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2025

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    何でも協力し合える、安心・安全な大商店会を

    #19何でも協力し合える、安心・安全な大商店会を

    原石からダイヤへ

     原宿神宮前商店会会長就任と、街づくりについてもう少し述べていきたい。

     原宿の中心に、地域をまとめる商店会連合会というものが存在した。今の東急プラザ原宿「ハラカド」のあるあたりだ。そこの商店会が、さまざまな問題によってうまくいかなくなり休止していた。周辺には住民もいるため、休止のまま放置されても困るということで、原宿の有力者から私に相談が来るようになり、「何とかこの街にも商店会を作ってくれないか」ということだった。

     当初は私も忙しかったし、「商店会の会長に就任したらトラブルに巻き込まれるかもしれない。やめたほうがいい」と言う人もいた。しかし、原宿の街をずっとそんな状態で放置するわけにもいかない。そう決心し、最初に打診を受けてから3年ほどたち、引き受けた。そして基本方針を話し合い、「各商店の店主一人ひとりがその街で商う人であり、その街に住む人であるとの自覚をもって、『安心・安全で、明るく元気な魅力ある街にしよう』という思いを一つにしなければならない」と意思を確認したことは、前々回で述べた通りである。

     もっとも、最初のうちはこの提案は受け入れてもらえなかった。当然、そこにはさまざまな立場の人たちの思惑が絡む。神宮前3丁目のことは昔からつながりがあってよく知っていたが、今度は4丁目の町会にもかかわることになったわけだ。しかし、そことは接点がない。にもかかわらず商店会長を務めることになったものだから、最初の2、3年はうまくいかなかった。

     ただ、町会の人たちもだんだんと私のことを理解してくれるようになり、今では本当に何でも協力し合える雰囲気になっている。私が呼ぶとたとえば警察官僚やさまざまな分野の人たちが集ってくれる。そうして大きな盛り上がりを見せ、今ではとても有力な商店会となっている。これも、原宿の街づくりの大きな要因になったのではないかと思う。

     事実、最初は小さかった商店会の規模はたちまち大きくなった。ラルフローレンや東急プラザ、パルコなどが加入したりした。今ではこのエリアにある商店はほとんどが会員となっている。 一方で、街が繁栄すると、思いがけない不法行為や犯罪が発生するものである。安心できる街づくりを目指すため、行政や警察、商店会、町会で一体となり、防犯パトロールや美化活動を定期的に行うこととした。また定例の理事会を開催して、地域の問題点を具体的に報告してもらうようにした。さらに、極力事務局と連絡を密にし、会員相互の連絡を取り合って正確な情報を集め、商店街全体の新規出店や退店などの把握に努めた。

     原宿には現在8つの町会と、原宿神宮前商店会をはじめ9つの商店会があり、これらの団体が渋谷区役所や原宿警察署と一体となり、安心・安全な街づくりに取り組んでいる。なお私はコロナ禍前に退任し、GIMの役員の早川千秋に会長職を譲り、今は名誉会長として商店会と原宿の街にかかわらせていただいている。

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