
ビームスの名経営者コンビはかくして生まれた
8/29(金)
2025年
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設楽 洋 2025/06/24
B to Bビジネスの発表をしてから、現在は年間500件ほどの問い合わせが来るようになりました。あらゆるジャンルの企業からアプローチがあります。「ビームスと一緒に何かをやりたい」というプロの方――車、家電、食品、地域振興もあれば、フェス開催から宇宙服まで、非常にありがたいことです。
ビームスのB to Bビジネスの特徴を簡単に述べると、さまざまな企業を複合的に組み合わせた商品やサービスを提供できるということです。例えば「制服を作ってください」という依頼があるとき、通常のアパレルメーカーであれば、そのメーカーがデザインした制服を作ると思います。しかし、ビームスの立場は「セレクトショップ」であるため、例えば、ジャケットはビームスで、シューズはナイキにしましょう、バッグはポーターでいきましょう、というように、複合的な提案ができると考えたのです。この考えでいけば2社コラボだけではなく、3社にしたり、5社にしたり、といった拡張性が持てるので、クライアントの高度な要求に応えることも可能です。これは、私が前職の電通で経験したプロデューサーに近い仕事だと思っています。
さらに「この部分はビームスでやりますが、この部分は〇社に任せましょう」というファッション領域以外のこともできるのです。B to Bビジネスは、これまでビームス社内のさまざまな部署で散発的に扱ってきましたが、現在はビームスクリエイティブ社が一元して役割を担っています。ただし当社グループ内に、進行案件の分野に精通するスタッフがいる場合は、そのスタッフもプロジェクトに入れるようにしています。
そのようにすることで、自分の得意分野のプロジェクトがやって来た場合には参加でき、スタッフのやる気を向上させることができます。また、スタッフの得意を伸ばす意味でも、ビームスでは、他社に先駆けて、副業をOKにしました。他の企業に協力するということを、いかにして組織として許容していくか、という点では何度も議論を重ねましたが、現在ではその制度も完成し、様々なスタッフが社外でも活躍しています。
先に述べた通り、僕はビームスのスタッフのことを「ファミリー」と呼んでいます。スタッフが社内にいようと、外に出ていこうと、ファミリーだと思っているのです。自分の子どもが、家を出て行って卒業して就職して、結婚して、籍が外れたとしても、子どもは子どもであることには変わりはない。つまり、スタッフのことを「ファミリー」と考えれば、彼らがビームスに所属していようと、他の企業で頑張っていようとも、それを応援しない手はないのです。
そうしたことから、辞めて独立して自分で店を持つ、自分でブランドを持つ、自分で別のところに転職するといった場合、同じ釜の飯を食った仲間であれば、協力して成功してもらうことが、次のビームスの発展につながるのではないか、と僕は思っています。現在もそういった人たちと、例えば当社とB to B事業をやるなど、発展し進化を遂げていっています。
本物の「ファミリー」とは、やはりともにいい時を過ごしたメンバーのハッピーが、自分たちのハッピーに必ず返ってくるというものだと感じています。これはビジネス的にも、想いの面でも凄くあります。だから、スタッフが独立して最初のビジネスを始めるときには、個人的にお金を出したこともあります。設立当初は苦しいだろうと思い、「じゃあビームスで少し買ってあげるから、事業のスタート、頑張って!」と支援したこともあります。そうやって、成功してくれる人間が出てくることが、「彼はビームスの卒業生だよ」「ビームスはすごい人たちを輩出しているよ」ということが、また次のビームスのブランディングにもなると信じています。