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2026

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    床下から日本の家を守る。「疾風勁草」の精神と「高いだけはある」品質で築く、アサンテ 宮内征社長が語る成長軌道

    床下から日本の家を守る。「疾風勁草」の精神と「高いだけはある」品質で築く、アサンテ 宮内征社長が語る成長軌道

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     日本の木造住宅を、見えない「床下」から支え続ける株式会社アサンテ(旧・三洋消毒株式会社)。シロアリ防除をはじめとする住宅メンテナンスのプロフェッショナルとして、 50 年以上の歴史を持つ同社を率いるのが宮内 征代表取締役社長だ。就職氷河期に入社し、初日で弱音を吐くほどの過酷な現場を経験した同氏は、なぜこの仕事に魅了され、トップへと上り詰めたのか。お客様からの「ありがとう」がもたらす原動力から、先代社長から受け継いだ「一期一会」「疾風勁草」という 2 つの言葉が持つ哲学、そして業界のイメージを覆す徹底した品質へのこだわりまで、日本の家と暮らしを守り抜くための熱い思いに迫る。

    勘違いから始まった就職活動。寛容な社風に「自分の居場所」を見つけた

    アサンテ(当時の三洋消毒)にご入社されたきっかけをお聞かせください。

     実は、この業界の意義に深く共感して入社したわけではないのです。私は1994 年の就職氷河期に入社しました。大学は経済学部に在籍しており、周囲は金融機関への就職を目指す人が多い時代でした。

     一方で、親族が病気になったことをきっかけに医療現場に興味を持ち、文系でも目指せる MR(医療情報担当者)の仕事を探していました。そんな時に当社の前身である「三洋消毒」に出会ったのです。「消毒」という社名から、病院の滅菌などを行う医療関係の会社だと勘違いして面接に進みました。

     就職試験を受けていく過程で違うと気づきましたが、最終面接を担当してくださった役員の方が非常に面白く、大らかな方だったことが入社の決め手となりました。ビジネス的な志望動機などは聞かれず、「お酒は飲めるの?」といったアイスブレイクの質問で終わってしまったほどです。失敗にも寛容な社風を感じ、「こういう勢いのある会社なら、逆に細かい性格の自分にも居場所がありそうだし、この人たちと一緒にやったら面白そうだ」 と感じたのが正直なところです。

    お客様からの「ありがとう」で実感したこの仕事の意義と醍醐味

    入社後は営業や現場の経験を積まれたそうですが、床下での作業はやはり過酷だったのではないでしょうか。

     特に、初日は疲労困憊でした。現場研修で先輩に「床下に入って」と言われても、うまく床下に入ることすらできません。当時の床下は低いところも多く、大引(おおびき)という木材と土の間に挟まって抜け出せなくなり、土を必死に掘って這い出たこともあります。真っ黒になりながら帰りの車中で先輩に弱音を吐いたことを覚えています。

     それでも続けられたのは、 直接お客様と対峙し、反応をいただける BtoC 事業ならではの醍醐味 があったからです。泥だらけになって床下から出てくると、お客様から「大変だったね、自分では絶対できない必要な仕事だよ。ありがとう」と感謝の言葉をいただけます。作業後にお茶をいただきながら、施主の方の家に対する思いや苦労話をお伺いするうちに、自分たちの仕事はただの害虫駆除ではなく、お客様の人生の思いが詰まった家に役立っているのだ と実感することができました。この、直接いただける「ありがとう」の言葉が、苦労を上回る大きな原動力になっています。

    「一期一会」と「疾風勁草」。先代から受け継ぐ、人としての信頼関係

    現場の過酷さを知るからこそ、社員の皆様とのコミュニケーションや教育で大切にされていることはありますか。

     床下の仕事は成果が数値化しにくいため、社内検定制度を設けて技術力を可視化し、社員がステップアップを実感できる環境づくりに取り組んでいます。私自身も可能な限り研修施設に足を運び、社員の声に耳を傾けるようにしています。

     私が仕事をする上で大切にしているのは、「一期一会」と「疾風勁草(しっぷうけいそう)」 という 2 つの言葉です。

     「一期一会」は、先代の社長が常に口にしていた言葉です。サービス業である当社は、施工品質が商品品質に直結するため「人ありき」のビジネス です。いくら正しいことを 言っていても、人間関係ができていなければ人は動きません。だからこそ、お客様に対しても社員に対しても、人との付き合い方を何よりも大切にしています。

     もう 1 つの「疾風勁草」は、激しい風が吹いて初めて強い草が見分けられるように、逆境や苦しい時にこそ人の本質が出る という意味です。若い頃、自分の企画が失敗して取引先に謝罪に行く際、直属の上司が逃げてしまったことがありました。その時、別の方が一緒に矢面に立ってくれたのを見て、「自分も困難な時に決して逃げない、信頼される人間でありたい」と心に刻みました。

    シロアリ防除は家を長持ちさせ、命を守る「減災」の要

    御社ならではの強みや、シロアリ防除という仕事の社会的意義についてどのように捉えていらっしゃいますか。

     シロアリ防除の一義的な目的は害虫駆除ですが、本当の目的は 「家の強度を維持し、長持ちさせること」 です。

     実は、シロアリの被害は家の倒壊リスクに直結します。阪神・淡路大震災や能登半島地震のデータでも、シロアリ被害がある家とない家では全壊率に大きな差が出ています。被害があると、地震の際に家がもろく崩れやすくなるのです。完全に倒壊を防ぐことは難しくても、避難するための十数秒を確保するだけの強度は残さなければなりません。つまり、私たちの仕事は大げさではなく「減災」に繋がっている と自負しています。

     また、施工の品質には絶対の自信を持っています。床下での作業はお客様から見えにくいため、「ちゃんとやってくれているのか」という不安を抱かれがちです。だからこそ、施工前後の写真をしっかりお見せし、契約後や工事後には本社から「サンキューコール」を実施し、お客様が理解・納得されているか、法的な手続きが適正に行われたかを確認しています。

     他社と比べると価格は高いかもしれません。しかし、「高いけれど、それだけの価値がある丁寧な仕事をしてくれた」 とお客様に言っていただけるよう、品質の追求には一切の妥協をしていません。

    新築からストックへ。木造住宅のあらゆる困りごとを解決するプロフェッショナルに

    最後に、JA(農協)様との長年の連携や、今後のビジネスの展望についてお聞かせください。

     JA 様は組合員からの信頼を第一に考え、品質を非常に厳しく評価される組織です。継続的な品質が求められる中で、当社の専門性を評価し、長く提携していただいていることは私たちの誇りです。

     シロアリ防除は「やって終わり」ではありません。当社では年 1 回のアフター点検にお伺いし、5 年間の保証期間中も状況の変化をしっかりチェックします。こうした何かあった時に確実に対応できる誠実さ が、お客様や JA 様からの信頼に繋がっているのだと思います。

     今後の展望としては、新築着工件数が減少する中で、「今ある家をどう長持ちさせるか」というストック型のビジネス がより重要になると考えています。シロアリだけでなく、近年都市部でも増加しているネズミや、蜂といった害獣・害虫対策も含め、私たちの事業領域は広がっています。

     最終的な目標は、末長くお客様との関係性を築き、木造住宅のあらゆる困りごとを解決するプロフェッショナルになること です。お客様の大切な家と日本に根付いた木造の文化を、これからも最前線で守り続けていきます。

    #株式会社アサンテ#シロアリ駆除#住宅メンテナンス#地震対策#減災#住まい

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