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【2026年最新】年金「第3号」縮小の議論ーー背景と知っておくべき選択肢とは
ビジョナリー編集部 2026/09/13
公的年金制度における「第3号被保険者制度」は、長年にわたり専業主婦やパートで働く方々の生活を支えてきました。しかし2026年9月現在、厚労省の有識者検討会において、対象の縮小・見直しに向けた議論が本格化しており、制度のあり方が大きな節目を迎えています。
本記事では、制度の基本的な仕組みを振り返りながら、なぜ今第3号の見直しが進められているのか、その論点や今後の具体的な働き方の選択肢まで分かりやすく解説します。
3つの被保険者制度の基本
日本の公的年金は「2階建て」の仕組みになっています。1階部分にあたる「基礎年金」を土台とし、会社員や公務員はその上に2階部分の「厚生年金」が上乗せされる構造です。制度に加入する人々は、働き方や暮らしに応じて以下の3種類に分かれています。
- 第1号被保険者: 自営業者やフリーランス、学生など(自分で保険料を納付)
- 第2号被保険者: 会社員や公務員など(給与天引きで厚生年金保険料を負担)
- 第3号被保険者: 第2号被保険者に扶養される20歳以上60歳未満の配偶者(個人の保険料負担なし)
なぜ「第3号」制度が生まれたのか
現在の3区分および第3号被保険者制度は、昭和60(1985)年に中曽根内閣の年金制度大改正によって創設されました。
それ以前は、会社員の妻(専業主婦等)の国民年金への加入は任意とされていました。しかし、任意加入をしなかったために離婚後や夫の死亡後に無年金・低年金になってしまう女性が多く発生することが社会問題化しました。
当時の日本は「夫が外で働き、妻が専業主婦として家庭を守る」という世帯が主流(標準的世帯モデル)でした。そのため、個人の所得を持たない配偶者であっても、老後の基礎年金という自身の権利を確立し、無年金化を防ぐための救済措置・権利保障として第3号制度が生まれたという歴史的経緯があります。
被保険者の割合や人数の推移と構造変化
制度創設以降、日本の産業構造やライフスタイルの変化(女性の社会進出や共働き世帯の増加)に伴い、各被保険者の割合や人数は大きく変化しています。
第1号被保険者の減少
自営業者の減少や、短時間労働者への厚生年金適用拡大が進んだことなどにより、第1号被保険者の人数は減少傾向にあります。かつては加入者の大きな割合を占めていましたが、現在は全体の2割程度まで縮小しています。
第2号被保険者の増加
女性や高齢者の就労拡大、雇用保険・社会保険の適用要件緩和(パート・アルバイトへの厚生年金適用拡大)に伴い、第2号被保険者の人数・割合は年々増加しています。現在は公的年金加入者全体の約7割近くを占める最大の区分となっています。
第3号被保険者の大幅な減少
専業主婦世帯の減少と共働き世帯の一般化に伴い、第3号被保険者の数は1990年代半ばをピーク(約1,200万人超)として著しい減少傾向が続いています。近年の社会保険適用拡大(「年収の壁」対策によるパート・アルバイトの第2号への移行)も重なり、ピーク時から半減近くまで縮小しました。
このように、かつては「標準モデル」とされていた専業主婦(第3号)を前提とした制度設計と、実際の社会における就労構造との間に乖離が生じたことが、議論の根底にあります。
なぜ今「第3号」の縮小・見直しが議論されているのか
昭和の時代に整備された仕組みが、令和の現代において見直されている背景には、社会構造の変化と課題が存在します。
まずは、「世帯モデルの変化と不公平感」です。共働き世帯数が専業主婦世帯数を大きく上回るようになった現在、単身者や共働きで保険料を納めている世帯から「特定の世帯だけ保険料負担が免除されているのは不公平ではないか」という指摘が増えています。
また、「年収の壁と就労抑制」の観点があります。扶養の範囲にとどまるために勤務時間や収入を抑える「働き控え」が発生しており、深刻な人手不足に悩む産業界にとっても大きな課題となっています。
第三に「本人の老後保障の薄さ」です。第3号のまま過ごした場合、将来受け取れる年金は基礎年金のみとなります。平均寿命が延びる中、単身になった際の老後資金が不足するリスクが懸念されているのです。
制度縮小をめぐる議論の賛否
見直しについては、推進する立場と懸念を示す立場から多様な意見が提示されています。
賛成派からは「働き方に左右されない中立的な社会保障を実現すべきだ」という声があがっています。短時間労働者が厚生年金に加入できれば、現役世代の保障が手厚くなるだけでなく、将来受け取る年金額が増えて老後の生活水準が高まる点が評価されています。
一方で慎重派からは「育児や介護、健康上の理由などで働きたくても働けない配偶者への救済措置が消えてしまう」という強い懸念が示されています。家事や育児といった無償労働が評価されにくくなることや、社会保加入による急な手取りの減少が家計を圧迫するリスクも根拠とされています。
厚労省でも、病気や子育てなどの事情を考慮した制度設計の要否を含め、実態把握を行う姿勢を見せています。
自分自身の働き方と損をしない選択肢
制度の見直しが進む中で、「扶養から外れると損をする」という先入観を手放し、保障の面から家計の戦略を捉え直す選択肢があります。
確かに社会保険に加入すると、毎月の給与から保険料が引かれるため目先の手取り収入は一時的に少なくなります。しかし、社会保険料を自分で負担することには大きなリターンが存在します。
たとえば、病気やケガで休業した際の「傷病手当金」や、出産時の「出産手当金」といった手厚い公的保障が適用されます。さらに、会社員としての社会保険料は事業主と折半で負担するため、自身で第1号被保険者として全額納付するよりも経済的な効率が良い点も魅力です。
終わりに
政府の議論も一律の廃止ではなく、厚生年金への移行を後押ししながら段階的な適用を進めていく方向性になると見られています。
自身や家族の将来設計を見据えて、その上でライフスタイルや働き方を見直す時なのかもしれません。


