
ビームスの目指す形・「コミュニティブランド」
7/6(日)
2025年
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設楽 洋 2025/06/27
前にも述べた通り、新入社員には「熱気ややる気がもの凄く大切だ」ということを言っています。それはどの会社でも言うことだと思うのですが、僕が意図しているのは、「努力は夢中に勝てない」「好きなことをどんどん突き詰めなさい」ということです。そして、なぜビームスに入ったかということも含めて、「あなたの指紋が残る仕事をしてください」と伝えています。
ビームスは本年(2025年)49年目を迎え、来年50周年となります。1976年にオープンし、当時ストックスペースを除くと7畳くらいの小さな売場のお店でしたが、『日本の若者の風俗・文化を変える』と宣言して、25歳の、新入社員の皆とそれほど変わらない年頃の自分が、とてつもないことを言って、店を運営してきました。当時の宣言を完全に実現できたとは言えませんが、湖にポンと石を投げて波紋が広がるくらいにはやってきました。当時の70年代風のファッション、80年代風のインテリア、90年代風の髪型――当時は分からなかったけれども、20~30年経って振り返ってみると、自分たちが提案したものがその時々の文化というものをつくってきた、と感じることがあります。
今入社する新入社員のみなさんは、『2020年代風』を提案する、ということです。自分たちが提案したものが世の中に広がり、10~20年後に振り返った時に、世の中が変わったという瞬間を必ず味わいます。こんな素敵な仕事は、他にはないと感じます。だから、自分たちの足跡・指紋を残せる仕事をしてほしい、と思います。
また、僕が新入社員に毎年訊くのは、「『センスがいい』ってどういうことだと思いますか?」という質問です。これには、多様な答えがあります。「自己表現」「TPO」「清潔感」「バランス」。そして、僕は最後に答えます。
「みんなの言う『センスがいい』というのは、それぞれ合っていると思います。でも、僕の考える『センスがいい』っていうのは『相手の気持ちが分かること』です。みんなには『センスがいい人』になってほしい」
仕事とは、皆をハッピーな気持ちにさせることが一番の目的です。『世界一大きな会社になるよりも、世界一みんなを笑顔にする会社になってほしい』というのがビームスの役割だと思うのです。素晴らしい仲間たち――仲間というのは社員ばかりではなく、「素晴らしい仲間たちと新しいハッピーを作っていく」ということをやっていきたい。「ハッピー ライフ ソリューション コミュニティーズ」として、もっとワクワクする明日をつくっていきたい、と願っています。
その時代によってやるべきことはさまざまありますが、根本はシンプルに「もっとワクワクする明日を」。ビームスは、ジャンルの異なる趣味を持った人たちが集まった組織です。ただ、向かう方向は一緒だと思っています。
最後にもう一つ、僕が新入社員に伝えている言葉を紹介します。
『働く』には3つの言葉があります。
労働者『レイバー』、仕事人『ワーカー』、そしてスポーツのようにエンターテインメントを創出する『プレイヤー』。
僕らは、『プレイヤー』です。
自分たちの仕事によって、人の心をワクワクさせ、新しいハッピーを作っていくのです。
この話をすると、みなの心が動いた瞬間があるな、というときがあるのです。届いたな、と感じる瞬間が。