
原宿で築いた縁、原宿に描く夢
6/2(月)
2025年
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八木原 保 2025/05/29
今後、経営を志す人たちにメッセージを残すとすれば、常に、どんなことが起きても対応できるような準備を図ることを考えていただきたいということだ。長く続いていく会社にしていかなければならないし、自分の会社のことだけ考えるわけにもいかない。しかし、今の世の中は何が起こるか予想を立てるのが非常に難しい。
世界を見れば、アメリカのトランプ大統領が世界のあらゆる国に高い関税を課し、通商交渉を持ちかけていることによって、政治経済の先行きはさらに不透明になっている。
国内に目を転じても、予想もつかないような問題ばかりが発生している。1キロの米が2,000円から4,000円に跳ね上がり、価格の上昇を緩和するための備蓄米を準備しても流通しているのはわずか3%であると聞く。そのような中で国民は正しい情報を知ることができているのだろうか。国の動きも遅いのではないかと思う。
先行きの見えない状況の中、次の時代を担う若者たちは未来像を描くのが難しくなっている。結婚しない人が多くなり、結婚しても子供を作らない。教育費がかかりすぎるからだ。しかしこれでは人口は縮小へとまっしぐらだ。そして、どれだけの人が危機感を持って、こうした状況の解決を図ろうとしているのか、という懸念もある。
一方で、新卒の若者たちにアンケートを取ると、管理職にはなりたくない、出世するのが嫌だという意見が大勢になっているという。平凡に生活していければいいというところで皆がとどまってしまう。昔の私のように起業をしてチャレンジしていくことなどは、ほんの一部に限られてしまうことなのかもしれない。今、都会に出てきて一旗を揚げたいなどと強烈なことを考える人は本当にいなくなっている。情報化社会で情報があふれていることが、若い人たちから「見えない夢に向かってチャレンジをしよう」という気概を奪っているのかも知れない。
それでも、時代がどう変わろうとも、やる気があり、新たな時代を作っていこうとの気概をもつ者は必ずいる。これをどう応援するかがもっとも重要で、そのための環境づくりを我われがしていかなければいけない。ただ、そのためにはやはり応援するほうにもエネルギーが必要である。
私は何もないところから起業してきたが、振り返ると本当によくこの道まで来られたと思う。振り返ると、これまでの人生はあっという間に過ぎたと感じるが、生きている限りは世の中の役に立ちたいと思う。国にも地域にも業界にも役に立つ存在でなければいけない、自分だけ良ければいいというふうに考えてはいけない。月一回のファッションロータリークラブでも、仲間たちとそのようなことを熱く語り合っている。