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2025

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    なぜゴミの分別はこんなにバラバラ?──東京23区や日本各地、そして世界のルールを紹介

    なぜゴミの分別はこんなにバラバラ?──東京23区や日本各地、そして世界のルールを紹介

    「えっ、これも分別違うの?」引越しで戸惑うゴミ出しのリアル

    引っ越しをして、「新しい生活にワクワク!」と思いきや、思いもよらぬ壁にぶつかった経験はありませんか?そう、地域ごとに全く違うゴミの分別ルールです。昨日まで普通に捨てていたものが、今日からは別の袋に分けなければならない…。
    「どうしてこんなに面倒なの?」とため息をつきたくなる方も多いはず。 しかし、実はこの“複雑な分別”には、意外な背景や地域ごとの知恵が隠されているのです。
    今回は、東京都23区や全国のユニークな事例、さらには世界と日本の違いまで紹介します。

    まず知っておきたい「なぜゴミ分別が必要なのか?」

    「分別なんて意味がない」、そんな噂を耳にしたことはありませんか?たしかに、せっかく丁寧に分けても、最終的には焼却されているケースが多いという現実もあります。しかし、分別の本質的な目的は3つあります。

    ①資源の再利用
    アルミ缶や古紙、ペットボトルは新たな製品の原料に生まれ変わります。分別されていないと、リサイクルが不可能になるのです。

    ②環境負荷の軽減
    ゴミを適切に分けて処理することで、焼却炉の効率が上がり、有害物質の発生も抑えられます。

    ③天然資源の節約
    リサイクルが進めば、新たな資源の採掘や伐採を減らせ、地球環境保護に直結します。 また、焼却施設や埋立地の寿命を延ばすというメリットも。

    分別は「面倒な作業」ではなく、未来への投資なのです。

    なぜ分別ルールが地域ごとに違うのか?

    引っ越しを経験した方なら、自治体ごとに異なる分別ルールに驚いたことがあるでしょう。この背景には、主に次の3つの要因があります。

    ①設備の違い
    高性能な焼却炉を持つ自治体では、多少の混合ゴミでも安全に処理できるため、分別がシンプルになりがちです。一方、設備が限られている地域では、より細かな分別が必要になります。

    ②コスト・予算の差
    ゴミの回収・処理には多額の費用がかかります。財政に余裕のない自治体は、住民に分別や持ち込みを求めてコストを抑えています。

    ③人口と地域性
    人口が多い都市部では処理量が膨大なため、回収の効率化を優先し、分別がシンプルになる傾向があります。逆に、人口の少ない地域では住民同士の協力が得やすく、分別を徹底できるのです。

    東京23区──同じ都内でも変わる分別ルール

    分別が楽な区、厳しい区の実態

    都市部ではシンプルな傾向にあるということは、東京都23区であれば、どこも似たようなルールなのかと思いきや、実は大きな違いがあります。

    • 分別が比較的“楽”な区

    港区・台東区・品川区・杉並区など
    3種類(可燃ゴミ・不燃ゴミ・資源ゴミ)の分別。資源ゴミも古紙・ビン・カン・ペットボトルなどシンプルです。品川区では「可燃」「陶器・ガラス・金属」「資源」の3分別です。

    • 分別が“厳しい”区

    江戸川区・練馬区・大田区など
    江戸川区は特に分別項目が多く、規則も厳格。練馬区では古着や古布を指定施設へ持ち込む必要があり、使用済み食用油もペットボトルに入れて回収日に出すルールです。

    例:練馬区の古着リサイクルは、着られるものは中古衣料として再使用され、着られないものや古布は工業用雑巾に生まれ変わります。

    全国のユニークな例

    【神奈川県川崎市】「ざっくり分別」なのにゴミ排出最少都市?

    川崎市の分別は、なんと全8種類。缶とペットボトルも一緒、古紙もまとめてOKという“大雑把”な分別です。
    「これで大丈夫?」と不安になりそうですが、実は2017年から2020年の3年連続で政令都市中、1人当たりのゴミ排出量が最も少ないという結果に。
    その理由は、市や企業、市民が一体となったゴミ減量の取り組み。高性能な焼却施設やEVゴミ収集車の導入など、先進技術と市民協力の賜物です。

    【大阪市】「指定ゴミ袋なし」「ゆるい分別」「でも罰則は厳しい?」

    大阪市は、指定ゴミ袋が不要。透明か半透明の袋なら色付きもOK。資源ゴミも、缶・ビン・ペットボトル・金属製品を1つの袋にまとめて出せます。
    その代わり、分別ルール違反にはオレンジ色の啓発シールが貼られ、収集してもらえないという独自のペナルティがあります。

    【徳島県上勝町】日本一細かい分別は「51種類」!

    人口1700人ほどの上勝町は、「51種類」という日本一細かい分別で有名です。

    • 空き缶はスチール・アルミ・スプレー缶に分ける
    • ビンは透明・茶色・リサイクル・その他
    • 割り箸も竹と木で分別
    • 古着も「燃えるゴミ」扱いせず再利用
       

    さらに、ゴミ収集車はなく、住民が直接「ゴミステーション」へ持ち込みます。生ゴミは堆肥に利用され、町のリサイクル収入は年間約300万円にもなっています。この徹底ぶりは、「人口が少なく、住民同士の協力が密」だからこそ可能なモデルです。

    世界の分別、日本とはここが違う!

    「日本の分別って、本当に複雑なの?」海外の事情を知ると、日本の分別が“特別”である理由が見えてきます。

    アメリカ:「リサイクル用」「コンポスト」「その他」だけ!?

    アメリカは基本的に“ざっくり分別”。

    • リサイクル用ゴミ箱:紙・プラ・缶・ガラスなど全部一緒
    • コンポスト用ゴミ箱:生ゴミや落ち葉
    • その他:埋め立て用
       

    分別のほとんどは回収後に工場で行われ、住民の手間は少なめです。一方で、ルール違反には罰金も。

    韓国:「生ゴミ」の考え方がまるで違う!

    韓国は日本と似ているようで、「生ゴミ」の定義が独特。

    • 家畜のエサや堆肥になるものだけが生ゴミ
    • 卵の殻やティーバッグなどは生ゴミでなく一般ゴミ
    • 生ゴミの90%以上がリサイクルされている反面、堆肥の過剰生産が新たな課題に

    ドイツ:「分別しなくてもOK」?リサイクル大国の真実

    ドイツは世界トップのリサイクル率を誇りますが、住民は「リサイクル用」「紙」「生ゴミ」「ビン」「一般ゴミ」に大まかに分けるだけ。細かな分別は回収後の専門工場で実施されます。
    さらに、ペットボトルや缶にはデポジット制(返却でお金が戻る)があり、回収効率が抜群。

    日本のような「燃える/燃えない」の分別は珍しく、“焼却が主流”の日本、“埋め立てや再利用が主流”の欧米という根本的な違いも。
    この違いは、日本は埋め立てに使える土地が限られているので、焼却によって少しでもゴミの体積を減らす工夫が必要だからです。

    今日からできる!分別ストレスを減らすコツ

    • 「9割ルール」を活用
      例えば、包装の素材が9割可燃なら、1割の金属がついていても可燃ゴミでOK(自治体によるので確認は必要です)。
    • 自治体の公式アプリや冊子を活用
      住んでいる場所に合わせて、最新の分別ルールをチェック。引越し時は特に要注意です。
    • 分別BOXや袋を使って“見える化”
      家の中で分別しやすい仕組みを作ると、負担がグッと減ります。

    まとめ

    ゴミ分別のルールは、地域や国ごとに大きく異なります。「なぜ面倒なのか?」と感じる背景には、設備、コスト、地域性、そして未来への配慮が詰まっています。
    日本独特の“燃やす・燃やさない”基準も、限られた土地や環境を守るための知恵。
    自治体ごとの取り組みも日々進化しています。
    分別の一手間が、新しい資源、新しい街、そして次世代の美しい地球へとつながる──。
    今日から、できることから始めてみましょう。

    #ゴミ出し#ゴミ分別#分別ルール#リサイクル
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