌自身が若々しさを保つ力を後押しできるのです。
3. 社会性を育む――つながりのホルモン
オキシトシンは「他者との信頼」「共感」「助け合い」を育てるホルモンでもあります。
例えば、子育てや介護の現場で、愛情を込めたスキンシップを行うと、親子や介護者・高齢者双方のオキシトシンが増加し、
- 子どもの共感力やストレス耐性が育つ
- 介護の場面でお互いの心が穏やかになる
といった好循環が生まれるのです。
オキシトシンはどうやって増やせるのか?
オキシトシン分泌を高める9つの具体的な方法を紹介します。
1. スキンシップ(ハグ、手をつなぐ、マッサージ)
最も効果的なのは「肌と肌のふれあい」です。ポイントは“愛情や信頼を感じる相手”と触れ合うこと。無理に行うと逆効果になることもあるため、心地よい関係性が大切です。
【ミニコラム】
実は、マッサージでは“受ける側”より“施す側”のほうが多くオキシトシンが分泌されるという意外なデータもあります※2。「人のために何かをする」「優しさを持って接する」だけでも、あなた自身の幸福度がアップします。
2. セルフタッチ・セルフマッサージ
「今すぐ人と触れ合えない」そんなときは、自分自身をやさしく触れるセルフタッチを試してみてください。
- 頭からつま先まで、両手で“ひと筆書き”のように体をなでる
- 指先で肩や背中をリズミカルにタッピングする
- お風呂あがりにクリームやオイルでマッサージする
これらの動作は、皮膚の「心地よさ神経」を刺激し、脳に直接オキシトシン分泌を促します。
3. ペットやぬいぐるみとのふれあい
犬や猫をなでる、抱っこする――
ふわふわのぬいぐるみを抱きしめるのも効果的です。ペットがいない方も、心地よい感触のアイテムで代用できます。
4. 信頼できる人との会話や笑顔のやりとり
「気のおけない仲間と笑顔で話す」それだけでも、あなたの脳内ではオキシトシンがじわじわ分泌されています。ちょっとした「ありがとう」「お疲れさま」といった声掛けも効果的です。
5. 五感を刺激する――香り・音楽・美しいもの
五感(視覚、聴覚、嗅覚、味覚、触覚)を満たすことも大切です。
- 視覚:美しい景色やアートを眺める
- 聴覚:好きな音楽や自然の音を聴く
- 嗅覚:ラベンダーやローズマリーなどのアロマを楽しむ
- 味覚:おいしい食事やスイーツで幸せを味わう
- 触覚:ふわふわのタオルや洋服、スキンケアで肌をいたわる
「自分が心地よい」と感じるものを日常に取り入れてみてください。
6. 自然に触れる・ガーデニング
森林浴や登山、ガーデニングなど「自然とのふれあい」もオキシトシン分泌を促進します。観葉植物を愛でるだけでも、心が落ち着きホルモンの分泌が活性化します。
7. 瞑想・深呼吸
リラックスした状態、副交感神経が優位になることでオキシトシンは分泌されやすくなります。マインドフルネス瞑想や、意識的な深呼吸を5分行うだけでも効果があります。
8. 推し活・一体感を覚える活動
「仲間と一緒に好きなアーティストを応援する」
「チームで目標に向かう」
このような“共感体験”でも、オキシトシンは増えるのです。
9. ストレスケアを意識的に行う
ストレスがたまると、逆にオキシトシンの分泌が減ってしまいます。お風呂や読書、趣味の時間を大切にして、こまめなセルフケアを心がけましょう。
実践!オキシトシン分泌を高める生活の工夫
「どれも簡単そうだけど、どうやって取り入れればいい?」日常に無理なくオキシトシン習慣を組み込むコツをいくつかご紹介します。
スキンケアの時間を“ご褒美タイム”に
夜のスキンケアでハンドプレスを取り入れると、肌と脳が同時に喜びます。
【やり方】
- 手のひらや指先を温める
- 化粧水やクリームをなじませたら、肌に優しく10秒ずつプレス
- 好きな香りのスキンケアアイテムを使うと、さらに効果UP
通勤や移動時間は「音楽・香り」でリフレッシュ
イヤホンでお気に入りの音楽を流す
ポケットアロマを持ち歩き、疲れたときに香りで気分転換
ちょっとした工夫で、忙しい毎日もオキシトシンが高まりやすくなります。
週末は「自然に触れる」予定を
近くの公園や植物園に出かけてみる
観葉植物を部屋に置いてみる
自然との距離を少し縮めるだけで、心も体もリセットされていきます。
ビジネスや子育てにも応用できるオキシトシン活用術
職場のチームワーク向上にも
オキシトシンは「人との信頼関係」を築く上で不可欠なホルモンです。
- 朝のあいさつやねぎらいの言葉を大切にする
- オンライン会議でもカメラONで表情を伝える
- チームで目標を共有し、一体感を演出する
こうした“つながり意識”が、職場の幸福度とパフォーマンスを押し上げます。
子育て・介護の「質」を変える
親子や介護の現場では、愛情あるスキンシップが子どもや高齢者の心身の発達に直結します。
たとえば、1歳までの間にたっぷりと触れ合うと、その後の共感力やストレス耐性が高まるといわれています。
また、育児や介護を担う人自身も「まず自分の機嫌を整える時間」を持つことで、より良いスキンシップやケアを行えるようになります。
まとめ:オキシトシンを味方につけて、毎日をもっと豊かに
- オキシトシンは「幸せ」「愛情」「信頼」など、人の幸福感や健康、美容に直結する重要なホルモンです。
- 肌と肌のふれあい、五感への心地よい刺激、利他的な行動や自然とのふれあい……これらすべてがオキシトシン分泌の鍵となります。
- ちょっとしたセルフケアや日常の工夫で、誰でも手軽にオキシトシンを増やすことができます。
今日から実践できる小さな習慣が、あなた自身の「幸福度」を大きく変えていく――そんな未来のために、まずは一つ、気になる方法を試してみてはいかがでしょうか。
参考文献
※1:https://www.azabu-u.ac.jp/files/150417_press.pdf
※2:https://www.jstage.jst.go.jp/article/koshohin/46/1/46_460106/_pdf