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2025

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    未来の世代にクリエイティブな原宿を残したい

    #28未来の世代にクリエイティブな原宿を残したい

    原石からダイヤへ

     私は、ファッション業界の荒波を生き抜いてきた形になっているが、未来の世代にはクリエイティブな原宿を残していきたいと考えている。

     私がこの地へ来た時、竹下通りは住宅地で、表参道には店が1、2軒ある程度だった。それが今や、日本はもちろんのこと、世界からも注目される巨大なファッションエリアとなっている。しかしその影響で巨大資本もどんどん進出しており、若い世代がエネルギーを発散させ、その中に入り込むチャンスはなくなってきている。表参道の歩行者天国をもう一度復活させるなど、若い人たちが自分自身のパフォーマンスを発揮できるようなチャンスを与える環境づくりをしていかなければならないと私は考えている。

     「東京を世界からあこがれる街に」というコンセプトのもと、小池百合子都知事が旗を振って東京クリエイティブサロンを都内10か所で実施するようになり、今年で6年目になる。これも重要な取り組みだが、私はこの原宿をどのようにして、より魅力的で発信力があり、皆に訪れてみたいと思われるような街にすることができるのかを考えている。原宿を安心・安全で魅力的な街にするというのは、私たち原宿神宮前商店会のテーマでもある。

     原宿は、他の街から比べても少しきれいなところだと私は思っている。文教地区のため、けやき並木以上の高さの建物は作られていない。そして誰もが安心して歩ける街だ。一方で新宿は現在では荒れてしまって、一歩裏道に入れば恐喝に巻き込まれるようなこともある。女子高生、女子大生にとって行ってみたい街と考えられていた渋谷も、残念ながら危ない街という位置づけになってしまっている。だからこそ、原宿は安心して歩けるような特色を守りながら、より発信力のある街にしていかなければならないという思いが強い。

     街が汚れたり荒れたりするのは、住民がいなくなるためである。だから私はこの原宿に住み、警察とともに防犯活動に取り組み、街の掃除に努めている。地域の方々と一体となり、外から来られる方に対して気持ちよく過ごしていただけるような街づくりをより徹底していきたいと思う。ゴミが町中に捨てられるようになると、次々と連鎖的に捨てられるようになる。好い環境づくりをしていくには凄まじい努力を要するが、住民の力を合わせて取り組めば可能であるし、継続的な取り組みが重要であると考えている。

     そして若者に、ビジネスチャンスを与えられるような街にしていきたい。東急プラザ原宿「ハラカド」などもそうだが、若いクリエイターたちの才能を芽生えさせるような環境の整備に一緒に取り組んでいけたらと思っている。

     来年の東京クリエイティブサロンには、ビームスのクリエイティブチームに参加してもらおうとも計画している。活動を通じて、原宿の魅力づくりを進め街の発展にも力を尽くしていきたい。経験を踏んだ私たちだからこそ、次世代のための環境づくりに取り組む義務があるのだ。

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