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2025

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    原宿の“カワイイ”を世界に きゃりーぱみゅぱみゅの大使認証

    #13原宿の“カワイイ”を世界に きゃりーぱみゅぱみゅの大使認証

    原石からダイヤへ

     「八木原さん、今、世界に羽ばたいていきたいっていう女の子がいるんで、ちょっと会ってやってくれませんか?」

     今の渋谷区長、長谷部健氏が区議会議員だった2012(平成24)年、私はある相談を知人から受けた。その知人とは、イベント企画会社兼芸能事務所のアソビシステム株式会社・中川悠介社長。彼は、奇抜なファッションに身を包んだ19歳の女の子を連れてきた。

     名前を、「きゃりーぱみゅぱみゅ」といった。

     彼女は言った。「海外に出て日本の歌をアピールしていきたいです。原宿の“カワイイ”を世界に広げて、日本が元気だって伝えたいんです」と。ついては渋谷区から公的な形で「原宿カワイイ大使」というものを認証していただけないかと言われ、そして表彰してもらえるよう、私からも働きかけてくれないかというのだ。

     奇抜な提案で、私もその言葉を聞いて正直よく意味が分からなかった。ただ、滔々(とうとう)と夢を語る彼女の姿は実に面白いと思った。そして私は、当時の桑原敏武渋谷区長に話をした。

     桑原氏とは、長らく非常に親しい付き合いをさせていただいていた。彼は渋谷区の助役から市長になった人物で、立候補と当選が遅く区長を10年ほど務めた当時は78歳くらいになっていた。こういった話が来た、面白い子なので応援しようと思うのだけどどうですか、というふうに話をしたら「八木原さんがいいって言うのならいいんじゃないかな」という返事が来たのだ。

     かくして了承を得たので、8月30日にラフォーレ原宿のミュージアムを使い、きゃりーぱみゅぱみゅの「原宿カワイイ大使」認証式を大々的に行った。すると共同通信社からNHKや民放テレビ局まで、主要メディアがたくさん取材に訪れた。桑原区長もインタビューも受けたが、彼女の名前を「きゃりーぱんぴゅん殿」と発音したところがニュースとして報道され、3か月もの間各メディアで放送されることとなった。さらに私も、勢いに押された形で年末のベストドレッサーに彼女を選んだ。その後彼女は、レコード大賞と紅白歌合戦に出演することになり、広く知られるようになった。そしてこのブレイクで弾みをつけて海外へと活動の場を広げ、私に語ってくれたように原宿の“カワイイ”を世界に広げてくれた。

     もっともそれはやはり、私の進言に耳を傾けてくれる桑原区長の存在があったからこそ実現したことだ。桑原区長とはもともと、渋谷の街をどうしたら他の区と違う街にできるかということで話し合うことのできる仲だったのだ。私たちの他にも、東急グループ代表の野本弘文会長や文化服装学院の故・大沼淳理事長など合計7人で、どうやったら渋谷の街を活性化できるか隔月で会議をしていた。また、私は株式会社オンワード樫山をはじめ、ファッション関連企業6社の社長を桑原区長に会わせて、ジャパンファッションウィークの開催を促すなど、渋谷をファッションと観光の街になるような流れを作ってきた。きゃりーぱみゅぱみゅの「原宿カワイイ大使」認証も、その流れの延長上の出来事だったともいえる。

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